
REVIEW
安西美和子さん(看護師)
様々に揺れ動く想いと心に、生きるって素晴らしいな、と感じました。
スペシャルニーズのある子ども達が、優しくも当たり前に映し出されていて、そのひとつひとつの命の輝きが重なって圧倒的な「生きる」を作り出していたと思います。この作品は彼らがなくては成り立たず、いつもの日常でも彼らという光がなくては私達も照らされない、と再認識しました。
内多勝康さん(世田谷区医療的ケア相談支援センター 広報マネージャー/元NHKアナウンサー)
ある殺人事件を発端として物語が動き出し、真相があぶりだされる過程の中に「障がい」「医療的ケア」「親子」「きょうだい児」「社会的支援」などのキーワードが重層的に織り込まれていて、深く考えさせられる作品でした。難病や重度障がいの子どもたちのありのままの姿が、映画の中にリアルな肌触りを与えていたと思います。これまで表面化してこなかったシビアな現実に目をそらさず、真正面から向き合おうとする制作スタッフたちの強い意欲が伝わってきました。
須藤美沙さん(理学療法士)
綺麗事ではすまないけど愛おしい瞬間や輝いている笑顔があり ⾄る所に現実と愛情が詰まった映画だと思いました。
田中千恵さん(理学療法士/ 博士(リハビリテーション科学))
いろんなことを考えさせられる映画でした。親の愛情や人の愛情、子どもが持つ周囲の人の気持ちを変える力。障がいの有無や重度さにかかわらず「生きる」ために生きていることで、周囲に与える生きる力が大きく、普段重症児者に接する立場にある医療従事者の一人として、自分たちも「だから頑張れるんだ」と改めて気づきました。子どもの笑顔が素敵ですね。
等々力寿純さん(世田谷区医療的ケア相談支援センター センター長)
中島監督の「見る人の気持ちを動かす映画ができるのでは」という想いのとおり、重度の障がいを抱える子どもを通して描く、家族の絆からいろいろなことを考えさせられる映像でした。自分だけではなく、他に観た方がどのような想いを抱かれたのか…そして今後観る方が抱くのか、知りたいと思えるような作品でした。
畑田奈津美さん(理学療法士)
どこかラブストーリーとも言えるし、普段忘れがちな、でもいつも目の前にある「愛」について考えさせられるような、感じさせてくれるような映画でした。
障がいを持つあなたの周りは、家族もいる。そして家族の他にも、たくさんの愛を持って関わってくれる人たちがここにたくさんいるよ!と伝えたい、そんな気持ちになりました。
宮澤久美さん(バリアフリー衣装デザイナー)
これは、単に障がい云々の映画なのではなくて、
タイトルが示すそのままの意味、誰にも心の奥に閉まってあり、なるべく見ない様にしている暗いもの、本当は謝らなければならない事、本人には謝れない事、それが、彼ら(障がい者)を目の前にした瞬間、溢れ出るかの様に贖罪の様な行為をはじめてしまう。その心の不思議、そしてそれは自分にも思い当たり、心を掴まれ苦しいと思いさえした、とても深く考える映画でした。
横山美佐子さん(北里大学医療衛生学部リハビリテーション学科理学療法学専攻 講師)
この映画は、多様性を受け入れ、他者の違いを尊重する大切さを改めて教えてくれる作品でした。特に、重い障がいのある子どもたちは言葉での表現が難しい場合が多いですが、それでも彼らは多くの思いやメッセージを伝えており、そのサインに気づくことも伝えられているように感じました。
MESSAGE
(2025年3月17日)
「この子は生まれてこないほうが幸せでした。」これは、本作『時には懺悔を』の劇中におけるセリフです。
本作では、望まれなかった命が誕生し、やがて誰かの支えとなりながら、自らの存在意義を証明していく過程が描かれます。一方で、過剰に人を攻撃してしまう、心の傷から立ち直れない、自ら壁を作って閉じこもってしまう―といった問題を抱える大人たちが、生まれた時から重い障がいのある幼い命との出会いを通じて、どのように変化していくのか、その姿を丁寧に映し出しています。
原作と中島監督が出会って約20年。制作過程で幾度も中止の危機に直面しましたが、本作の現場では円滑なコミュニケーションを最重要視し、障がいのある子どもたちや関係者の方々をはじめ多くの協力者との相互の理解と支えが結集し、また、スタッフ・キャストの作品に対する真摯な思いと社会的テーマに対する深い共鳴、そして、それぞれの立場で創作に全力を注いだ結果、素晴らしい作品が完成しました。
私たちは、映画には人の心を揺さぶり、変化をもたらす大きな力があると信じています。命の尊さや、人と人とのつながりの大切さを改めて感じていただくためにも、ぜひ多くの方に『時には懺悔を』をご覧いただきたいと思います。
製作委員会としては本作品に携わってくださった多くの方々の思いと共に、本作品を世に送り出すつもりです。劇場のスクリーンで本作と向き合っていただくことで、何かしらの想いや問いかけが、観る方の心にしっかりと残る――そして、観てくださった方々の心に訴え、鑑賞後、皆さんで語り合えるようなそんな映画になることを願っております。
何卒、皆様におかれましては、本作品への温かい応援とご支援を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。
COMMENT
(2025年1月1日情報解禁コメント)
「この子は生まれてこないほうが幸せでした」。劇中のセリフですが、そう言われた子どもがそれでも生まれ、多くの人々の心を動かし、その人の人生に影響を与える。望まれなかった命が誕生し誰かの救いになって、この世界に生まれてきた価値があると証明する。そのことと正面から向き合った映画だと思います。
過剰に人を攻撃してしまったり、心に傷を負ったまま立ち上がれなかったり、あるいは自ら壁を作りその中に閉じこもっている…そんな欠点だらけの大人達が、重い障がいを持ち生まれてきた幼い命に出会い、どう変わっていくのか。
原作小説を読んでから約20年。ずっと映画化を切望しましたが難しいと言われ続け、中止になってもおかしくない事態に何度もぶつかりながら、障がい児関連の人々など多くの人の協力と努力に支えられ、やっと完成しました。この20年間に世の中の価値観が少しずつ変わり、こういう映画が人々に受け入れられる土壌がようやく整ったことを強く実感しますし、嬉しい限りです。
主人公である佐竹同様、極度のヘソ曲がりの私ですが、この映画にはかつてなく自分の気持ちが素直に出ている気がします。伝えようとしていることの大切さや重さを考えれば気取った演出などしている場合じゃなかった。そこに監督としてのエゴを入れる余地は全くありませんでしたし、スタッフ・キャストを含め全員で作ったという実感を強く抱いています。
だからこそ、観てくれた人がこの映画をどう感じどう受け止めてくれるか、ものすごく楽しみです。どうか是非、劇場に足をお運び下さい。

SYNOPSIS
構想15年、『告白』中島哲也監督7年ぶりの新作は新境地となる感動傑作。
家族から目を背けた男、子を生きる糧にした男、子に全てを捧げ尽くした女……。過去に大きな傷を負った大人たちが出会ったのは、今を必死に生きる“たったひとつの小さな命”だった。
探偵の佐竹と助手で修行中の聡子は、ある殺人事件の真相を探るうち、9年前の誘拐事件で連れ去られた「新」という子どもにたどり着く。重い障がいがありながらも数奇な運命を生きのびてきた新。今を必死に生きる一つの小さな命によって、傷ついた大人たちの魂は生きる力を取り戻してゆく--。
打海文三の同名小説を原作に、西島秀俊、満島ひかりら豪華キャスト陣で贈る、愛を求める全ての人を照らす物語。
親であること。親になること。目を背けたいもの。目を逸らしてはならないもの。人は間違える。犯した罪は消えない。それでも、どんな命にも、生まれてきた喜びがあると信じたい。そんな者たちの情状に映画は耳を傾ける。あなたは一人ではないと語りかけるように。