JP2005019074A - エレクトロルミネッセンス表示装置、エレクトロルミネッセンス表示装置の製造方法及び電子機器 - Google Patents

エレクトロルミネッセンス表示装置、エレクトロルミネッセンス表示装置の製造方法及び電子機器 Download PDF

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Yasushi Karasawa
康史 柄沢
Ryoichi Nozawa
陵一 野澤
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Abstract

【課題】外光が入射した場合でも、外光を吸収し反射を防ぐことができる有機エレクトロルミネッセンス表示装置を提供する。
【解決手段】陰極23は、有機化合物層22及び隔壁21の上面に、例えばカルシウムやリチウム等の光透過性のある金属薄膜が形成されていて、前記金属薄膜の上面には外光の反射を防止するために光吸収性のある反射防止膜が形成されている。このように反射防止膜を形成したことにより、入射した外光を吸収することが可能となる。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エレクトロルミネッセンス表示装置、エレクトロルミネッセンス表示装置の製造方法及び電子機器に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、薄型で消費電力も小さい表示装置として、発光素子をマトリクス状に配置して構成される発光表示ディスプレイが注目され、広く開発が進められている。このような発光表示装置の画質を向上する上で、外光の反射を抑制してコントラストを高めることが重要である。発光表示装置の1つとして、例えば、有機エレクトロルミネセンス素子を用いた有機エレクトロルミネッセンス表示パネルがある。
【0003】
図7に示すように、有機エレクトロルミネッセンス素子は、光透過性を有する画素電極120および光反射性を有する陰極123を利用して通電がなされると有機化合物層122が発光し、この発光した光が光透過性を有する画素電極120、光透過性を有する基板111を通過して外部に放出される。ところで、有機化合物122において使用される有機材料に起因して、画素電極120には仕事関数の大きなものを、陰極123には仕事関数の小さなものをそれぞれ用いることで、電荷の注入効率が上がり、輝度が向上することが知られている。
【0004】
また、有機エレクトロルミネッセンス表示装置の画質を向上する上で、外光の反射を抑制してコントラストを高めることが重要である。そこで、有機エレクトロルミネッセンス表示装置のコントラストを改善することを目的として有機エレクトロルミネッセンス素子と低反射吸収層との組み合わせに関する提案がなされている(例えば、特許文献1)。
【0005】
【特許文献1】
米国特許第5986401号明細書
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら従来の方法では、図7に示すように特にアクティブマトリックス型有機エレクトロルミネッセンス表示装置の場合は、例えば、第一の配線115や、第二の配線118、陰極123に用いられる光反射性を有する金属により、太陽の光等の外光が反射される。そのため、十分なコントラストが得られないという問題点があった。また黒色表示の場合も外光が反射し、その反射光が有機エレクトロルミネッセンス素子の光と合成されぼやけた感じになって、コントラストが下がる等の問題が生じていた。
【0007】
本発明は、上記問題点を解消するためになされたものであって、その目的は、有機エレクトロルミネッセンス表示装置内に外光が入射した場合でも、外光を吸収し反射を防ぐことができる有機エレクトロルミネッセンス表示装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明のエレクトロルミネッセンス表示装置は、光透過性を有する基板に電子素子が形成され、前記電子素子側から順に配線と、エレクトロルミネッセンス素子とが形成され、前記エレクトロルミネッセンス素子の光を前記基板側から取り出すようにしたエレクトロルミネッセンス表示装置において、前記エレクトロルミネッセンス素子は、前記基板側から光透過性を有する第一の電極と、少なくとも発光層を含む一層又は複数の層と、光透過性を有する第二の電極とを有し、
前記配線は光透過性を有する導電膜で形成され、前記発光層を含む一層または複数の層より第二の電極側に、光吸収性を有する反射防止膜を備えた。
【0009】
この発明によれば、発光層より第二の電極側に反射防止膜を形成したことにより、外光が入射した場合でも外光を吸収することが可能になる。よって、外光の反射を防止することができる。
【0010】
このエレクトロルミネッセンス表示装置において、前記反射防止膜は前記第二の電極の前記発光層とは反対側の面に形成してもよい。
この発明によれば、第二の電極の発光層側と反対側の面に反射防止膜を形成したことにより、外光を吸収することが可能になる。よって、外光の反射を防止することができる。
【0011】
このエレクトロルミネッセンス表示装置において、前記第二の電極の前記発光層とは反対側の面に、光透過性を有する封止材を形成し、前記反射防止膜は前記封止材の外側面又は前記第二の電極と前記封止材との間に形成してもよい。
【0012】
この発明によれば、封止材の外側面及び封止材と第二の電極との間に反射防止膜を設けたことにより、外光を吸収することが可能になる。よって、外光の反射を防止することができる。
【0013】
このエレクトロルミネッセンス表示装置において、前記配線と前記エレクトロルミネッセンス素子との間に、平坦化膜が形成され、前記配線および平坦化膜の上方にエレクトロルミネッセンス素子の少なくとも一部が形成されるようにしてもよい。
この発明によれば、外光の反射を増加させること無く、画素の開口率を向上させることができる。
【0014】
このエレクトロルミネッセンス表示装置において、前記電子素子と前記エレクトルミネッセンス素子の間に遮光層を形成してもよい。
この発明によれば、遮光層が電子素子に照射される光を遮るため、光により励起される電子素子のリーク電流を抑制することが可能となる。
【0015】
このエレクトロルミネッセンス表示装置において、前記電子素子の少なくとも1つの電極は、光透過性を有してもよい。
この発明によれば、電極部で外光が反射せずに透過し、反射防止膜によってその外光を吸収することが可能になる。よって、外光の反射を防止することができる。
【0016】
本発明のエレクトロルミネッセンス表示装置の製造方法は、基板に電子素子を形成する電子素子形成工程と、前記基板に配線を形成する配線形成工程と、前記電子素子及び前記配線よりも上方にエレクトロルミネッセンス素子を形成するエレクトロルミネッセンス素子形成工程と、前記エレクトロルミネッセンス素子を封止する封止材を形成する封止材形成工程を有し、前記エレクトロルミネッセンス素子の光が前記基板側から取り出されるエレクトロルミネッセンス表示装置の製造方法において、前記配線形成工程は、前記配線を光透過性を有する導電膜で形成し、エレクトロルミネッセンス素子形成工程は、光透過性を有する第一の電極を形成する工程と、前記第一の電極を形成した後に、少なくとも発光層を含む一層又は複数の層を形成する工程と、前記発光層を含む一層又は複数の層を形成した後に、光を吸収し光の反射を防止する第二の電極を形成する工程とから構成した。
【0017】
この発明によれば、第二の電極を光を吸収し光の反射を防止する電極で形成したことにより、外光を吸収することが可能になる。よって、外光の反射を防止することができる。
【0018】
本発明のエレクトロルミネッセンス表示装置の製造方法は、基板に電子素子を形成する電子素子形成工程と、前記基板に配線を形成する配線形成工程と、前記電子素子及び前記配線よりも上方にエレクトロルミネッセンス素子を形成するエレクトロルミネッセンス素子形成工程と、前記エレクトロルミネッセンス素子を封止する封止材を形成する封止材形成工程を有し、前記エレクトロルミネッセンス素子の光が前記基板側から取り出されるエレクトロルミネッセンス表示装置の製造方法において、前記配線形成工程は、前記配線を光透過性を有する導電膜で形成し、エレクトロルミネッセンス素子形成工程は、光透過性を有する第一の電極を形成する工程と、前記第一の電極を形成した後に、少なくとも発光層を含む一層又は複数の層を形成する工程と、前記発光層を含む一層又は複数の層を形成した後に、光を透過性を有する第二の電極を形成する工程とから構成するとともに、前記封止材形成工程の前又は後に、外光の反射を防止する反射防止膜を形成する工程を備えた。
【0019】
この発明によれば、封止材の外側又は内側に反射防止膜を形成でき、反射防止膜にて外光を吸収することが可能になる。よって、外光の反射を防止することができる。
【0020】
このエレクトロルミネッセンス表示装置の製造方法において、前記配線形成工程と前記エレクトロルミネッセンス素子形成工程との間に、光透過性を有する平坦化膜を形成する平坦化膜形成工程を備え、前記エレクトロルミネッセンス素子形成工程は、前記平坦化膜の上方に前記エレクトロルミネッセンス素子を形成してもよい。
【0021】
この発明によれば、平坦化膜は外光を反射せずに透過し、反射防止膜によってその外光を吸収することが可能になる。よって、外光の反射を防止することができる。
【0022】
このエレクトロルミネッセンス表示装置の製造方法において、少なくとも前記電子素子形成工程の後に、前記電子素子の上方位置に遮光層を形成する遮光層形成工程を設けてもよい。
この発明によれば、遮光層が電子素子に照射される光を遮るため、光により励起される電子素子のリーク電流を抑制することが可能となる。
【0023】
このエレクトロルミネッセンス表示装置の製造方法において、前記平坦化膜形成工程と前記エレクトロルミネッセンス素子形成工程との間に、前記電子素子の上方位置に遮光層を形成する遮光層形成工程を設けてもよい。
この発明によれば、遮光層が電子素子に照射される光を遮るため、光により励起される電子素子のリーク電流を抑制することが可能となる。
【0024】
本発明の電子機器は、上記したエレクトロルミネッセンス表示装置のいずれかを搭載した。
この発明によれば、外光を吸収し、外光の反射を防止できる表示部を備えた電子機器を得ることができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
以下、本発明を具体化したエレクトロルミネッセンス表示装置としての有機エレクトロルミネッセンス表示装置の第1実施形態を、図1〜図3を用いて説明する。
【0026】
図1は、有機エレクトロルミネッセンス表示装置の概略構成図である。有機エレクトロルミネッセンス表示装置1は、表示パネル部2を有し、この表示パネル部2の図中下側には、フレキシブル配線板3が接続されている。
【0027】
表示パネル部2の略中央には、画像を表示する表示領域4が形成されている。
表示領域4には、行方向に延びる多数の走査線が形成されているとともに、列方向に延びる多数のデータ線が形成されている。そして、表示領域4において、各走査線と各データ線との交差部に対応した位置に、有機エレクトロルミネッセンス素子や薄膜トランジスタ(TFT)等からなる画素回路(以下、画素という)10がマトリクス状に多数配置されている。表示領域4の左右両側には、前記各走査線を駆動する走査線駆動回路5が形成され、表示領域4の下側には、前記各データ線を駆動するデータ線駆動回路6が形成されている。
【0028】
フレキシブル配線板3には制御用IC7が実装されている。制御用IC7は、フレキシブル配線板3を通して、表示パネル部2上の走査線駆動回路5やデータ線駆動回路6との間で、各種信号や電源の送受を行っている。なお、本実施形態では、制御用IC7をフレキシブル配線板3上に実装したが、制御用IC7の機能の全部又は一部は、表示パネル部2上に備えられていてもよい。一方、表示パネル部2上にある走査線駆動回路5やデータ線駆動回路6の機能の全部又は一部は、制御用IC7に含まれていてもよい。
【0029】
図2は、有機エレクトロルミネッセンス表示装置1の表示パネル部2上に形成された画素10の断面図であり、図3はその上面図である。両図ではマトリクス状に配置された多数の画素10のうち、第m列、第n行にある一の画素10を主に示している。ここで図3は、平坦化膜を形成する前までの状態を示しているが、その後に形成される画素電極と有機化合物層の形状を、二点鎖線で示している。図3に示すように、有機エレクトロルミネッセンス表示装置1は、一の画素10に2つのTFT31,32と1つのキャパシタ33とを有している。TFT32(スイッチング用TFT)は、走査線15aからの走査信号に基づいてオン状態となり、データ線18aからのデータ信号がキャパシタ33に書き込まれるようになっている。また、TFT31(駆動用TFT)は、キャパシタ33に書き込まれたデータ信号に応じた導通状態となり、そのデータ信号、即ちキャパシタ33に書き込まれた電荷量に応じた駆動電流を有機エレクトロルミネッセンス素子30に供給する。有機エレクトロルミネッセンス素子30は、供給される駆動電流に応じた輝度で発光する。なお、図2では、2つのTFT31,32のうち、駆動用TFT31のみを図示している。
【0030】
図2に示すように、ガラスや樹脂等からなる光透過性を有する基板11の上面には、TFT31,32を形成するための、ポリシリコンからなる島状の半導体膜12が形成され、さらに基板11の上面には、半導体膜12を覆うようにシリコン酸化膜や窒化膜からなる光透過性を有するゲート絶縁膜13が形成されている。ゲート絶縁膜13の上面には、タンタルやチタン等の薄膜を含む導電材料からなるゲート電極14が形成され、ゲート絶縁膜13及びゲート電極14の上面には、第一の配線15が形成されている。第一の配線15は、ITO等光透過性を有する導電膜からなり、ゲート電極14と導通可能に接合されている。また、図3に示すように、第一の配線15は走査線15a等の配線に用いられる。
【0031】
ゲート絶縁膜13及び第一の配線15の上面には、シリコン酸化膜や窒化膜等からなる光透過性を有する層間絶縁膜16が形成されている。半導体膜12のソース領域及びドレイン領域の上面には、チタン等を含む金属からなるソース/ドレイン電極17がゲート絶縁膜13及び層間絶縁膜16を貫通して形成されており、その下面は半導体膜12と導通可能に接合されている。層間絶縁膜16及びソース/ドレイン電極17の上面には、第二の配線18が形成されている。第二の配線18は、ITO等の光透過性を有する導電膜からなり、ソース/ドレイン電極17と導通可能に接合されている。なお、ソース/ドレイン電極17が、後述する画素電極20のみに接続される場合には、そのソース/ドレイン電極17上には第二の配線18はなくてもよい。また、図3に示すように、第二の配線18は、データ線18aや電源線18b等の配線に用いられる。
【0032】
層間絶縁膜16及び第二の配線18の上面には、ポリイミドやアクリル等の光透過性を有する樹脂からなる平坦化膜19が形成されている。平坦化膜19とは、その下面に配線等の凹凸があっても、その上面は平坦に形成される絶縁膜である。平坦化膜19の上面には、ITO等の光透過性を有する導電膜からなる画素電極20が形成されており、その一部はソース/ドレイン電極17、第二の配線18のいずれかと導通可能に接合されている。さらに、平坦化膜19の上面には、画素電極20を囲むように、感光性ポリイミドやアクリル等の樹脂からなる隔壁21が形成され、隔壁21に囲まれた画素電極20上には、正孔輸送層及び発光層の2層からなる有機化合物層22が形成されている。有機化合物層22及び隔壁21の上面には、反射防止膜を有した陰極23が形成されている。陰極23は、有機化合物層22及び隔壁21の上面に、例えばカルシウムやリチウム等の光透過性のある金属薄膜が形成されていて、その金属薄膜の上面には外光の反射を防止するために光吸収性のある反射防止膜が形成されている。本実施形態では、カルシウムやリチウム等の金属薄膜と反射防止膜とで陰極23を形成する。このように反射防止膜を形成したことにより、陰極23は入射した外光を反射させることなく吸収することが可能となる。一般的には反射防止膜でなく、例えばアルミニウムを形成しているが、本実施形態では外光の反射を防止する目的から反射防止膜を形成している。陰極23に形成されている反射防止膜は、例えば酸化金属である酸化チタンで形成されている。ここで、画素電極20、陰極23及びこれらに挟まれた有機化合物層22とで、有機エレクトロルミネッセンス素子30を形成する。なお、本実施形態では、陰極23は、表示領域4のすべての画素10に共通の電位を供するものであるため、表示領域4の全面を覆うように形成されており、すべての画素10で共有される。
【0033】
陰極23の上面には、酸化の防止や湿度からの保護を目的に、封止基板と封止樹脂からなる封止材24が形成されている。
次に、前記表示パネル部2の製造方法について、図2を参照して説明する。
【0034】
まず、ガラスや樹脂等からなる光透過性を有する基板11の片面に、必要に応じてシリコン酸化膜からなる下地保護膜(図示せず)を形成する。その上にアモルファスシリコン膜からなる半導体膜を形成し、レーザーアニール等の結晶化工程によりポリシリコン膜に結晶化する。その後、これをパターニングして島状の半導体膜12とする。その表面にはTEOS(テトラエトキシシラン)等を反応ガスとして用いたプラズマCVD法によりシリコン酸化膜や窒化膜からなる光透過性を有するゲート絶縁膜13を形成する。
【0035】
次に、ゲート絶縁膜13の上面にタンタルやチタン等の薄膜を含む導電膜を形成した後、これをパターニングしてゲート電極14を形成する。なお、この状態でイオン注入を行い、半導体膜12にソース/ドレイン領域を形成するとともに、ゲート電極14の下部にはチャンネル領域が形成される。
【0036】
ゲート絶縁膜13及びゲート電極14の上面にITO等の光透過性を有する導電膜を形成した後、これをパターニングして第一の配線15を形成する。そして、TEOS等を反応ガスとして用いたプラズマCVD法によりシリコン酸化膜や窒化膜からなる光透過性を有する層間絶縁膜16を形成した後、コンタクトホール25を形成し、その中にチタン等を含む金属からなるソース/ドレイン電極17を埋め込む。
【0037】
次に、層間絶縁膜16及びソース/ドレイン電極17上にITO等からなる光透過性を有する導電膜を形成し、これをパターニングして第二の配線18を形成する。
【0038】
さらに、これらの上面にポリイミドやアクリル等の樹脂からなる光透過性を有する平坦化膜19を形成し、ソース/ドレイン電極17に対応する位置にコンタクトホール26を形成する。平坦化膜19の上面には、一部がコンタクトホール26内に埋め込まれるようにITO等の光透過性を有する導電膜を形成し、これをパターニングして画素電極20を形成する。
【0039】
次に、有機化合物層22を形成する領域の周辺に、感光性ポリイミドやアクリル等の樹脂からなる隔壁21を形成し、隔壁21に囲まれた画素電極20上に、インクジェット法で正孔輸送層の形成材料を塗布する。これを固化した後、この上に発光層の形成材料を同様にインクジェット法で塗布し、これを固化する。これにより正孔輸送層と発光層とからなる有機化合物層22が形成される。なお、本実施形態では、インクジェット法を用いて有機化合物層22を形成したが、真空蒸着法により形成してもよい。
【0040】
その後、上面全体に、光吸収性を有する陰極23を形成する。陰極23は、有機化合物層22及び隔壁21の上面にカルシウムやリチウム等の光透過性のある金属薄膜を形成する。前記金属薄膜の上面に外光の反射を防止するために光吸収性のある反射防止膜を形成する。さらにその上面には、酸化の防止や湿度からの保護を目的に、封止基板と封止樹脂からなる封止材24を形成する。
【0041】
そして、本実施形態では、半導体膜12、ゲート電極14、ソース/ドレイン領域等の形成が電子素子形成工程に相当する。また、第一の配線15又は第二の配線18の形成が配線形成工程に相当する。さらに、画素電極20、有機化合物層22、陰極23の形成がエレクトロルミネッセンス素子形成工程に相当する。
また、平坦化膜19の形成が平坦化膜形成工程に相当し、封止材24の形成が封止材形成工程に相当する。
【0042】
次に、上記のように構成した第1実施形態の作用について説明する。
まず、この有機エレクトロルミネッセンス表示装置1を比較的明るい場所で使用する場合には、外光が光透過性を有する基板111に入射し、有機エレクトロルミネッセンス素子30に向けて進行する。しかし、図2に示すように、陰極23は光吸収性を有する反射防止膜を形成してあるので、上記入射した外光は反射されずに吸収される。
【0043】
以上説明したように本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)外光が有機エレクトロルミネッセンス表示装置1に入射した場合、陰極23に形成された光吸収性を有する反射防止膜によって、入射した外光を吸収することが可能となる。よって外光による反射を防止することができる。
(2)第一の配線15及び第二の配線18は、ITO等の透明導電膜で形成したことにより入射した外光は通過し、陰極23に形成した光吸収性のある反射防止膜によって吸収することが可能になる。よって外光による反射を防止することができる。
(3)光透過性を有する第一の配線15、第二の配線18及び平坦化膜に上方に形成される有機エレクトロルミネッセンス素子30の一部を、前記第一の配線15及び第二の配線18と平面的位置を重ね合わせることによって、開口率を向上させることができ、しかも、その開口率を外光の反射を増加させることなく向上させる。
【0044】
(第2実施形態)
次に、本発明を具体化した第2実施形態を、図4に基づいて説明する。
図4は、本発明の第2実施形態に係る有機エレクトロルミネッセンス表示装置1の表示パネル部2上に形成された画素10の断面図である。図4において、平坦化膜19の、TFT31の上部の位置に、遮光層27を設けている点で第1実施形態の構成と異なっている。これは、インクジェット法等の溶液塗布法により遮光性を有する材料を塗布することなどで実現可能である。つまり、平坦化膜19の、TFT31の上部の位置に貫通孔を設け、そこにインクジェットヘッドのノズルから遮光層27の形成材料をインクとして吐出させた後、加熱等により溶媒を蒸発させることで遮光層27が形成される。なお、図示しないTFT32の上部にも、遮光層27が形成されている。そして、この遮光層27の形成が遮光層形成工程に相当する。
【0045】
以上詳述したように本実施形態によれば、前記第1実施形態における効果(1)〜(2)が同様に得られる他、以下の効果を得ることができる。
(3)本実施形態によれば、TFT31、32の上部に遮光層27を形成したため、有機エレクトロルミネッセンス素子30からの光による光励起等によって発生するTFT31、32のリーク電流を抑制することが可能となる。
【0046】
(第3実施形態)
次に、本発明を具体化した第3実施形態を、図5に基づいて説明する。
図5は、本発明の第3実施形態に係る有機エレクトロルミネッセンス表示装置1の表示パネル部2上に形成された画素10の断面図である。封止材24の上部には、反射防止膜28が重なるように形成されている点で第1実施形態の構成と異なっている。反射防止膜28は、第1実施形態で例に挙げた酸化金属のような導電性材料に限らず、非導電性材料である黒色の紙でも対応できる点で異なっている。また有機化合物層22および隔壁21の上面に形成される陰極23が、ITO等の光透過性を有する透明導電膜にて形成されている点も第1実施形態の構成と異なっている。
【0047】
この構成によれば、反射防止膜28は画素の上面全体を形成しているため外光が反射防止膜28にあたる可能性が高くなり、その多くの光が光吸収性を有する反射防止膜28によって吸収される。又、基板11からまた反射防止膜28は、非導電性材料でも対応できることから適用材料の自由度を広げることが可能になる。 以上詳述したように本実施形態によれば、前記第1実施形態における効果(1)〜(2)が同様に得られる他、以下の効果を得ることができる。
(4)封止材24の上面に反射防止膜28を形成したことにより、反射防止膜28は導電性材料である必要性はなくなり、非導電性の材料でも形成することが可能になる。よって、導電性材料にとらわれない光吸収性のある材料や安価な材料を適用することができる。
【0048】
(第4実施形態)
次に、前記第1〜第3実施形態で説明したエレクトロルミネッセンス表示装置としての有機エレクトロルミネッセンス表示装置1の、電子機器への適用について図6を用いて説明する。有機エレクトロルミネッセンス表示装置1は、携帯電話、携帯型情報機器、デジタルカメラ等種々の電子機器に適用可能である。
【0049】
図6は、携帯電話の構成を示す斜視図である。図6において、携帯電話40は、複数の操作ボタン41、受話口42、送話口43、前記実施形態の有機エレクトロルミネッセンス表示装置1を用いた表示部44を備えている。この場合でも、有機エレクトロルミネッセンス表示装置1からなる表示部44は、前記実施形態と同様の効果を発揮する。その結果、携帯電話40は、表示部44から外光が入射した場合でも、反射防止膜によって外光を吸収し反射を防止することができる。
【0050】
なお、本発明の実施形態は上記の実施形態に限られるものでなく、以下のように変更してもよい。
・前記第1及び第2実施形態では、陰極23はカルシウムやリチウム等の金属薄膜と光吸収性のある反射防止膜を形成した。反射防止膜は酸化チタンを例に説明したが、カーボンブラックをカルシウムやリチウム等の金属薄膜と形成してもよい。
【0051】
・前記第3実施形態では、反射防止膜28は封止材の上部に重なるように形成され黒色の紙とした例を説明している。これを、黒色の紙でなく酸化チタン、カーボンブラック、または太陽電池を用いてもよい。太陽電池は外光により電気を発生させることからバッテリとして使用することが可能である。
【0052】
・前記第3実施形態では、陰極23に光透過性のあるITOを例に説明しているが、ICO/Ag/ICO、Ag、またはMg/Agなどの薄膜を形成してもよい。
【0053】
・前記実施形態では、タンタルやチタン等の薄膜を含む導電材料からなるゲート電極14の上面に、ITO等の光透過性を有する導電膜からなる第一の配線15を形成した。このゲート電極14および第一の配線15を、タンタルやチタン等の薄膜を含む導電部材を下地にしたITO等の光透過性を有する導電膜からなる同一材料として、同時に形成してもよい。
【0054】
・前記実施形態では、層間絶縁膜16の上面にITO等の光透過性を有する導電膜からなる第二の配線18を形成し、チタン等を含む金属からなるソース/ドレイン電極17に接続させた。このソース/ドレイン電極17と第二の配線18を、チタン等を含む金属薄膜を下地にしたITO等の光透過性を有する導電膜からなる同一の材料として、同時に形成してもよい。
【0055】
・前記実施形態では、第二の配線18は層間絶縁膜16の上面に形成されているが、これを平坦化膜19の上面で、画素電極20と同一面に形成してもよい。
この場合、第二の配線18も画素電極20もITO等の光透過性を有する導電膜からなっているため、これらを同時に形成することが可能となる。
【0056】
・前記実施形態では、ゲート絶縁膜13及び第一の配線15の上面に、層間絶縁膜16が形成し、その上面に形成した第二の配線18をソース/ドレイン電極17に接続されている。そして、その上面に平坦化膜19を形成し、その上面に画素電極20を形成した。これを、ゲート絶縁膜13及び第一の配線15の上面に平坦化膜19を形成し、その上面で画素電極20と同一面に第二の配線18を形成してもよい。さらに、ソース/ドレイン電極17、第二の配線18及び画素電極20を、チタン等を含む金属薄膜を下地にしたITO等の光透過性を有する導電膜からなる同一材料として、同時に形成してもよい。
【0057】
・前記実施形態では、平坦化膜19のTFT上部の位置に貫通孔を設け、そこに遮光層27を形成した。これを、貫通孔の代わりに、下部に平坦化膜19の一部を残した開口部とし、そこに遮光層27を形成してもよい。
【0058】
・前記第2実施形態では、平坦化膜19に遮光層27を設けて、TFT部への光の照射を遮るようにした。これを、チタンを含むソース/ドレイン電極17と、ITOからなる第二の配線18との界面に、ITOとチタンとからなる光吸収層を形成して、TFT部への光の照射を遮るようにしてもよい。
【0059】
・前記第3実施形態では、封止材24の上部に反射防止膜28が重なるように形成されている例を説明した。これを封止材24と陰極23との間に反射防止膜28を設けてもよい。
【0060】
・前記第2実施形態では、陰極23に反射防止膜が形成された場合において、平坦化膜と半導体膜12の間に遮光層を設けた例を説明した。これを実施形態3のように封止材の上部に反射防止膜28が形成された場合においても、平坦化膜と半導体膜12の間に遮光層を設けてもよい。
【0061】
・前記実施形態では、エレクトロルミネッセンス素子として有機エレクトロルミネッセンス素子30で実施したが、無機エレクトロルミネッセンス素子で実施してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態における有機エレクトロルミネッセンス表示装置の概略構成図。
【図2】本発明の第1実施形態における有機エレクトロルミネッセンス表示装置の画素部の断面図。
【図3】本発明の第1実施形態における有機エレクトロルミネッセンス表示装置の画素部の上面図。
【図4】本発明の第2実施形態における有機エレクトロルミネッセンス表示装置の画素部の断面図。
【図5】本発明の第3実施形態における有機エレクトロルミネッセンス表示装置の画素部の断面図。
【図6】本発明に係る表示装置を適用した電子機器の一例としての携帯電話の構成を示す斜視図。
【図7】従来技術における有機エレクトロルミネッセンス表示装置の画素部の断面図。
【符号の説明】
1・・・エレクトロルミネッセンス表示装置としての有機エレクトロルミネッセンス表示装置、11・・・基板、14・・・電極としてのゲート電極、15・・・配線としての第一の配線、17・・・電極としてのソース/ドレイン電極、18・・・配線としての第二の配線、19・・・平坦化膜、20・・・第一の電極又は陽極としての画素電極、22・・・少なくとも発光層を含む一層又は複数の層としての有機化合物層、23・・・第二の電極としての陰極、24・・・封止材、27・・・遮光層、28・・・反射防止膜、30…エレクトロルミネッセンス素子としての有機エレクトロルミネッセンス素子、31、32・・・電子素子としてのTFT、33・・・電子素子としてのキャパシタ、40・・・電子機器としての携帯電話。

Claims (12)

  1. 光透過性を有する基板に電子素子が形成され、前記電子素子側から順に配線と、エレクトロルミネッセンス素子とが形成され、前記エレクトロルミネッセンス素子の光を前記基板側から取り出すようにしたエレクトロルミネッセンス表示装置において、
    前記エレクトロルミネッセンス素子は、前記基板側から光透過性を有する第一の電極と、少なくとも発光層を含む一層又は複数の層と、光透過性を有する第二の電極とを有し、
    前記配線は光透過性を有する導電膜で形成され、前記発光層を含む一層または複数の層より第二の電極側に、光吸収性を有する反射防止膜を備えたことを特徴とするエレクトロルミネッセンス表示装置。
  2. 請求項1に記載のエレクトロルミネッセンス表示装置において、
    前記反射防止膜は前記第二の電極の前記発光層とは反対側の面に形成されたことを特徴とするエレクトロルミネッセンス表示装置。
  3. 請求項1に記載のエレクトロルミネッセンス表示装置において、
    前記第二の電極の発光層とは異なる方向に光透過性を有する封止材が形成され、前記反射防止膜は前記封止材の外側面又は前記第二の電極と前記封止材との間に形成されたことを特徴とするエレクトロルミネッセンス表示装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか1つに記載のエレクトロルミネッセンス表示装置において、
    前記配線と前記エレクトロルミネッセンス素子との間に、平坦化膜が形成され、前記配線及び平坦化膜の上方にエレクトロルミネッセンス素子の少なくとも一部が形成されたことを特徴とするエレクトロルミネッセンス表示装置。
  5. 請求項1〜4のいずれか1つに記載のエレクトロルミネッセンス表示装置において、
    前記電子素子と前記エレクトロルミネッセンス素子の間に遮光層を形成したことを特徴とするエレクトロルミネッセンス表示装置。
  6. 請求項1〜5のいずれか1つに記載のエレクトロルミネッセンス表示装置において、
    前記電子素子の少なくとも1つの電極は、光透過性を有することを特徴とするエレクトロルミネッセンス表示装置。
  7. 基板に電子素子を形成する電子素子形成工程と、前記基板に配線を形成する配線形成工程と、前記電子素子及び前記配線よりも上方にエレクトロルミネッセンス素子を形成するエレクトロルミネッセンス素子形成工程と、前記エレクトロルミネッセンス素子を封止する封止材を形成する封止材形成工程を有し、前記エレクトロルミネッセンス素子の光が前記基板側から取り出されるエレクトロルミネッセンス表示装置の製造方法において、
    前記配線形成工程は、前記配線を光透過性を有する導電膜で形成し、
    エレクトロルミネッセンス素子形成工程は、
    光透過性を有する第一の電極を形成する工程と、
    前記第一の電極を形成した後に、少なくとも発光層を含む一層又は複数の層を形成する工程と、
    前記発光層を含む一層又は複数の層を形成した後に、光を吸収し光の反射を防止する第二の電極を形成する工程とから構成したことを特徴とするエレクトロルミネッセンス表示装置の製造方法。
  8. 基板に電子素子を形成する電子素子形成工程と、前記基板に配線を形成する配線形成工程と、前記電子素子及び前記配線よりも上方にエレクトロルミネッセンス素子を形成するエレクトロルミネッセンス素子形成工程と、前記エレクトロルミネッセンス素子を封止する封止材を形成する封止材形成工程を有し、前記エレクトロルミネッセンス素子の光が前記基板側から取り出されるエレクトロルミネッセンス表示装置の製造方法において、
    前記配線形成工程は、前記配線を光透過性を有する導電膜で形成し、
    エレクトロルミネッセンス素子形成工程は、
    光透過性を有する第一の電極を形成する工程と、
    前記第一の電極を形成した後に、少なくとも発光層を含む一層又は複数の層を形成する工程と、
    前記発光層を含む一層又は複数の層を形成した後に、光を透過性を有する第二の電極を形成する工程とから構成するとともに、
    前記封止材形成工程の前又は後に、外光の反射を防止する反射防止膜を形成する工程を備えたことを特徴とするエレクトロルミネッセンス表示装置の製造方法。
  9. 請求項7又は8に記載のエレクトロルミネッセンス表示装置の製造方法において、
    前記配線形成工程と前記エレクトロルミネッセンス素子形成工程との間に、光透過性を有する平坦化膜を形成する平坦化膜形成工程を備え、前記エレクトロルミネッセンス素子形成工程は、前記平坦化膜の上方に前記エレクトロルミネッセンス素子を形成したことを特徴とするエレクトロルミネッセンス表示装置の製造方法。
  10. 請求項7〜9のいずれか1つに記載のエレクトロルミネッセンス表示装置の製造方法において、
    少なくとも前記電子素子形成工程の後に、前記電子素子の上方位置に遮光層を形成する遮光層形成工程を設けたことを特徴とするエレクトロルミネッセンス表示装置の製造方法。
  11. 請求項10に記載のエレクトロルミネッセンス表示装置の製造方法において、
    前記平坦化膜形成工程と前記エレクトロルミネッセンス素子形成工程との間に、前記電子素子の上方位置に遮光層を形成する遮光層形成工程を設けたことを特徴とするエレクトロルミネッセンス表示装置の製造方法。
  12. 請求項1〜6のいずれか1つに記載のエレクトロルミネッセンス表示装置を搭載した電子機器。
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