JP6700799B2 - トナーおよびトナーの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、電子写真方式、静電記録方式、静電印刷方式、トナージェット方式に用いられるトナーおよびトナーの製造方法に関する。
近年、電子写真方式のフルカラーの画像形成装置が広く普及するに従い、更なる高画質化が要求されている。そして、高画質化を達成するためには、静電潜像担持体上のトナーの中間転写体への転写効率や、中間転写体上のトナーの紙への転写効率を高めることが求められる。
そこで、トナーの転写効率向上のため、トナーを熱処理することでトナーの円形度を高めた提案がされている(特許文献1参照)。トナーの円形度を高めることで、静電潜像担持体の表面および中間転写体の表面に対するトナーの接触面積が小さくなり、付着力を低減できることから、トナーの中間転写体への転写効率およびトナーの紙への転写効率を高めることができる。さらに、転写工程において、形成される電界は、真球に近いトナー程、トナーに対し電界が均一に作用するため、トナーの転写効率が高まるとされており、トナーの円形度を高めることで、一定の効果が得られた。
しかし、熱処理されたトナーは、トナーの円形度が高まる一方で、付着性の高いワックスが、トナー粒子の表面近傍に溶出してくる。そのため、ワックスの溶出が、熱処理されたトナーの転写効率向上効果を軽減させる要因となり、熱処理トナーの転写効率向上効果を十分に活かし切れていない側面があった。さらに、近年は、普通紙に限らず、厚紙や薄紙等の各種メディアに対応できるマルチメディア対応性も要求されている。厚紙としては、単に表面が平坦な厚紙のみではなく、表面や表裏両面に凹凸を有するエンボス紙やラフ紙などの表面平滑度が相対的に低い用紙なども用いられる。それらの紙に対しては、十分な転写圧がかかり難いため、中間転写体上のトナーの一部が転写されず、白斑点と呼ばれる画質欠陥が生じる場合がある。よって、さらに転写効率を高めたトナーが求められている。
そこで、更なる転写効率向上のため、スペーサーとなる大粒径の無機微粒子をトナー粒子の表面に固着させた提案がなされている(特許文献2参照)。トナーと静電潜像担持体との界面、およびトナーと中間転写体との界面に、無機微粒子がスペーサーとなることで、トナー粒子の表面近傍に溶出してきたワックスの影響を受け難くすることができることから、転写効率を高めることができる。
しかし、高温高湿環境下において、長期間画像出力を行うと、画像形成装置本体内の温度が上昇することで、トナー粒子の表面近傍のワックスが柔らかい状態となり易い。その結果、スペーサーとなっていた大粒径の無機微粒子がトナー粒子内部に埋め込まれ、転写効率が低減する場合がある。
以上のことから、長期間の画像出力においても、高転写性を満足することのできるトナーが求められている。
特開2013−15830号公報 特開2013−47754号公報
本発明の目的は、上記のような問題点を解決したトナーを提供することにある。具体的には、長期間の画像出力においても、高転写性を発揮できるトナーを提供することにある。
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、長期間の画像出力においても、高転写性を発揮できるトナーを見出した。
本発明は、トナー粒子と、該トナー粒子の表面に存在する無機微粒子とを有するトナーであって、
該トナー粒子は、
(i)非晶性ポリエステル樹脂、ワックス、着色剤、および結晶性ポリエステル樹脂を含有し、
(ii)熱球形化処理トナー粒子であり
非晶性ポリエステル樹脂が、
ピーク炭素数が25以上102以下であるアルキルモノアルコール、および、
ピーク炭素数が25以上102以下であるアルキルモノカルボン酸
の少なくとも一方に由来するユニットを分子鎖の末端に有し、
該ワックスが、ピーク炭素数が25以上102以下の脂肪族炭化水素を有し、
該トナー粒子における、以下の(a)〜(c):
(a)該ピーク炭素数が25以上102以下の脂肪族炭化水素
(b)該非晶性ポリエステル樹脂の末端に存在する該ピーク炭素数が25以上102以下のアルキルモノアルコールに由来するユニット
(c)該非晶性ポリエステル樹脂の末端に存在する該ピーク炭素数が25以上102以下のアルキルモノカルボン酸に由来するユニット
の合計の含有割合が、該非晶性ポリエステル樹脂およびワックスの合計質量を基準として、6.0質量%以上16.0質量%以下であり、
該結晶性ポリエステル樹脂が、炭素数2以上22以下の脂肪族ジオールと、炭素数2以上22以下の脂肪族ジカルボン酸とに由来するエステルユニットを有し、
該トナーは、示差走査熱量測定にて得られる温度−吸熱量曲線において、ピークトップが60℃以上90℃以下に存在する吸熱ピークを有し、該吸熱ピークの吸熱量が10.0J/g以下である
ことを特徴とするトナーに関する。
更に、本発明は、非晶性ポリエステル樹脂、ワックス、着色剤、および、結晶性ポリエステル樹脂を含有するトナー組成物を溶融混練して溶融混練物を得る工程と、
該溶融混練物を粉砕分級してトナー粒子を得る工程と、
該トナー粒子を熱処理する工程と、
を有するトナーの製造方法において、
該非晶性ポリエステル樹脂が、
ピーク炭素数が25以上102以下のアルキルモノアルコール、および、
ピーク炭素数が25以上102以下のアルキルモノカルボン酸
の少なくとも一方に由来するユニットを分子鎖の末端に有し、
該ワックスは、炭素数の平均値が25以上102以下の脂肪族炭化水素を有し、
以下の(a)〜(c):
(a)該炭素数の平均値が25以上102以下の脂肪族炭化水素
(b)該ポリエステル樹脂の末端に存在する該炭素数の平均値が25以上102以下のアルキルモノアルコールに由来するユニット
(c)該ポリエステル樹脂の末端に存在する該炭素数の平均値が25以上102以下のアルキルモノカルボン酸に由来するユニット
の合計の含有割合が、該非晶性ポリエステル樹脂および該ワックスの合計の質量を基準として、6.0質量%以上16.0質量%以下であり、
該結晶性ポリエステル樹脂が、炭素数2以上22以下の脂肪族ジオールと、炭素数2以上22以下の脂肪族ジカルボン酸に由来するエステルユニットを有する樹脂であり、
該熱処理工程における熱風温度が100℃以上300℃以下であり、
得られるトナーは、示差走査熱量測定にて得られる温度−吸熱量曲線において、ピークトップが60℃以上90℃以下に存在する吸熱ピークを有し、該吸熱ピークの吸熱量が10.0J/g以下である
ことを特徴とするトナーの製造方法。
本発明のトナーを用いることにより、長期間の画像出力においても、高転写性を確保することができる。
本発明に用いられる熱球形化処理装置の図である。
以下、発明の実施形態に関し詳細に説明する。
上述のように、高温高湿環境下において、長期間画像出力を行うと、トナー粒子の表面近傍のワックスが柔らかい状態となり、スペーサーとなっていた大粒径の無機微粒子がトナー粒子内部に埋め込まれ、転写効率が低減する場合があった。
そこで、本発明者等は、鋭意検討を重ね、転写性を向上させるためには、トナーの円形度を高めつつ、トナー粒子の表面近傍に溶出してくるワックスを抑制することが重要であることを見出し、本発明に至った。
本発明者等は、トナーの軟化剤として用いている結晶性ポリエステル樹脂に注目した。本発明者等は、鋭意検討を重ね、結晶性ポリエステル樹脂は、脂肪族炭化水素のジオールと脂肪族ジカルボン酸のエステル化合物であり、極性が比較的低いため、ワックスとの親和性が高いことから、ワックスをトラップできることを見出した。さらに、結晶性ポリエステル樹脂は、極性が低いにもかかわらず、ワックスに対して分子量が高いため、熱処理を行っても、トナー粒子の表面近傍に溶出しにくくなることを見出した。つまり、結晶性ポリエステル樹脂とワックスの親和性を利用することで、熱処理を行っても、溶出抑制の程度を定量化することは難しいものの、トナー粒子の表面近傍へのワックスの溶出を抑制できることを見出した。
しかし、上述したように、結晶性ポリエステル樹脂は、分子量が高いため、トナー粒子中にドメインとして存在しやすい傾向にある。よって、ワックスとの接点が少ないため、熱処理により、結晶性ポリエステル樹脂と接しているワックスのトナー粒子の表面近傍への溶出は抑制できる。しかし、結晶性ポリエステル樹脂と接していないワックスのトナー粒子の表面近傍への溶出は抑制できない課題があった。
そこで、本発明者等は、更なる検討を重ね、結着樹脂であるポリエステル樹脂の末端に、ピーク炭素数が25以上102以下のアルキルモノアルコールに由来するユニット、およびピーク炭素数が25以上102以下のアルキルモノカルボン酸に由来するユニットを含有させることで、結晶性ポリエステル樹脂を、トナー粒子中に微分散させることができることを見出した。これは、非晶性ポリエステル樹脂に組み込まれたアルキルモノアルコールおよびアルキルモノカルボン酸が、結晶性ポリエステル樹脂が結晶化する際の核となるため、必然的に微分散して結晶化させることができるからである。そして、トナー粒子中に微分散した結晶性ポリエステル樹脂により、すべてのワックスドメインと接点を形成することができ、熱処理によるワックスのトナー粒子の表面近傍への溶出は抑制することができる。
[非晶性ポリエステル樹脂]
本発明のトナーに用いられる非晶性ポリエステル樹脂とは、分子鎖が不規則であって、ガラス転移温度を有するが、融点を有しない樹脂である。非晶性ポリエステル樹脂のエステルユニットに用いられるモノマーとしては、多価アルコール(2価もしくは3価以上のアルコール)と、多価カルボン酸(2価もしくは3価以上のカルボン酸)、その酸無水物またはその低級アルキルエステルとが用いられる。ここで、分岐ポリマーを作成する場合には、結着樹脂の分子内において部分架橋することが有効であり、そのためには、3価以上の多官能化合物を使用することが好ましい。従って、エステルユニットの原料モノマーとして、3価以上のカルボン酸、その酸無水物またはその低級アルキルエステル、および/または3価以上のアルコールを含むことが好ましい。
さらに、非晶性ポリエステル樹脂は、ピーク炭素数(化合物分子の炭素数分布における最多分子の炭素数)が25以上102以下のアルキルモノアルコール、およびピーク炭素数が25以上102以下のアルキルモノカルボン酸の少なくとも一方に由来するユニットを分子鎖の末端に有することを特徴とする。
ピーク炭素数が25以上102以下のアルキルモノアルコールとしては、1級、2級、3級および飽和、不飽和のいずれでも用いることができる。その中でも、結晶性ポリエステル樹脂の結晶化を促進させる観点から、1級の飽和アルコールが好ましい。例えば、ペンタコサノール、セリルアルコール(ヘキサコサノール)、ヘプタコサノール、オクタコサノール、ノナコサノール、メリッシルアルコール(トリアコンタノール)、ゲジルアルコール(テトラトリアコンタノール)などの飽和アルコールが挙げられる。
ピーク炭素数が25以上102以下のアルキルモノカルボン酸としては、1級、2級、3級および飽和、不飽和のいずれでも用いることができる。その中でも、結晶性ポリエステル樹脂の結晶化を促進させる観点から、1級の飽和脂肪酸が好ましい。例えば、ペンタコサン酸、セロチン酸(ヘキサコサン酸)、ヘプタコサン酸、モンタン酸(オクタコサン酸)、ノナンコサン酸、メリシン酸(トリアコンタン酸)、テトラトリアコンタン酸などの飽和脂肪酸が挙げられる。
また、本発明におけるピーク炭素数が25以上102以下のアルキルモノアルコール、およびピーク炭素数が25以上102以下のアルキルモノカルボン酸としては以下のものが挙げられる。例えば、脂肪族系炭化水素系ワックスからヒドロキシ基またはカルボキシル基を有するワックスを生成する変性工程を経て生成された変性ワックスも使用することができる。脂肪族系炭化水素系ワックスを変性する工程は特に限定されないが、例えば、脂肪族炭化水素系ワックスから該ワックスのホウ酸エステルを加水分解してヒドロキシ基を有するワックスを生成する手法等が挙げられる。この際、変性ワックスは、アルコールの価数が0価および多価の成分が混ざった混合物でもよいが、結晶性ポリエステル樹脂の結晶化を促進させる観点から、1価の変性ワックスがより好ましい。
アルコール変性ワックスの水酸基価は好ましくは100以上150mgKOH/g以下であり、より好ましくは120以上140mgKOH/g以下である。
酸変性ワックスの酸価は好ましくは30以上50mgKOH/g以下であり、より好ましくは40以上45mgKOH/g以下である。
本発明におけるピーク炭素数が25以上102以下のアルキルモノアルコール、およびピーク炭素数が25以上102以下のアルキルモノカルボン酸の好ましいピーク炭素数は、30以上80以下が好ましく、より好ましくは35以上50以下である。ピーク炭素数が上記範囲であると、非晶性ポリエステル樹脂と良好に反応させることができ、ヒドロキシ基またはカルボキシル基の変性率が向上する。さらに、結晶性ポリエステル樹脂が結晶化する際の核となる分子鎖は、十分な長さがあるため、結晶性ポリエステル樹脂の微分散性を向上させる効果が得られる。その結果、トナー粒子の熱処理によるワックスのトナー表面近傍への溶出は抑制できるため、長期間の画像出力においても、高転写性を満足することができる。
ピーク炭素数が103以上になると、非晶性ポリエステル樹脂と反応させることが難しくなり、ヒドロキシ基またはカルボキシル基の変性率が下がり、遊離モノマーとして存在する傾向にある。従って、トナー粒子中への結晶性ポリエステル樹脂の微分散性を向上させる効果が得られない。その結果、トナー粒子を熱処理することによるワックスのトナー粒子の表面近傍への溶出を抑制できない。さらに、低分子である遊離モノマー量が多くなるため、トナーの保存性も悪化する。
ピーク炭素数が24以下になると、非晶性ポリエステル樹脂と反応させることは容易であるが、分子の直鎖の長さが短いため、結晶性ポリエステル樹脂の核となることができ難くなる。従って、トナー粒子中への結晶性ポリエステル樹脂の微分散性を向上させる効果が得られない。その結果、トナー粒子の熱処理によるワックスのトナー粒子の表面近傍への溶出を抑制できない。
脂肪族炭化水素は、ピーク炭素数が25以上102以下の脂肪族炭化水素である。本発明において脂肪族炭化水素はワックスに由来するものである。脂肪族炭化水素は、非晶性ポリエステル樹脂内に分散した状態で存在している。
ここで、本発明におけるピーク炭素数が25以上102以下の脂肪族炭化水素、ポリエステル樹脂の末端に存在するピーク炭素数が25以上102以下のアルキルモノアルコールに由来するユニット、およびポリエステル樹脂の末端に存在するピーク炭素数が25以上102以下のアルキルモノカルボン酸に由来するユニットの合計の含有割合が、非晶性ポリエステル樹脂およびワックスの質量を基準として、6.0質量%以上16.0質量%以下であることが好ましい。より好ましくは、9.0質量%以上13.0質量%以下の場合である。含有量が上記範囲であると、適正なワックス量が含有されていることを意味するため、耐ホットオフセット性低温定着性を満足することができる。さらに、適正なアルキルモノアルコールに由来するユニットおよび/または適正なアルキルモノカルボン酸に由来するユニットが含有されていることも意味しているため、結晶性ポリエステル樹脂の微分散性を向上させる効果が得られる。その結果、トナー粒子の熱処理によるワックスのトナー粒子の表面近傍への溶出は抑制できるため、長期間の画像出力においても、高転写性を満足することができる。
ワックスの増加により、含有量が16.0質量%より多くなると、結晶性ポリエステル樹脂がトラップできるワックス量以上のワックスが含有されているため、すべてのワックスをトラップすることができない。その結果、トナー粒子を熱処理した場合、熱処理によるワックスのトナー粒子の表面近傍への溶出を抑制できない。
適正なアルキルモノアルコールに由来するユニットおよび/または適正なアルキルモノカルボン酸に由来するユニットの増加により、含有量が16.0質量%より多くなると、すべてのアルキルモノアルコールおよび/またはアルキルモノカルボン酸を結着樹脂と反応させることが難しくなる。その結果、低分子である遊離モノマー量が多くなるため、トナーの保存性も悪化する。
ワックスの減少により、含有量が6.0質量%より少なくなると、耐ホットオフセット性が悪化し、定着性を満足することができない。
また、適正な分子鎖を有するアルキルモノアルコールに由来するユニットおよび/または適正な分子鎖を有するアルキルモノカルボン酸に由来するユニットの減少により、含有量が5.0質量%より少なくなると、結晶性ポリエステル樹脂の核となる長鎖部位が少ないため、結晶性ポリエステル樹脂の微分散性を向上させる効果が得られない。その結果、トナー粒子の熱処理によるワックスのトナー表面近傍への溶出を抑制できない。
本発明におけるトナーは、示差走査熱量計(DSC)にて得られる温度−吸熱量曲線において、ピークトップが60℃以上90℃以下に存在する吸熱ピークを有する。更に、吸熱ピークのピーク面積から計算される吸熱量が10.0J/g以下であることが好ましい。吸熱量が上記範囲であれば、過剰なワックス量が含有されていないとことを意味する。更に、本願発明に係るアルキルモノアルコールおよび/またはアルキルモノカルボン酸が非晶性ポリエステル樹脂と確実に反応し、遊離成分として存在していないことを意味するため、定着性と高転写性を満足することができる。
吸熱量が10.0J/g以上であると、過剰なワックス量が含有されていること、あるいは、アルキルモノアルコールおよび/またはアルキルモノカルボン酸の遊離モノマーが多いことを意味する。従って、トナー粒子の熱処理によるワックスのトナー粒子の表面近傍への溶出を抑制できないことにより、トナーの保存性が悪化する。
本発明のピーク炭素数が25以上102以下のアルキルモノアルコール、およびピーク炭素数が25以上102以下のアルキルモノカルボン酸は、非晶性ポリエステル樹脂を構成するユニットに用いられる他のモノマーと同時に添加し、縮重合を行うことが好ましい。これにより、非晶性ポリエステル樹脂のユニット内へ確実に導入することができる。
非晶性ポリエステル樹脂のエステルユニットに用いられる多価アルコールモノマーとしては、以下の多価アルコールモノマーを使用することができる。
2価のアルコール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、水素化ビスフェノールA、また式(A)で表わされるビスフェノールおよびその誘導体;
(式中、Rはエチレンまたはプロピレン基であり、xおよびyはそれぞれ0以上の整数であり、かつ、x+yの平均値は0以上10以下である。)
式(B)で示されるジオール類;
3価以上のアルコール成分としては、例えば、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼンが挙げられる。これらのうち、好ましくはグリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールが用いられる。これらの2価のアルコールおよび3価以上のアルコールは、単独であるいは複数を併用して用いることができる。
非晶性ポリエステル樹脂のポリエステルユニットに用いられる多価カルボン酸モノマーとしては、以下の多価カルボン酸モノマーを使用することができる。
2価のカルボン酸成分としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、マロン酸、n−ドデセニルコハク酸、イソドデセニルコハク酸、n−ドデシルコハク酸、イソドデシルコハク酸、n−オクテニルコハク酸、n−オクチルコハク酸、イソオクテニルコハク酸、イソオクチルコハク酸、これらの酸の無水物およびこれらの低級アルキルエステルが挙げられる。これらのうち、マレイン酸、フマル酸、テレフタル酸、n−ドデセニルコハク酸が好ましく用いられる。
3価以上のカルボン酸、その酸無水物またはその低級アルキルエステルとしては、例えば、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、エンポール三量体酸、これらの酸無水物またはこれらの低級アルキルエステルが挙げられる。これらのうち、特に1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、すなわちトリメリット酸またはその誘導体が安価で、反応制御が容易であるため、好ましく用いられる。これらの2価のカルボン 酸等および3価以上のカルボン酸は、単独であるいは複数を併用して用いることができる。
本発明の非晶性ポリエステル樹脂の製造方法については、特に制限されるものではなく、公知の方法を用いることができる。例えば、前述のアルコールモノマーおよびカルボン酸モノマーを同時に仕込み、エステル化反応またはエステル交換反応、および縮合反応を経て重合し、ポリエステル樹脂を製造する。また、重合温度は、特に制限されないが、180℃以上290℃以下の範囲が好ましい。重合に際しては、例えば、チタン系触媒、スズ系触媒、酢酸亜鉛、三酸化アンチモン、二酸化ゲルマニウム等の重合触媒を用いることができる。特に、本発明の結着樹脂は、スズ系触媒を使用して重合されたポリエステル樹脂がより好ましい。
本発明のトナーに用いられる非晶性ポリエステル樹脂は非晶性ポリエステル樹脂を主成分とするならば結晶性樹脂成分を除く他の樹脂成分を含有するハイブリッド樹脂であってもよい。例えば、非晶性ポリエステル樹脂とビニル系樹脂とのハイブリッド樹脂が挙げられる。ハイブリッド樹脂のような、ビニル系樹脂やビニル系共重合ユニットと非晶性ポリエステル樹脂の反応生成物を得る方法としては、ビニル系樹脂やビニル系共重合ユニットおよびポリエステル樹脂のそれぞれと反応しうるモノマー成分を含むポリマーが存在しているところで、どちらか一方もしくは両方の樹脂の重合反応を行う方法が好ましい。
例えば、非晶性ポリエステル樹脂成分を構成するモノマーのうちビニル系共重合体と反応し得るものとしては、例えば、フタル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸のような不飽和ジカルボン酸またはその無水物等が挙げられる。ビニル系共重合体成分を構成するモノマーのうちポリエステル樹脂成分と反応し得るものとしては、カルボキシル基またはヒドロキシ基を有するものや、アクリル酸もしくはメタクリル酸エステル類が挙げられる。
また、本発明では結着樹脂として、非晶性ポリエステル樹脂を主成分とするならば、上記のビニル系樹脂以外にも、従来より結着樹脂として知られている種々の樹脂化合物を併用することができる。このような樹脂化合物としては、例えばフェノール樹脂、天然樹脂変性フェノール樹脂、天然樹脂変性マレイン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール、テルペン樹脂、クマロインデン樹脂、石油系樹脂が挙げられる。
また、非晶性ポリエステル樹脂のピーク分子量は3500以上20000以下であることが、低温定着性と耐ホットオフセット性の観点から好ましい。また、非晶性ポリエステル樹脂の酸価は15mgKOH/g以上30mgKOH/g以下であることが、高温高湿環境下における帯電安定性の観点から好ましい。さらに、本発明の非晶性ポリエステル樹脂の水酸基価は2mgKOH/g以上20mgKOH/g以下であることが、低温定着性と保存性の観点から好ましい。
また、非晶性ポリエステル樹脂は、低分子量の結着樹脂Bと高分子量の結着樹脂Aを混ぜ合わせて使用してもよい。高分子量の結着樹脂Aと低分子量の結着樹脂Bの含有比率(A/B)は質量基準で10/90以上60/40以下であることが、低温定着性と耐ホットオフセット性の観点から好ましい。
高分子量の結着樹脂Aのピーク分子量は10000以上20000以下であることが、耐ホットオフセット性の観点から好ましい。また、高分子量の結着樹脂の酸価は15mgKOH/g以上30mgKOH/g以下であることが、高温高湿環境下における帯電安定性の観点から好ましい。
低分子量の結着樹脂Bのピーク分子量は3500以上7000以下であることが、低温定着性の観点から好ましい。また、低分子量の結着樹脂の酸価は10mgKOH/g以下であることが、高温高湿環境下における帯電安定性の観点から好ましい。
[結晶性ポリエステル樹脂]
本発明のトナーは軟化剤として結晶性ポリエステル樹脂を含有する。
結晶性樹脂とは、分子鎖が規則正しく配列し、ガラス転移温度および融点を有する樹脂である。本発明のトナーにおいて、トナー粒子に含まれる結晶性ポリエステル樹脂は、炭素数2〜22の脂肪族ジオールと、炭素数2以上22以下の脂肪族ジカルボン酸とに由来するエステルユニットを有する樹脂である。製造上は、炭素数2以上22以下の脂肪族ジオールと、炭素数2以上22以下の脂肪族ジカルボン酸単量体組成物を重縮合反応させることにより得られる。
その中でも、本発明者等が鋭意検討した結果、炭素数6以上12以下の脂肪族ジオールと炭素数6以上12以下の脂肪族ジカルボン酸に由来するエステルユニットを構成要素とする結晶性ポリエステル樹脂が、低温定着性と保存性の観点から好ましい。結晶性ポリエステル樹脂を使用することにより、トナーの低温定着性が良化する理由は、非晶性ポリエステル樹脂と結晶性ポリエステル樹脂が相溶し、非晶性ポリエステル樹脂の分子鎖の間隔を広げ、分子間力を弱めることができるからと考えている。結果的に、ガラス転移温度(Tg)を大幅に低下させ、溶融粘度を低い状態にさせることに由来する。よって、非晶性ポリエステル樹脂と結晶性ポリエステル樹脂との相溶性を高めることにより、低温定着性は良化していく傾向にある。そして、非晶性ポリエステル樹脂と結晶性ポリエステル樹脂との相溶性を高めるためには、結晶性ポリエステル樹脂を構成するモノマーの脂肪族ジオールおよび/または脂肪族ジカルボン酸の炭素数を短くし、エステル基濃度を高め、極性を高めていくことになる。一方で、Tgが大幅に低下したトナーにおいても、高温高湿環境下での使用や輸送などにおける保存性を確保する必要がある。そのためには、そのような環境下にトナーがさらされた場合には、相溶していたトナー粒子中の結晶性ポリエステル樹脂を再結晶化させ、トナーのTgを結着樹脂のTgまで戻す必要がある。ここで、結晶性ポリエステル樹脂のエステル基濃度が高く、非晶性ポリエステル樹脂と結晶性ポリエステル樹脂の相溶性があまりにも高いと、結晶性ポリエステル樹脂を再結晶化させることが難しくなり、トナーの保存性が悪化することになる。以上のことから、低温定着性と保存性を両立できる結晶性ポリエステル樹脂のモノマー構成として、炭素数6〜12の脂肪族ジオールと、炭素数6〜12の脂肪族ジカルボン酸を用いることが好ましいことを見出した。
炭素数2以上22以下(より好ましくは炭素数6以上12以下)の脂肪族ジオールとしては、特に限定されないが、鎖状(より好ましくは直鎖状)の脂肪族ジオールであることが好ましく、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−ブタジエングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール(ヘキサンジオール}、オクタメチレングリコール、ノナメチレングリコール、デカメチレングリコール(デカンジオール)、ネオペンチルグリコール、ドデカメチレングリコール(ドデカンジオール)が挙げられる。これらの中でも、特にエチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、および1,6−ヘキサンジオールのような直鎖脂肪族、α,ω−ジオールが好ましく例示される。
上記アルコール成分のうち、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上が、炭素数2以上22以下(より好ましくは炭素数6以上12以下)の脂肪族ジオールから選ばれるアルコールである。
本発明において、上記脂肪族ジオール以外の多価アルコール単量体を用いることもできる。該多価アルコール単量体のうち2価アルコール単量体としては、ポリオキシエチレン化ビスフェノールA、ポリオキシプロピレン化ビスフェノールA等の芳香族アルコール;1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。また、該多価アルコール単量体のうち3価以上の多価アルコール単量体としては、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等の芳香族アルコール;ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセリン、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン等の脂肪族アルコール等が挙げられる。
さらに、本発明において、結晶性ポリエステル樹脂の特性を損なわない程度に1価のアルコ−ルを用いてもよい。該1価のアルコールとしては、例えばn−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、n−ヘキサノール、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール等のモノアルコールなどが挙げられる。
一方、炭素数2以上22以下(より好ましくは炭素数6以上12以下)の脂肪族ジカルボン酸としては、特に限定されないが、鎖状(より好ましくは直鎖状)の脂肪族ジカルボン酸であることが好ましい。具体例としてはシュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸(ヘキサン二酸)、ピメリン酸、スペリン酸、グルタコン酸、ノナンジカルボン酸、デカンジカルボン酸(デカン二酸)、ウンデカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸(ドデカン二酸)、マレイン酸、フマル酸、メサコン酸、シトラコン酸、イタコン酸が挙げられ、これらの酸無水物または低級アルキルエステルを加水分解したものなども含まれる。
これらの中でも特に、ヘキサン二酸、デカン二酸、ドデカン二酸が好ましいものとして例示される。
本発明において、上記カルボン酸成分のうち、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上が、炭素数2以上22以下(より好ましくは炭素数6以上12以下)の脂肪族ジカルボン酸から選ばれるカルボン酸である。
本発明において、上記炭素数2以上22以下の脂肪族ジカルボン酸以外の多価カルボン酸を用いることもできる。その他の多価カルボン酸単量体のうち、2価のカルボン酸としては、イソフタル酸、テレフタル酸等の芳香族カルボン酸;n−ドデシルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸の脂肪族カルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式カルボン酸が挙げられ、これらの酸無水物または低級アルキルエステルなども含まれる。また、その他のカルボン酸単量体のうち、3価以上の多価カルボン酸としては、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、ピロメリット酸等の芳香族カルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパンの脂肪族カルボン酸が挙げられ、これらの酸無水物または低級アルキルエステルの誘導体も含まれる。
さらに、本発明において、結晶性ポリエステル樹脂の特性を損なわない程度に1価のカルボン酸を含有していてもよい。1価のカルボン酸としては、例えば安息香酸、ナフタレンカルボン酸、サリチル酸、4−メチル安息香酸、3−メチル安息香酸、フェノキシ酢酸、ビフェニルカルボン酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、オクタン酸のモノカルボン酸が挙げられる。
また、本発明に係る結晶性ポリエステル樹脂は、炭素数10以上20以下の脂肪族モノカルボン酸および炭素数10以上20以下の脂肪族モノアルコールの少なくとも一方に由来するユニットを分子鎖の末端に有する場合が好ましい。製造上はこれらの単量体組成物を縮合反応させることにより得られる。このような結晶性ポリエステル樹脂を用いることが、低温定着性と保存性の観点から好ましい。一般的に、結晶性ポリエステル樹脂の再結晶化は、結晶核を起点として、結晶が成長していく。そこで、分子鎖の末端に炭素数10以上20以下の脂肪族モノカルボン酸および炭素数10以上20以下の脂肪族モノアルコールからなる群より選ばれた一種以上の脂肪族化合物を付与することで、そこが結晶核となる。従って、結晶性ポリエステル樹脂の再結晶化を促進することができるため、保存性が良化する。さらに、炭素数が上記の範囲であると、分子鎖の末端に縮合させることも容易であり、遊離モノマーとして存在することはなくなるため、保存性の観点から好ましい。さらに、炭素数が上記の範囲であると、結晶性ポリエステル樹脂と非晶性ポリエステル結着樹脂の相溶性を損なうことがないため、低温定着性の観点から好ましい。
さらに、前記の脂肪族モノカルボン酸および前記の脂肪族モノアルコールからなる群より選ばれた一種以上の脂肪族化合物は、結晶性ポリエステル樹脂の原料モノマーに対して、1.0mol%以上10.0mol%以下であることが好ましい。4.0mol%以上8.0mol%以下であることが更に好ましい。脂肪族化合物が上記範囲の量であると、低温定着性を阻害することなく、適量の結晶核を存在させることができるため好ましい。
炭素数10以上20以下の脂肪族モノカルボン酸としては、カプリン酸(デカン酸)、ウンデシル酸、ラウリン酸(ドデカン酸)、トリデシル酸、ミリスチル酸(テトラデカン酸)、ペンタデシル酸、パルミチン酸(ヘキサデカン酸)、マルガリン酸(ヘプタデカン酸)、ステアリン酸(オクタデカン酸)、ノナデシル酸、アラキジン酸(イコサン酸)が挙げられる。
炭素数10以上20以下の脂肪族モノアルコールとしては、カプリルアルコール(デカノール)、ウンデカノール、ラウリルアルコール(ドデカノール)、トリデカノール、ミリスチルアルコール(テトラデカノール)、ペンタデカノール、パルミチルアルコール(ヘキサデカノール)、マルガリルアルコール(ヘプタデカノール)、ステアリルアルコール(オクタデカノール)、ノナデカノール、アラキジルアルコール(イコサノール)が挙げられる。
本発明では、結晶性ポリエステル樹脂は、結着樹脂100質量部あたり3質量部以上20質量部以下で使用されることが、低温定着性や高温高湿環境下における帯電性の観点から好ましい。
本発明における結晶性ポリエステル樹脂は、通常のポリエステル合成法に従って製造することができる。例えば、前記したカルボン酸単量体とアルコ−ル単量体とをエステル化反応、またはエステル交換反応せしめた後、減圧下または窒素ガスを導入して常法に従って重縮合反応させることで結晶性ポリエステル樹脂を得ることができる。その後、さらに、上記の脂肪族化合物を加え、エステル化反応を行うことで、所望の結晶性ポリエステル樹脂を得られることができる。
上記エステル化またはエステル交換反応は、必要に応じて硫酸、チタンブトキサイド、ジブチルスズオキサイド、酢酸マンガン、酢酸マグネシウムなどの通常のエステル化触媒またはエステル交換触媒を用いて行うことができる。
また、上記重縮合反応は、通常の重合触媒、例えばチタンブトキサイド、ジブチルスズオキサイド、酢酸スズ、酢酸亜鉛、二硫化スズ、三酸化アンチモン、二酸化ゲルマニウムなど公知の触媒を使用して行うことができる。重合温度、触媒量は特に限定されるものではなく、適宜に決めればよい。
エステル化もしくはエステル交換反応または重縮合反応において、得られる結晶性ポリエステルの強度を上げるために全単量体を一括仕込みしたり、低分子量成分を少なくするために2価の単量体を先ず反応させた後、3価以上の単量体を添加して反応させたりする等の方法を用いてもよい。
[ワックス]
本発明のトナーに用いられるワックスとしては、例えば以下のものが挙げられる。低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、アルキレン共重合体、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスのような炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックスのような炭化水素系ワックスの酸化物またはそれらのブロック共重合物;カルナバワックスのような脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;脱酸カルナバワックスのような脂肪酸エステル類を一部または全部を脱酸化したもの。さらに、以下のものが挙げられる。パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸のような飽和直鎖脂肪酸類;ブラシジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸のような不飽和脂肪酸類;ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールのような飽和アルコール類;ソルビトールのような多価アルコール類;パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、モンタン酸のような脂肪酸類と、ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールのようなアルコール類とのエステル類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドのような脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドのような飽和脂肪酸ビスアミド類;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’ジオレイルセバシン酸アミドのような不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’ジステアリルイソフタル酸アミドのような芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムのような脂肪族金属塩(一般に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸のようなビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;ベヘニン酸モノグリセリドのような脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂の水素添加によって得られるヒドロキシ基を有するメチルエステル化合物。
これらのワックスの中でも、低温定着性、耐ホットオフセット性を向上させるという観点で、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスのような炭化水素系ワックス、もしくはカルナバワックスのような脂肪酸エステル系ワックスが好ましい。本発明においては、耐ホットオフセット性がより向上する点で、炭化水素系ワックスがより好ましい。
本発明では、ワックスは、結着樹脂100質量部あたり1質量部以上20質量部以下で使用されることが好ましい。
また、示差走査熱量測定(DSC)装置で測定される昇温時の吸熱曲線において、ワックスの最大吸熱ピークのピーク温度としては45℃以上140℃以下であることが好ましい。ワックスの最大吸熱ピークのピーク温度が上記範囲内であるとトナーの保存性と耐ホットオフセット性を両立できるため好ましい。
[着色剤]
トナーに含有できる着色剤としては、以下のものが挙げられる。
黒色着色剤としては、カーボンブラック;イエロー着色剤とマゼンタ着色剤およびシアン着色剤とを用いて黒色に調色したものが挙げられる。着色剤には、顔料を単独で使用してもかまわないが、染料と顔料とを併用してその鮮明度を向上させた方がフルカラー画像の画質の点からより好ましい。
マゼンタトナー用顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、39、40、41、48:2、48:3,48:4、49、50、51、52、53、54、55、57:1、58、60、63、64、68、81:1、83、87、88、89、90、112、114、122、123、146、147、150、163、184、202、206、207、209、238、269、282;C.I.ピグメントバイオレット19;C.I.バットレッド1、2、10、13、15、23、29、35。
マゼンタトナー用染料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ソルベントレッド1、3、8、23、24、25、27、30、49、81、82、83、84、100、109、121;C.I.ディスパースレッド9;C.I.ソルベントバイオレット8、13、14、21、27;C.I.ディスパーバイオレット1のような油溶染料、C.I.ベーシックレッド1、2、9、12、13、14、15、17、18、22、23、24、27、29、32、34、35、36、37、38、39、40;C.I.ベーシックバイオレット1、3、7、10、14、15、21、25、26、27、28のような塩基性染料。
シアントナー用顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントブルー2、3、15:2、15:3、15:4、16、17;C.I.バットブルー6;C.I.アシッドブルー45、フタロシアニン骨格にフタルイミドメチル基を1〜5個置換した銅フタロシアニン顔料。
シアントナー用染料としては、C.I.ソルベントブルー70がある。
イエロートナー用顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、15、16、17、23、62、65、73、74、83、93、94、95、97、109、110、111、120、127、128、129、147、151、154、155、168、174、175、176、180、181、185;C.I.バットイエロー1、3、20。
イエロートナー用染料としては、C.I.ソルベントイエロー162がある。
着色剤の使用量は、結着樹脂100質量部に対して0.1質量部以上30質量部以下で使用されることが好ましい。
[荷電制御剤]
トナーには、必要に応じて荷電制御剤を含有させることもできる。トナーに含有される荷電制御剤としては、公知のものが利用できるが、特に、無色でトナーの帯電スピードが速く且つ一定の帯電量を安定して保持できる芳香族カルボン酸の金属化合物が好ましい。
ネガ系荷電制御剤としては、サリチル酸金属化合物、ナフトエ酸金属化合物、ジカルボン酸金属化合物、スルホン酸またはカルボン酸を側鎖に持つ高分子型化合物、スルホン酸塩或いはスルホン酸エステル化物を側鎖に持つ高分子型化合物、カルボン酸塩或いはカルボン酸エステル化物を側鎖に持つ高分子型化合物、ホウ素化合物、尿素化合物、ケイ素化合物、およびカリックスアレーンが挙げられる。ポジ系荷電制御剤としては、四級アンモニウム塩、前記四級アンモニウム塩を側鎖に有する高分子型化合物、グアニジン化合物、イミダゾール化合物が挙げられる。荷電制御剤はトナー粒子に対して内添してもよいし外添してもよい。荷電制御剤の添加量は、結着樹脂100質量部に対し0.2質量部以上10質量部以下が好ましい。
[無機粒子]
本発明のトナーは、トナー粒子の表面に無機微粒子を有する。無機微粒子は、トナー粒子の表面に外添されていることは勿論であるが、内添されていてもよい。外添剤としては、シリカ、酸化チタン、酸化アルミニウムのような無機微粒子が好ましい。無機微粒子は、シラン化合物、シリコーンオイルまたはそれらの混合物のような疎水化剤で疎水化されていることが好ましい。流動性向上のための外添剤としては、比表面積が50m2/g以上400m2/g以下の無機微粒子が好ましく、耐久性安定化のためには、比表面積が10m2/g以上50m2/g以下の無機微粒子であることが好ましい。流動性向上や耐久性安定化を両立させるためには、比表面積が上記範囲の無機微粒子を併用してもよい。
外添剤は、トナー粒子100質量部に対して0.1質量部以上10.0質量部以下使用されることが好ましい。トナー粒子と外添剤との混合は、ヘンシェルミキサーのような公知の混合機を用いることができる。
[現像剤]
本発明のトナーは、一成分系現像剤としても使用できるが、ドット再現性をより向上させるために、磁性キャリアと混合して、二成分系現像剤として用いることが、また長期にわたり安定した画像が得られるという点で好ましい。
磁性キャリアとしては、例えば、表面を酸化した鉄粉、或いは、未酸化の鉄粉や、鉄、リチウム、カルシウム、マグネシウム、ニッケル、銅、亜鉛、コバルト、マンガン、クロム、希土類のような金属粒子、それらの合金粒子、酸化物粒子、フェライト等の磁性体や、磁性体と、この磁性体を分散した状態で保持するバインダー樹脂とを含有する磁性体分散樹脂キャリア(いわゆる樹脂キャリア)等、一般に公知のものを使用できる。
本発明のトナーを磁性キャリアと混合して二成分系現像剤として使用する場合、その際のキャリア混合比率は、二成分系現像剤中のトナー濃度として、2質量%以上15質量%以下、好ましくは4質量%以上13質量%以下にすると通常良好な結果が得られる。
[製造方法]
トナー粒子を製造する方法としては、非晶性ポリエステル樹脂、ワックス、着色剤、結晶性ポリエステル樹脂を含有するトナー組成物を溶融混練し、溶融混練物を冷却後、粉砕分級する粉砕法が好ましい。
以下、粉砕法でのトナー製造手順について説明する。
原料混合工程では、トナー粒子を構成する材料として、例えば、非晶性ポリエステル樹脂、ワックス、着色剤、結晶性ポリエステル樹脂、必要に応じて荷電制御剤および他の成分を所定量秤量して配合し、混合する。混合装置の一例としては、ダブルコン・ミキサー、V型ミキサー、ドラム型ミキサー、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー、ナウタミキサ、メカノハイブリッド(日本コークス工業株式会社製)が挙げられる。
次に、混合した材料を溶融混練して、結着樹脂中にワックスおよび他の材料を分散させる。その溶融混練工程では、加圧ニーダー、バンバリィミキサーのようなバッチ式練り機や、連続式の練り機を用いることができ、連続生産できる優位性から、1軸または2軸押出機が主流となっている。例えば、KTK型2軸押出機(神戸製鋼所社製)、TEM型2軸押出機(東芝機械社製)、PCM混練機(池貝鉄工製)、2軸押出機(ケイ・シー・ケイ社製)、コ・ニーダー(ブス社製)、ニーデックス(日本コークス工業株式会社製)などが挙げられる。更に、溶融混練することによって得られる樹脂組成物は、2本ロール等で圧延され、冷却工程で水などによって冷却してもよい。
ついで、樹脂組成物の冷却物は、粉砕工程で所望の粒径にまで粉砕される。粉砕工程では、例えば、クラッシャー、ハンマーミル、フェザーミルのような粉砕機で粗粉砕した後、更に、例えば、クリプトロンシステム(川崎重工業社製)、スーパーローター(日清エンジニアリング社製)、ターボ・ミル(ターボ工業製)やエアージェット方式による微粉砕機で微粉砕する。
その後、必要に応じて慣性分級方式のエルボージェット(日鉄鉱業社製)、遠心力分級方式のターボプレックス(ホソカワミクロン社製)、TSPセパレータ(ホソカワミクロン社製)、ファカルティ(ホソカワミクロン社製)のような分級機や篩分機を用いて分級しトナー粒子を得る。
その後、加熱によるトナー粒子の表面処理を行い、トナーの円形度を増加させる。例えば、図1で表される表面処理装置を用いて、熱風により表面処理を行うこともできる。
原料定量供給手段1により定量供給された混合物は、圧縮気体調整手段2により調整された圧縮気体によって、原料供給手段の鉛直線上に設置された導入管3に導かれる。導入管を通過した混合物は、原料供給手段の中央部に設けられた円錐状の突起状部材4により均一に分散され、放射状に広がる8方向の供給管5に導かれ熱処理が行われる処理室6に導かれる。
このとき、処理室に供給された混合物は、処理室内に設けられた混合物の流れを規制するための規制手段9によって、その流れが規制される。このため処理室に供給された混合物は、処理室内を旋回しながら熱処理された後、冷却される。
供給された混合物を熱処理するための熱風は、熱風供給手段7から供給され、熱風を旋回させるための旋回部材13により、処理室内に熱風を螺旋状に旋回させて導入される。その構成としては、熱風を旋回させるための旋回部材13が、複数のブレードを有しており、その枚数や角度により、熱風の旋回を制御することができる。処理室内に供給される熱風は、熱風供給手段7の出口部における温度(以下、熱風温度という。)が100℃以上300℃以下であることが好ましい。より好ましくは、120℃以上200℃以下の範囲である。熱風供給手段の出口部における温度が上記の範囲内であれば、混合物を加熱しすぎることによるトナー粒子の融着や合一を抑制しつつ、トナー粒子を均一に球形化処理することが可能となる。
更に熱処理された熱処理トナー粒子は冷風供給手段8から供給される冷風によって冷却され、冷風供給手段8から供給される温度は−20℃以上30℃以下であることが好ましい。冷風の温度が上記の範囲内であれば、熱処理トナー粒子を効率的に冷却することができ、混合物の均一な球形化処理を阻害することなく、熱処理トナー粒子の融着や合一を防止することができる。冷風の絶対水分量は、0.5g/m以上15.0g/m以下であることが好ましい。
次に、冷却された熱処理トナー粒子は、処理室の下端にある回収手段10によって回収される。なお、回収手段の先にはブロワー(不図示)が設けられ、それにより吸引搬送される構成となっている。
また、粉体粒子供給口14は、供給された混合物の旋回方向と熱風の旋回方向が同方向になるように設けられており、表面処理装置の回収手段10は、旋回された粉体粒子の旋回方向を維持するように、処理室の外周部に設けられている。さらに、冷風供給手段8から供給される冷風は、装置外周部から処理室内周面に、水平かつ接線方向から供給されるよう構成されている。粉体粒子供給口から供給されるトナー粒子の旋回方向、冷風供給手段から供給された冷風の旋回方向、熱風供給手段から供給された熱風の旋回方向がすべて同方向である。そのため、処理室内で乱流が起こらず、装置内の旋回流が強化され、トナー粒子に強力な遠心力がかかり、トナー粒子の分散性が更に向上するため、合一粒子の少ない、形状の揃ったトナー粒子を得ることができる。
更に必要に応じて、トナー粒子の表面に外添剤が外添処理される。外添剤を外添処理する方法としては、分級されたトナー粒子と公知の各種外添剤を所定量配合し、ダブルコン・ミキサー、V型ミキサー、ドラム型ミキサー、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー、ナウタミキサ、メカノハイブリッド(日本コークス工業株式会社製)、ノビルタ(ホソカワミクロン株式会社製)のような混合装置を外添機として用いて、撹拌・混合する方法が挙げられる。
トナーのフロー式粒子像測定装置によって計測された円相当径1.985μm以上39.69μm未満の粒子の平均円形度が、0.950以上1.000以下である場合が、転写性およびクリーニング性を両立できるため好ましい。
トナーおよび原材料の各種物性の測定法について以下に説明する。
[GPCによるアルキルモノアルコールおよびアルキルモノカルボン酸の分子量測定]
装置 :HLC−8121GPC/HT(東ソー社製)
カラム:TSKgel GMHHR−H HT 7.8cmI.D×30cm2連(東ソー社製)
検出器:高温用RI
温度 :135℃
溶媒 :o−ジクロロベンゼン(0.05%アイオノール添加)
流速 :1.0ml/min
試料 :0.1%の試料を0.4ml注入
以上の条件で測定し、試料の分子量算出にあたっては単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量較正曲線を使用する。さらに、Mark−Houwink粘度式から導き出される換算式でポリエチレン換算をすることによって算出される。
[アルキルモノアルコールおよびアルキルモノカルボン酸の酸価の測定]
・装置および器具:三角フラスコ(300ml)、ビュレット(25ml)、水浴または熱板
・試薬:0.1kmol/m塩酸、0.1kmol/m水酸化カリウムエタノール溶液(標定は、0.1kmol/m塩酸25mlを全ピペットを用いて三角フラスコに取り、フェノールフタレイン溶液を加え、0.1kmol/m水酸化カリウムエタノール溶液で滴定し、中和に要した量からファクターを求める。)、フェノールフタレイン溶液、溶剤(ジエチルエーテルとエタノール(99.5)を体積比で1:1または2:1で混合したもの。これらは、使用直前にフェノールフタレイン溶液を指示薬として数滴加え、0.1kmol/m水酸化カリウムエタノール溶液で中和する。)
・測定法:
(a)炭化水素系ワックス(a)1〜20gを三角フラスコに精秤する。
(b)溶剤100mlおよび指示薬としてフェノールフタレイン溶液を数滴加え、水浴上で炭化水素系ワックスが完全に溶けるまで十分に振り混ぜる。
(c)0.1kmol/m水酸化カリウムエタノール溶液で滴定し、指示薬の薄い紅色が30秒間続いたときを終点とする。
・計算:
A=5.611×B×f/S ただし、A:酸価(mgKOH/g)
B:滴定に用いた0.1kmol/m水酸化カリウムエタノール溶液の量(ml)
f:0.1kmol/m水酸化カリウムエタノール溶液のファクター
S:炭化水素系ワックス(a)の質量(g)
5.611:水酸化カリウムの式量56.11×1/10
[アルキルモノアルコールおよびアルキルモノカルボン酸の水酸基価の測定]
・装置および器具:メスシリンダー(100ml)、全量ピペット(5ml)、平底フラスコ(200ml)、グリセリン浴
・試薬:アセチル化試薬(無水酢酸25gを全量フラスコ100mlに取り、ピリジンを加えて全量を100mlにし、十分に振り混ぜる。)、フェノールフタレイン溶液、0.5kmol/m水酸化カリウムエタノール溶液
・測定法
(a)炭化水素系ワックスを0.5〜6.0g平底フラスコに精秤し、これにアセチル化試薬5mlを全量ピペットを用いて加える。
(b)フラスコの口に小さな漏斗を置き、温度95〜100℃のグリセリン浴中に底部約1cmを浸して加熱する。フラスコの首がグリセリン浴の熱を受けて温度が上がるのを防ぐために、中に丸い穴をあけた厚紙の円板をフラスコの首の付け根にかぶせる。
(c)1時間後フラスコをグリセリン浴から取り出し、放冷後漏斗から水1mlを加えて振り動かして無水酢酸を分解する。
(d)更に、分解を完全にするため、再びフラスコをグリセリン浴中で10分間加熱し、放冷後エタノール(95)5mlで漏斗およびフラスコの壁を洗う。
(e)フェノールフタレイン溶液数滴を指示薬として加え、0.5kmol/m水酸化カリウムエタノール溶液で滴定し、指示薬の薄い紅色が約30秒間続いたときを終点とする。
(f)空試験は、炭化水素系ワックス(a)を入れないで(a)〜(e)を行う。
(g)試料が溶解しにくい場合は、少量のピリジンを追加するか、キシレンまたはトルエンを加えて溶解する。
・計算
A=[{(B−C)×28.05×f}/S]+D ただし、A:水酸基価(mgKOH/g)
B:空試験に用いた0.5kmol/m水酸化カリウムエタノール溶液の量(ml)
C:滴定に用いた0.5kmol/m水酸化カリウムエタノール溶液の量(ml)
f:0.5kmol/m水酸化カリウムエタノール溶液のファクター
S:炭化水素系ワックスの質量(g)
D:酸価
28.05:水酸化カリウムの式量56.11×1/2
[アルキルモノアルコールおよびアルキルモノカルボン酸のエステル価の測定]
次の式によって算出する。
(エステル価)=(ケン化価)−(酸価)
ケン化価の測定
・装置および器具:三角フラスコ(200〜300ml)、空気冷却器(外径6〜8mm,長さ100cmのガラス管または環流冷却器で、いずれも三角フラスコの口にすりあわせ接続できるもの)、水浴、砂浴または熱板(約80℃の温度に調節できるもの)、ビュレット(50ml)、全量ピペット(25ml)
・試薬:0.5kmol/m塩酸、0.5kmol/m水酸化カリウムエタノール溶液
フェノールフタレイン溶液
・測定法
(a)炭化水素系ワックス(a)1.5〜3.0gを三角フラスコに1mgの桁まで精秤する。
(b)0.5kmol/m水酸化カリウムエタノール溶液25mlを全量ピペットを用いて加える。
(c)三角フラスコに空気冷却器を取り付け、ときどき内容物を振り混ぜながら30分間水浴、砂浴または熱板上で穏やかに加熱して反応させる。加熱するときは、環流するエタノールの環が空気冷却器の上端に達しないように加熱温度を調節する。
(d)反応が終わった後、直ちに冷却し、内容物が寒天状に固まらないうちに空気冷却器の上から少量の水、またはキシレン:エタノール=1:3混合溶液を吹き付けてその内壁を洗浄した後、空気冷却器を外す。
(e)指示薬としてフェノールフタレイン溶液1mlを加えて、0.5kmol/m塩酸で滴定し、指示薬の薄い紅色が約1分間現れなくなったときを終点とする。
(f)空試験は、炭化水素系ワックス(a)を入れないで(a)〜(e)を行う。
(g)試料が溶解しにくい場合は、予めキシレン、またはキシレン−エタノール混合溶媒を用いて溶解する。
・計算
A={(B−C)×28.05×f}/S ただし、A:ケン化価(mgKOH/g)
B:空試験に用いた0.5kmol/m塩酸の量(ml)
C:滴定に用いた0.5kmol/m塩酸の量(ml)
f:0.5kmol/m塩酸のファクター
S:炭化水素系ワックス(a)の質量(g)
28.05:水酸化カリウムの式量56.11×1/2
[GPCによる樹脂の分子量測定]
樹脂のTHF可溶分の分子量分布は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、以下のようにして測定する。
まず、室温で24時間かけて、トナーをテトラヒドロフラン(THF)に溶解する。そして、得られた溶液を、ポア径が0.2μmの耐溶剤性メンブランフィルター「マエショリディスク」(東ソー社製)で濾過してサンプル溶液を得る。尚、サンプル溶液は、THFに可溶な成分の濃度が約0.8質量%となるように調整する。このサンプル溶液を用いて、以下の条件で測定する。
装置:HLC8120 GPC(検出器:RI)(東ソー社製)
カラム:Shodex KF−801、802、803、804、805、806、807の7連(昭和電工社製)
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
流速:1.0ml/min
オーブン温度:40.0℃
試料注入量:0.10ml
試料の分子量の算出にあたっては、標準ポリスチレン樹脂(例えば、商品名「TSKスタンダード ポリスチレン F−850、F−450、F−288、F−128、F−80、F−40、F−20、F−10、F−4、F−2、F−1、A−5000、A−2500、A−1000、A−500」、東ソ−社製)を用いて作成した分子量校正曲線を使用する。
[樹脂の軟化点の測定方法]
樹脂の軟化点の測定は、定荷重押し出し方式の細管式レオメータ「流動特性評価装置 フローテスターCFT−500D」(島津製作所社製)を用い、装置付属のマニュアルに従って行う。本装置では、測定試料の上部からピストンによって一定荷重を加えつつ、シリンダに充填した測定試料を昇温させて溶融し、シリンダ底部のダイから溶融された測定試料を押し出し、この際のピストン降下量と温度との関係を示す流動曲線を得ることができる。
本発明においては、「流動特性評価装置 フローテスターCFT−500D」に付属のマニュアルに記載の「1/2法における溶融温度」を軟化点とする。尚、1/2法における溶融温度とは、次のようにして算出されたものである。まず、流出が終了した時点におけるピストンの降下量Smaxと、流出が開始した時点におけるピストンの降下量Sminとの差の1/2を求める(これをXとする。X=(Smax−Smin)/2)。そして、流動曲線においてピストンの降下量がXとなるときの流動曲線の温度が、1/2法における溶融温度である。
測定試料は、約1.0gの樹脂を、25℃の環境下で、錠剤成型圧縮機(例えば、NT−100H、エヌピーエーシステム社製)を用いて約10MPaで、約60秒間圧縮成型し、直径約8mmの円柱状としたものを用いる。
CFT−500Dの測定条件は、以下の通りである。
試験モード:昇温法
開始温度:50℃
到達温度:200℃
測定間隔:1.0℃
昇温速度:4.0℃/min
ピストン断面積:1.000cm
試験荷重(ピストン荷重):10.0kgf(0.9807MPa)
予熱時間:300秒
ダイの穴の直径:1.0mm
ダイの長さ:1.0mm
[樹脂のガラス転移温度(Tg)およびトナーの吸熱量の測定]
樹脂のガラス転移温度は、示差走査熱量分析装置「Q2000」(TA Instruments社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定する。
装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。
具体的には、樹脂約5mgを精秤し、アルミニウム製のパンの中に入れ、リファレンスとして空のアルミニウム製のパンを用い、測定範囲30℃以上200℃以下の間で、昇温速度10℃/minで測定を行う。一度180℃まで昇温させ10分間保持し、続いて30℃まで降温し、その後に再度昇温を行う。この2度目の昇温過程で、温度30℃以上100℃以下の範囲において比熱変化が得られる。このときの比熱変化が出る前と出た後のベースラインの中間点の線と示差熱曲線との交点を、樹脂のガラス転移温度(Tg)とする。さらに、トナーの吸熱量は、上記樹脂のTgの測定法と同様にして得られた温度―吸熱量曲線において、温度60℃以上90℃以下の範囲における温度−吸熱量曲線の最大吸熱ピークの面積から求める。
[トナー粒子の重量平均粒径(D4)の測定方法]
トナー粒子の重量平均粒径(D4)は、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)と、測定条件設定および測定データ解析をするための付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いて、実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで測定し、測定データの解析を行い、算出する。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
尚、測定、解析を行う前に、以下のように前記専用ソフトの設定を行う。
前記専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更画面」において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。閾値/ノイズレベルの測定ボタンを押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、測定後のアパーチャーチューブのフラッシュにチェックを入れる。
専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定画面」において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μm以上60μm以下に設定する。
具体的な測定法は以下の通りである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250ml丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mlを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行う。そして、解析ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100ml平底ビーカーに前記電解水溶液約30mlを入れ、この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で3質量倍に希釈した希釈液を約0.3ml加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を、位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispension System Tetora150」(日科機バイオス社製)の水槽内に所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に前記コンタミノンNを約2ml添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。尚、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナーを分散した前記(5)の電解質水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行う。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行い、重量平均粒径(D4)を算出する。尚、専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、分析/体積統計値(算術平均)画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)である。
[トナーの平均円形度の測定方法]
トナーの平均円形度は、フロー式粒子像分析装置「FPIA−3000」(シスメックス社製)によって、校正作業時の測定および解析条件で測定する。
フロー式粒子像分析装置「FPIA−3000」(シスメックス社製)の測定原理は、流れている粒子を静止画像として撮像し、画像解析を行うというものである。試料チャンバーへ加えられた試料は、試料吸引シリンジによって、フラットシースフローセルに送り込まれる。フラットシースフローに送り込まれた試料は、シース液に挟まれて扁平な流れを形成する。フラットシースフローセル内を通過する試料に対しては、1/60秒間隔でストロボ光が照射されており、流れている粒子を静止画像として撮影することが可能である。また、扁平な流れであるため、焦点の合った状態で撮像される。粒子像はCCDカメラで撮像され、撮像された画像は512×512画素の画像処理解像度(一画素あたり0.37×0.37μm)で画像処理され、各粒子像の輪郭抽出を行い、粒子像の投影面積Sや周囲長L等が計測される。
次に、上記面積Sと周囲長Lを用いて円相当径と円形度を求める。円相当径とは、粒子像の投影面積と同じ面積を持つ円の直径のことであり、円形度Cは、円相当径から求めた円の周囲長を粒子投影像の周囲長で割った値として定義され、次式で算出される。
円形度C=2×(π×S)1/2/L
粒子像が円形の時に円形度は1.000になり、粒子像外周の凹凸の程度が大きくなればなるほど円形度は小さい値になる。各粒子の円形度を算出後、円形度0.200以上1.000以下の範囲を800分割し、得られた円形度の相加平均値を算出し、その値を平均円形度とする。
具体的な測定方法は、以下の通りである。まず、ガラス製の容器中に予め不純固形物などを除去したイオン交換水約20mlを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で約3質量倍に希釈した希釈液を約0.2ml加える。更に測定試料を約0.02g加え、超音波分散器を用いて2分間分散処理を行い、測定用の分散液とする。その際、分散液の温度が10℃以上40℃以下となる様に適宜冷却する。超音波分散器としては、発振周波数50kHz、電気的出力150Wの卓上型の超音波洗浄器分散器(例えば「VS−150」(ヴェルヴォクリーア社製))を用い、水槽内には所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に該コンタミノンNを約2ml添加する。
測定には、標準対物レンズ(10倍)を搭載した該フロー式粒子像分析装置を用い、シース液にはパーティクルシース「PSE−900A」(シスメックス社製)を使用した。該手順に従い調整した分散液を該フロー式粒子像分析装置に導入し、HPF測定モードで、トータルカウントモードにて3000個のトナー粒子を計測する。そして、粒子解析時の2値化閾値を85%とし、解析粒子径を指定することにより、その範囲の粒子の個数割合(%)、平均円形度を算出することができる。トナーの平均円形度は、円相当径1.98μm以上39.96μm以下とし、トナーの平均円形度を求めた。
測定にあたっては、測定開始前に標準ラテックス粒子(例えば、Duke Scientific社製の「RESEARCH AND TEST PARTICLES Latex Microsphere Suspensions 5200A」をイオン交換水で希釈)を用いて自動焦点調整を行う。その後、測定開始から2時間毎に焦点調整を実施することが好ましい。
なお、本願実施例では、シスメックス社による校正作業が行われた、シスメックス社が発行する校正証明書の発行を受けたフロー式粒子像分析装置を使用した。解析粒子径を円相当径1.98μm以上39.69μm未満に限定した以外は、校正証明を受けた時の測定および解析条件で測定を行った。
[アルキルモノアルコールA1の製造例]
・パラフィンワックス:100.0質量部(数平均分子量(Mn=399)、平均炭素数35)
・ホウ酸/無水ホウ酸=1.44(モル比)(混合触媒):2.6質量部(0.04モル)
冷却管、攪拌機、窒素導入管、および、熱電対のついた反応槽に、上記材料を秤量した。次に140℃の温度まで昇温させた後、空気と窒素を吹き込みながら180℃で2時間反応を行った。反応終了後、反応混合物に等量の温水(95℃)を加え、反応混合物を加水分解させ、静置して上層に分離した反応物を分取し、水洗いしてアルキルモノアルコールA1を得た。得られたアルキルモノアルコーA1の数平均分子量、平均炭素数、水酸基価、エステル価、酸価を表1に示す。
(アルキルモノカルボン酸B1の製造例)
アルキルモノアルコールA1の製造例において、表1の物性となるように、触媒量、合成条件を変更したほかは同様にして反応を行い、長鎖アルキルモノカルボン酸B1を得た。アルキルモノカルボン酸B1の物性を表1に示す。
(アルキルモノアルコールA2〜A5の製造例)
アルキルモノアルコールA1の製造例において、表1の物性となるように原料、触媒量、合成条件を変更したほかは同様にして反応を行い、アルキルモノアルコールA2〜A5を得た。アルキルモノアルコールA2〜A5の物性を表1に示す。
[ポリエステル樹脂C1の製造例]
・ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン:67.9質量部(0.19モル;多価アルコール総モル数に対して93.0mol%)
・アルキルモノアルコールA1:5.1質量部(0.01モル;多価アルコール総モル数に対して7.0mol%)
・テレフタル酸:20.8質量部(0.13モル;多価カルボン酸総モル数に対して75.0mol%)
・フマル酸:2.9質量部(0.03モル;多価カルボン酸総モル数に対して15.0mol%)
・チタンテトラブトキシド(エステル化触媒):0.5質量部
冷却管、攪拌機、窒素導入管、および、熱電対のついた反応槽に、上記材料を秤量した。次にフラスコ内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、200℃の温度で撹拌しつつ、2時間反応させた。
さらに、反応槽内の圧力を8.3kPaに下げ、1時間維持した後、180℃まで冷却し、大気圧に戻した(第1反応工程)。
・無水トリメリット酸:3.2質量部(0.03モル;多価カルボン酸総モル数に対して15.0mol%)
・tert−ブチルカテコール(重合禁止剤):0.1質量部
その後、上記材料を加え、反応槽内の圧力を8.3kPaに下げ、温度160℃に維持したまま、15時間反応させた。ASTM D36−86に従って測定した軟化点が表2に示す所望温度に達したのを確認してから温度を下げて反応を止め、(第2反応工程)、ポリエステル樹脂C1を得た。得られたポリエステル樹脂C1のピーク分子量、軟化点、ガラス転移温度を表2に示す。
[ポリエステル樹脂C2〜10の製造例]
ポリエステル樹脂C1製造例において、多価アルコール成分および/または多価カルボン酸成分のモル比率を表1となるようにそれぞれのモノマーの質量部数を変更した。
軟化点が表1となるように第二反応の時間を変更したほかは同様にして反応を行い、ポリエステル樹脂C2〜A10を得た。ポリエステル樹脂C2〜C10の物性を表2に示す。
[結晶性ポリエステル樹脂D1の製造例]
・ヘキサンジオール:34.5質量部(0.29モル;多価アルコール総モル数に対して100.0mol%)
・ドデカン二酸:65.5質量部(0.28モル;多価カルボン酸総モル数に対して100.0mol%)
冷却管、攪拌機、窒素導入管、および、熱電対のついた反応槽に、上記材料を秤量した。次にフラスコ内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、140℃の温度で撹拌しつつ、3時間反応させた。
・2−エチルヘキサン酸錫:0.5質量部
その後、上記材料を加え、反応槽内の圧力を8.3kPaに下げ、温度200℃に維持したまま、4時間反応させた(第1反応工程)。
・オクタデカン酸:11.5質量部(0.04モル;多価カルボン酸および多価アルコールの総モル数に対して7.0mol%)
その後、反応槽内の圧力を序々に開放して常圧へ戻した後、上記材料を加え、常圧下にて200℃で2時間反応させた。その後、再び反応槽内を5kPa以下へ減圧して200℃で3時間反応させることにより結晶性ポリエステル樹脂D1を得た(第2反応工程)。得られたポリエステル樹脂D1のピーク分子量、軟化点を表3に示す。
[結晶性ポリエステル樹脂D2〜11の製造例]
第1反応工程の多価アルコール成分および/または多価カルボン酸成分のそれぞれのモノマーの質量部数を表3に示すようにD1製造の場合から変更した以外はD1製造と同様に反応を行った。更に第2反応工程における、アルコールまたはカルボン酸のモノマー質量部数を表3に示すようにD1製造の場合から変更した以外はD1製造と同様にして反応を行い、結晶性ポリエステル樹脂D2〜D11を得た。結晶性ポリエステル樹脂D2〜D11の物性を表3に示す。
[トナー1製造例]
・ポリエステル樹脂C1:90質量部
・結晶性ポリエステル樹脂D1:10質量部
・フィッシャートロプシュワックス(最大吸熱ピークのピーク温度78℃):5質量部
・C.I.ピグメントブルー15:3 :7質量部
・3,5−ジ−t−ブチルサリチル酸アルミニウム化合物(ボントロンE88 オリエント化学工業社製):0.3質量部
上記材料をヘンシェルミキサー(FM−75型、三井鉱山(株)製)を用いて、回転数20s−1、回転時間5minで混合した後、温度130℃に設定した二軸混練機(PCM−30型、株式会社池貝製)にて混練した。得られた混練物を冷却し、ハンマーミルにて1mm以下に粗粉砕し、粗砕物を得た。得られた粗砕物を、機械式粉砕機(T−250、ターボ工業(株)製)にて微粉砕した。さらにファカルティF−300(ホソカワミクロン社製)を用い、分級を行い、トナー粒子を得た。運転条件は、分級ローター回転数を130s−1、分散ローター回転数を120s−1とした。
得られたトナー粒子を用い、図1で示す表面処理装置によって熱処理を行い熱処理トナー粒子を得た。運転条件はフィード量=5kg/hrとし、また、熱風温度C=160℃、熱風流量=6m/min、冷風温度E=−5℃、冷風流量=4m/min、ブロワー風量=20m/min、インジェクションエア流量=1m/minとした。
得られた熱処理トナー粒子を100質量部に、疎水性シリカ(BET:200m/g)1.0質量部、イソブチルトリメトキシシランで表面処理した酸化チタン微粒子(BET:80m/g)を1.0質量部、ヘンシェルミキサー(FM−75型、三井三池化工機(株)製)で回転数30s−1、回転時間10minで混合して、トナー1を得た。トナー1の重量平均粒径(D4)は6.5μmであり、平均円形度は0.970であった。トナー1の物性を表4に示す。表4の含有割合とは、非晶性ポリエステル樹脂およびワックスの合計質量に対する、脂肪族炭化水素、非晶性ポリエステル樹脂の末端に存在するアルキルモノアルコールに由来するユニットおよびアルキルモノカルボン酸に由来するユニットの合計質量の割合である。
[トナー2〜22の製造例]
トナー1製造例において、ポリエステル樹脂C、結晶性ポリエステル樹脂Dを表4となるように変更し、平均円形度が表4となるように表面処理装置の熱風温度を適宜変更したほかは同様の操作を行い、トナー2〜トナー22を得た。
[磁性コア粒子1の製造例]
・工程1(秤量・混合工程):
Fe:62.7質量部
MnCO:29.5質量部
Mg(OH):6.8質量部
SrCO:1.0質量部
上記材料を上記組成比となるようにフェライト原材料を秤量した。その後、直径1/8インチのステンレスビーズを用いた乾式振動ミルで5時間粉砕・混合した。
・工程2(仮焼成工程):
得られた粉砕物をローラーコンパクターにて、約1mm角のペレットにした。このペレットを目開き3mmの振動篩にて粗粉を除去し、次いで目開き0.5mmの振動篩にて微粉を除去した後、バーナー式焼成炉を用いて、窒素雰囲気下(酸素濃度0.01体積%)で、温度1000℃で4時間焼成し、仮焼フェライトを作製した。得られた仮焼フェライトの組成は、下記の通りである。
(MnO)(MgO)(SrO)(Fe
上記式において、a=0.257、b=0.117、c=0.007、d=0.393
・工程3(粉砕工程):
クラッシャーで0.3mm程度に粉砕した後に、直径1/8インチのジルコニアビーズを用い、仮焼フェライト100質量部に対し、水を30質量部加え、湿式ボールミルで1時間粉砕した。そのスラリーを、直径1/16インチのアルミナビーズを用いた湿式ボールミルで4時間粉砕し、フェライトスラリー(仮焼フェライトの微粉砕品)を得た。
・工程4(造粒工程):
フェライトスラリーに、仮焼フェライト100質量部に対して分散剤としてポリカルボン酸アンモニウム1.0質量部、バインダーとしてポリビニルアルコール2.0質量部を添加し、スプレードライヤー(製造元:大川原化工機)で、球状粒子に造粒した。得られた粒子を粒度調整した後、ロータリーキルンを用いて、650℃で2時間加熱し、分散剤やバインダーの有機成分を除去した。
・工程5(焼成工程):
焼成雰囲気をコントロールするために、電気炉にて窒素雰囲気下(酸素濃度1.00体積%)で、室温から温度1300℃まで2時間で昇温し、その後、温度1150℃で4時間焼成した。その後、4時間をかけて、温度60℃まで降温し、窒素雰囲気から大気に戻し、温度40℃以下で取り出した。
・工程6(選別工程):
凝集した粒子を解砕した後に、磁力選鉱により低磁力品をカットし、目開き250μmの篩で篩分して粗大粒子を除去し、体積分布基準の50%粒径(D50)37.0μmの磁性コア粒子1を得た。
<被覆樹脂1の調整>
シクロヘキシルメタクリレートモノマー 26.8質量%
メチルメタクリレートモノマー 0.2質量%
メチルメタクリレートマクロモノマー 8.4質量%
(片末端にメタクリロイル基を有する重量平均分子量5000のマクロモノマー)
トルエン 31.3質量%
メチルエチルケトン 31.3質量%
アゾビスイソブチロニトリル 2.0質量%
上記材料のうち、シクロヘキシルメタクリレート、メチルメタクリレート、メチルメタクリレートマクロモノマー、トルエン、メチルエチルケトンを、還流冷却器、温度計、窒素導入管および攪拌装置を取り付けた四つ口のセパラブルフラスコに添加し、窒素ガスを導入して充分に窒素雰囲気にした後、80℃まで加温し、アゾビスイソブチロニトリルを添加して5時間還流し重合させた。得られた反応物にヘキサンを注入して共重合体を沈殿析出させ、沈殿物を濾別後、真空乾燥して被覆樹脂1を得た。得られた被覆樹脂1を30質量部、トルエン40質量部、メチルエチルケトン30質量部に溶解させて、重合体溶液1(固形分30質量%)を得た。
<被覆樹脂溶液1の調製>
重合体溶液1(樹脂固形分濃度30%):33.3質量%
トルエン:66.4質量%
カーボンブラック(Regal330;キャボット社製):0.3質量%
(一次粒径25nm、窒素吸着比表面積94m2/g、DBP吸油量75ml/100g)
を、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、ペイントシェーカーで1時間分散を行った。得られた分散液を、5.0μmのメンブランフィルターで濾過を行い、被覆樹脂溶液1を得た。
[磁性キャリア1の製造例]
(樹脂被覆工程):
常温で維持されている真空脱気型ニーダーに被覆樹脂溶液1を充填コア粒子1の100質量部に対して樹脂成分として2.5質量部になるように投入した。投入後、回転速度30rpmで15分間撹拌し、溶媒が一定以上(80質量%)揮発した後、減圧混合しながら80℃まで昇温し、2時間かけてトルエンを留去した後冷却した。得られた磁性キャリアを、磁力選鉱により低磁力品を分別し、開口70μmの篩を通した後、風力分級器で分級し、体積分布基準の50%粒径(D50)38.2μmの磁性キャリア1を得た。
[二成分系現像剤1の製造例]
磁性キャリア1を92.0質量部に対し、トナー1を8.0質量部加え、V型混合機(V−20、セイシン企業製)により混合し、二成分系現像剤1を得た。
[二成分系現像剤2〜22の製造例]
二成分系現像剤1の製造例において、表5のように変更する以外は同様の操作を行い、二成分系現像剤2〜22を得た。
[実施例1]
得られた二成分系現像剤1を用い、評価を行った。
画像形成装置として、キヤノン製デジタル商業印刷用プリンターimageRUNNER ADVANCE C9075 PRO改造機を用いた。シアン位置の現像器に二成分系現像剤1を入れ、紙上のトナーの載り量が所望になる画像を形成し、後述の評価を行った。改造点としては、定着温度、プロセススピードを自由に設定できるように変更した。画像出力評価時、現像剤担持体の直流電圧VDC、静電潜像担持体の帯電電圧V、およびレーザーパワーは、FFh画像(ベタ画像)のトナーの紙上への載り量が0.35mg/cmとなるように調整した。FFhとは、256階調を16進数で表示した値であり、00hが256階調の1階調目(白地部)であり、FFhが256階調の256階調目(ベタ部)である。
以下の評価方法に基づいて評価し、その結果を表6に示す。
[耐久性]
紙:CS−680(68.0g/m
(キヤノンマーケティングジャパン株式会社より販売)
紙上のトナーの載り量:0.35mg/cm(FFh画像)
評価画像:上記A4用紙画像比率100%のチャート
定着試験環境:高温高湿環境:温度30℃/湿度85%RH(以下「H/H」)
耐久画像出力試験として、画像比率0.1%のFFh出力の帯チャートを用いて、A4用紙に10,000枚出力を行った。その後、上記評価画像を出力し、画像中の白斑点の個数を目視で確認した。
(評価基準)
A:白斑点が5個未満(非常に優れている)
B:白斑点が5個以上10個未満(良好である)
C:白斑点が10個以上20個未満(本発明では問題ないレベルである)
D:白斑点が20個以上(本発明では許容できない)
[低温定着性]
紙: CS−680(68.0g/m
(キヤノンマーケティングジャパン株式会社より販売)
紙上のトナーの載り量:1.20mg/cm
評価画像:上記A4用紙の中心に10cmの画像を配置
定着試験環境:低温低湿環境:温度15℃/湿度10%RH(以下「L/L」)
紙上のトナーの載り量が上記になるように、現像剤担持体の直流電圧VDC、静電潜像担持体の帯電電圧V、およびレーザーパワーを調整した後、プロセススピードを450mm/sec、定着温度を130℃に設定し低温定着性を評価した。画像濃度低下率の値を低温定着性の評価指標とした。画像濃度低下率は、X−Riteカラー反射濃度計(500シリーズ:X−Rite社製)を用い、先ず、中心部の画像濃度を測定する。次に、画像濃度を測定した部分に対し、4.9kPa(50g/cm2)の荷重をかけてシルボン紙により定着画像を摺擦(5往復)し、画像濃度を再度測定する。そして、摺擦前後での画像濃度の低下率(%)を測定した。
(評価基準)
A:濃度低下率1.0%未満(非常に優れている)
B:濃度低下率1.0%以上、5.0%未満(良好である)
C:濃度低下率5.0%以上、10.0%未満(本発明では問題ないレベルである)
D:濃度低下率10.0%以上(本発明では許容できない)
[保存性]
100ccのポリカップにトナー5gを入れ、温度および湿度可変型の恒温槽(55℃41%)に48時間放置し、放置後にトナーの凝集性を評価した。凝集性は、ホソカワミクロン社製パウダーテスタPT−Xにて0.5mmの振幅にて10秒間、目開き20μmのメッシュで振るった際に、残ったトナーの残存率を評価指標とした。
(評価基準)
A:残存率2.0%未満(非常に優れている)
B:残存率2.0%以上、10.0%未満(良好である)
C:残存率10.0%以上、15.0%未満(本発明では問題ないレベルである)
D:残存率15.0%以上(本発明では許容できない)
[転写効率]
紙:CS−680(68.0g/m
(キヤノンマーケティングジャパン株式会社より販売)
潜像担持体上のトナーの載り量:0.35mg/cm
評価画像:上記A4用紙画像比率100%のチャート
定着試験環境:高温高湿環境:温度30℃/湿度85%RH(以下「H/H」)
上記画像を出力する際、現像中に停止させ、画像形成時の潜像担持体上の転写残トナーを、透明なポリエステル製の粘着テープによりテーピングしてはぎ取った。はぎ取った粘着テープを紙上に貼ったものの濃度から、粘着テープのみを紙上に貼ったものの濃度を差し引いた濃度差をそれぞれ算出した。下記の評価基準に基づいて評価を行った。尚、転写残濃度はX−Riteカラー反射濃度計(500シリーズ)で測定した。
A:濃度差が0.10未満(非常に優れている)
B:濃度差が0.10以上、0.15未満(良好である)
C:濃度差が0.15以上、0.25未満(本発明では問題ないレベルである)
D:濃度差が0.25以上(本発明では許容できない)
[実施例2〜19、および比較例1〜3]
二成分系現像剤2〜22を用いた以外は、実施例1と同様にして評価を行った。評価結果を表6に示す。
実施例2は、トナーの円形度が小さくなっているため、実施例1に対して転写効率が劣る。
実施例3は、トナーの円形度が更に小さくなっているため、実施例2に対して転写効率が劣る。
実施例4は、結晶性ポリエステル樹脂の相溶性が若干低下するため、実施例3に対して低温定着性が劣る。
実施例5は、結晶性ポリエステル樹脂の相溶性が若干低下するため、実施例4に対して低温定着性が劣る。
実施例6は、結晶性ポリエステル樹脂の相溶性が高すぎるため、実施例5に対して保存性が劣る。
実施例7は、結晶性ポリエステル樹脂の相溶性が高すぎるため、実施例6に対して保存性が劣る。
実施例8は、脂肪族モノアルコールに変更になり、ラメラ構造が形成されにくいジアルコール側の結晶核がなくなったため、再結晶化速度が低下し、実施例7に対して保存性が劣る。
実施例9は、脂肪族モノカルボン酸の炭素数が短くなったため、結晶核になりにくくなったため、再結晶化速度が低下し、実施例8に対して保存性が劣る。
実施例10は、脂肪族モノカルボン酸の炭素数が長くなったため、相溶性が低下し、実施例8に対して低温定着性が劣る。
実施例11は、脂肪族モノカルボン酸の炭素数が短くなったため、結晶核になりにくくなったため、再結晶化速度が低下し、実施例9に対して保存性が劣る。
実施例12は、脂肪族モノカルボン酸の炭素数が長くなったため、相溶性が低下し、実施例10に対して低温定着性が劣る。
実施例13は、結晶核がなくなったため、再結晶化速度が低下し、実施例11に対して保存性が劣る。
実施例14は、アルキルモノカルボン酸になったため、結着樹脂との反応性が若干低下し、実施例13に対して保存性が劣る。
実施例15は、吸熱量が多く、遊離しているアルキルモノアルコールが多いため、実施例14に対して、耐久性や保存性が劣る。
実施例16は、アルキルモノアルコールの添加量が多く、吸熱量が更に多くなっているため、遊離しているアルキルモノアルコールが多くなり、実施例15に対して、耐久性や保存性が劣る。
実施例17は、アルキルモノアルコールの添加量が少なく、結晶性ポリエステル樹脂の微分散性が悪化したため、実施例15に対して、耐久性が劣る。
実施例18は、アルキルモノアルコールの炭素数が長いため、遊離しているアルキルモノアルコールが多くなり、実施例15に対して、耐久性や保存性が劣る。
実施例19は、アルキルモノアルコールの炭素数が短いため、結晶性ポリエステル樹脂の微分散性が悪化したため、実施例15に対して、耐久性が劣る。
比較例1は、アルキルモノアルコールの炭素数が短いため、結晶性ポリエステル樹脂の微分散性が悪化したため、実施例14に対して、耐久性が劣る。
比較例2は、アルキルモノアルコールの添加量が少なく、結晶性ポリエステル樹脂の微分散性が悪化したため、実施例14に対して、耐久性が劣る。
比較例3は、吸熱量が多く、遊離しているアルキルモノアルコールが多いため、実施例14に対して、耐久性や保存性が劣る。
1 原料定量供給手段
2 圧縮気体流量調整手段
3 導入管
4 突起状部材
5 供給管
6 処理室
7 熱風供給手段
8 冷風供給手段
9 規制手段
10 回収手段
11 熱風供給手段出口
12 分配部材
13 旋回部材
14 粉体粒子供給口

Claims (7)

  1. トナー粒子と、該トナー粒子の表面に存在する無機微粒子とを有するトナーであって、
    該トナー粒子は、
    (i)非晶性ポリエステル樹脂、ワックス、着色剤、および結晶性ポリエステル樹脂を含有し、
    (ii)熱球形化処理トナー粒子であり
    非晶性ポリエステル樹脂が、
    ピーク炭素数が25以上102以下であるアルキルモノアルコール、および、
    ピーク炭素数が25以上102以下であるアルキルモノカルボン酸
    の少なくとも一方に由来するユニットを分子鎖の末端に有し、
    該ワックスが、ピーク炭素数が25以上102以下の脂肪族炭化水素を有し、
    該トナー粒子における、以下の(a)〜(c):
    (a)該ピーク炭素数が25以上102以下の脂肪族炭化水素
    (b)該非晶性ポリエステル樹脂の末端に存在する該ピーク炭素数が25以上102以下のアルキルモノアルコールに由来するユニット
    (c)該非晶性ポリエステル樹脂の末端に存在する該ピーク炭素数が25以上102以下のアルキルモノカルボン酸に由来するユニット
    の合計の含有割合が、該非晶性ポリエステル樹脂およびワックスの合計質量を基準として、6.0質量%以上16.0質量%以下であり、
    該結晶性ポリエステル樹脂が、炭素数2以上22以下の脂肪族ジオールと、炭素数2以上22以下の脂肪族ジカルボン酸とに由来するエステルユニットを有し、
    該トナーは、示差走査熱量測定にて得られる温度−吸熱量曲線において、ピークトップが60℃以上90℃以下に存在する吸熱ピークを有し、該吸熱ピークの吸熱量が10.0J/g以下である
    ことを特徴とするトナー。
  2. 前記結晶性ポリエステル樹脂が、炭素数10以上20以下の脂肪族モノカルボン酸および炭素数10以上20以下の脂肪族モノアルコールからなる群より選ばれた一種以上の脂肪族化合物が分子鎖の末端に縮合した樹脂である請求項1に記載のトナー。
  3. 前記結晶性ポリエステル樹脂が、炭素数6以上12以下の脂肪族ジオールと、炭素数6以上12以下の脂肪族ジカルボン酸を重縮合して得られた樹脂である請求項1または2に記載のトナー。
  4. 前記トナーのフロー式粒子像測定装置によって計測された円相当径1.985μm以上39.69μm未満の粒子の平均円形度が、0.950以上1.000以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載のトナー。
  5. 非晶性ポリエステル樹脂、ワックス、着色剤、および、結晶性ポリエステル樹脂を含有するトナー組成物を溶融混練して溶融混練物を得る工程と、
    該溶融混練物を粉砕分級してトナー粒子を得る工程と、
    該トナー粒子を熱処理する工程と、
    を有するトナーの製造方法において、
    該非晶性ポリエステル樹脂が、
    ピーク炭素数が25以上102以下のアルキルモノアルコール、および、
    ピーク炭素数が25以上102以下のアルキルモノカルボン酸
    の少なくとも一方に由来するユニットを分子鎖の末端に有し、
    該ワックスは、炭素数の平均値が25以上102以下の脂肪族炭化水素を有し、
    以下の(a)〜(c):
    (a)該炭素数の平均値が25以上102以下の脂肪族炭化水素
    (b)該ポリエステル樹脂の末端に存在する該炭素数の平均値が25以上102以下のアルキルモノアルコールに由来するユニット
    (c)該ポリエステル樹脂の末端に存在する該炭素数の平均値が25以上102以下のアルキルモノカルボン酸に由来するユニット
    の合計の含有割合が、該非晶性ポリエステル樹脂および該ワックスの合計の質量を基準として、6.0質量%以上16.0質量%以下であり、
    該結晶性ポリエステル樹脂が、炭素数2以上22以下の脂肪族ジオールと、炭素数2以上22以下の脂肪族ジカルボン酸に由来するエステルユニットを有する樹脂であり、
    該熱処理工程における熱風温度が100℃以上300℃以下であり、
    得られるトナーは、示差走査熱量測定にて得られる温度−吸熱量曲線において、ピークトップが60℃以上90℃以下に存在する吸熱ピークを有し、該吸熱ピークの吸熱量が10.0J/g以下である
    ことを特徴とするトナーの製造方法。
  6. 前記結晶性ポリエステル樹脂が、炭素数10以上20以下の脂肪族モノカルボン酸および炭素数10以上20以下の脂肪族モノアルコールからなる群より選ばれた一種以上の脂肪族化合物が分子鎖の末端に縮合した樹脂である請求項5に記載のトナーの製造方法。
  7. 前記結晶性ポリエステル樹脂が、炭素数6以上12以下の脂肪族ジオールと、炭素数6以上12以下の脂肪族ジカルボン酸を重縮合して得られた樹脂である請求項5または6に記載のトナーの製造方法。
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