JPH11265788A - 有機エレクトロルミネッセンス素子 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス素子

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JPH11265788A
JPH11265788A JP11007257A JP725799A JPH11265788A JP H11265788 A JPH11265788 A JP H11265788A JP 11007257 A JP11007257 A JP 11007257A JP 725799 A JP725799 A JP 725799A JP H11265788 A JPH11265788 A JP H11265788A
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Toshio Enokida
年男 榎田
Michiko Tamano
美智子 玉野
Satoshi Okutsu
聡 奥津
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高輝度で高効率の発光が可能であり、発光劣
化が少なく信頼性の高い有機エレクトロルミネッセンス
素子用発光材料およびそれを使用した有機エレクトロル
ミネッセンス素子を提供する。 【解決手段】 陽極/正孔注入層/発光層/電子注入層
/陰極から構成される有機エレクトロルミネッセンス素
子において、上記発光層が下記一般式[1]で示される
発光材料を含有する層であり、上記正孔注入層が芳香族
三級アミン誘導体もしくはフタロシアニン誘導体であ
り、上記電子注入層が金属錯体化合物もしくは含窒素五
員環誘導体を含有する層であることを特徴とする有機エ
レクトロルミネッセンス素子。一般式[1] 【化1】 [式中、A1 〜A4 は、それぞれ独立に、炭素数6〜1
6のアリール基を表す。R1 〜R8 は、それぞれ独立
に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ
基、アリール基、アミノ基を表す。]

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は平面光源や表示に使用さ
れる有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子用発光
材料および高輝度の発光素子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】有機物質を使用したEL素子は、固体発
光型の安価な大面積フルカラー表示素子としての用途が
有望視され、多くの開発が行われている。一般にEL素
子は、発光層および該層をはさんだ一対の対向電極から
構成されている。発光は、両電極間に電界が印加される
と、陰極側から電子が注入され、陽極側から正孔が注入
される。さらに、この電子が発光層において正孔と再結
合し、エネルギー準位が伝導帯から価電子帯に戻る際に
エネルギーを光として放出する現象である。
【0003】従来の有機EL素子は、無機EL素子に比
べて駆動電圧が高く、発光輝度や発光効率も低かった。
また、特性劣化も著しく実用化には至っていなかった。
近年、10V以下の低電圧で発光する高い蛍光量子効率
を持った有機化合物を含有した薄膜を積層した有機EL
素子が報告され、関心を集めている(アプライド・フィ
ジクス・レターズ、51巻、913ページ、1987年
参照)。この方法は、金属キレート錯体を発光層、アミ
ン系化合物を正孔注入層に使用して、高輝度の緑色発光
を得ており、6〜7Vの直流電圧で輝度は数1000c
d/m2 、最大発光効率は1.5lm/Wを達成して、
実用領域に近い性能を持っている。
【0004】しかしながら、現在までの有機EL素子
は、構成の改善により発光強度は改良されているが、未
だ充分な発光輝度は有していない。また、繰り返し使用
時の安定性に劣るという大きな問題を持っている。これ
は、例えば、トリス(8−ヒドロキシキノリナート)ア
ルミニウム錯体等の金属キレート錯体が、電界発光時に
化学的に不安定であり、陰極との密着性も悪く、短時間
の発光で大きく劣化していた。以上の理由により、高い
発光輝度、発光効率を持ち、繰り返し使用時での安定性
の優れた有機EL素子の開発のために、優れた発光能力
を有し、耐久性のある発光材料の開発が望まれている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、発光輝度が
高く、繰り返し使用時での安定性の優れた有機EL素子
の提供にある。本発明者らが鋭意検討した結果、一般式
[1]ないし一般式[5]で示される有機EL素子用発
光材料を発光層に使用した有機EL素子の発光輝度およ
び発光効率が高く、繰り返し使用時での安定性も優れて
いることを見いだし本発明を成すに至った。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、陽極/正孔注
入層/発光層/電子注入層/陰極から構成される有機エ
レクトロルミネッセンス素子において、上記発光層が下
記一般式[1]で示される発光材料を含有する層であ
り、上記正孔注入層が下記一般式[6]で示される芳香
族三級アミン誘導体もしくはフタロシアニン誘導体を含
有する層であり、上記電子注入層が金属錯体化合物もし
くは含窒素五員環誘導体を含有する層であることを特徴
とする有機エレクトロルミネッセンス素子に関する。 一般式[1]
【化8】 [式中、A1 〜A4 は、置換もしくは未置換の炭素数6
〜16のアリール基を表す。R1 〜R8 は、それぞれ独
立に、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは未置換の
アルキル基、置換もしくは未置換のアルコキシ基、置換
もしくは未置換のアリール基、置換もしくは未置換のア
ミノ基を表す(隣接した置換基同志で結合して新たな6
員アリール環を形成してもよい。)。] 一般式[6]
【化9】 [式中、B1 〜B4 は、それぞれ独立に、置換もしくは
未置換の炭素数6〜16のアリール基を表す。Zは、置
換もしくは未置換のアリーレン基(ただし、アントラセ
ニレン基を除く。)を表す。]
【0007】さらに本発明は、発光材料が下記一般式
[2]で示される化合物である上記有機エレクトロルミ
ネッセンス素子である。 一般式[2]
【化10】 [式中、R1 〜R28は、それぞれ独立に、水素原子、ハ
ロゲン原子、置換もしくは未置換のアルキル基、置換も
しくは未置換のアルコキシ基、置換もしくは未置換のア
リール基、置換もしくは未置換のアミノ基を表す。R1
〜R4もしくはR5〜R8は隣接した置換基同志で結合し
て新たな6員アリール環を形成してもよい。]
【0008】さらに本発明は、発光材料が下記一般式
[3]で示される化合物である上記有機エレクトロルミ
ネッセンス素子である。 一般式[3]
【化11】 [式中、R1 〜R8 およびR29〜R48は、それぞれ独立
に、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは未置換のア
ルキル基、置換もしくは未置換のアルコキシ基、置換も
しくは未置換のアリール基、置換もしくは未置換のアミ
ノ基を表す。X1〜X4 は、それぞれ独立に、O、S、
C=O、SO2 、(CH2 )x−O−(CH2 )y、置
換もしくは未置換のアルキレン基、置換もしくは未置換
の脂肪族環残基を表す。ここで、xおよびyは、それぞ
れ独立に、0〜20の正の整数を表すが、x+y=0と
なることはない。R1〜R4もしくはR5〜R8は隣接した
置換基同志で結合して新たな6員アリール環を形成して
もよい。]
【0009】さらに本発明は、発光材料が下記一般式
[4]で示される化合物である上記有機エレクトロルミ
ネッセンス素子である。 一般式[4]
【化12】 [式中、R1 〜R8 およびR29〜R48は、それぞれ独立
に、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは未置換のア
ルキル基、置換もしくは未置換のアルコキシ基、置換も
しくは未置換のアリール基、置換もしくは未置換のアミ
ノ基を表す。X1〜X4 は、それぞれ独立に、O、S、
C=O、SO2 、(CH2 )x−O−(CH2 )y、置
換もしくは未置換のアルキレン基、置換もしくは未置換
の脂肪族環残基を表す。ここで、xおよびyは、それぞ
れ独立に、0〜20の正の整数を表すが、x+y=0と
なることはない。R1〜R4もしくはR5〜R8は隣接した
置換基同志で結合して新たな6員アリール環を形成して
もよい。]
【0010】さらに本発明は、発光材料が下記一般式
[5]で示される化合物である上記有機エレクトロルミ
ネッセンス素子である。 一般式[5]
【化13】 [式中、R1 〜R8 およびR29〜R48は、それぞれ独立
に、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは未置換のア
ルキル基、置換もしくは未置換のアルコキシ基、置換も
しくは未置換のアリール基、置換もしくは未置換のアミ
ノ基を表す。Y1〜Y8 は、置換もしくは未置換の炭素
数1〜20のアルキル基、置換もしくは未置換の炭素数
6〜16のアリール基を表す。R1〜R4もしくはR5
8は隣接した置換基同志で結合して新たな6員アリー
ル環を形成してもよい。]
【0011】さらに本発明は、上記金属錯体化合物が、
下記一般式[7]で示される化合物である上記有機エレ
クトロルミネッセンス素子である。 一般式[7]
【化14】 [式中、Q1 およびQ2 は、それぞれ独立に、置換もし
くは未置換のヒドロキシキノリン誘導体もしくは置換も
しくは未置換のヒドロキシベンゾキノリン誘導体を表
し、Lは、ハロゲン原子、置換もしくは未置換のアルキ
ル基、置換もしくは未置換のシクロアルキル基、置換も
しくは未置換の窒素原子を含んでも良いアリール基、−
OR(Rは水素原子、置換もしくは未置換のアルキル
基、置換もしくは未置換のシクロアルキル基、置換もし
くは未置換の窒素原子を含んでも良いアリール基を表
す。)、−O−Ga−Q3 (Q4 )(Q3 およびQ
4 は、Q1 およびQ2 と同じ意味を表す。)で表される
配位子を表す。]
【0012】
【発明の実施の形態】本発明における一般式[1]で示
される化合物のA1 〜A4 における置換もしくは未置換
の炭素数6〜16のアリール基としては、フェニル基、
ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基、アントリ
ル基、フェナントリル基、フルオレニル基、ピレニル基
等のアリール基であり、それぞれのアリール基は置換基
を有していても良い。本発明においてアリール基の芳香
族炭素原子は窒素原子、酸素原子およびまたは硫黄原子
により置換されていてもよい。このような、異種原子を
含むアリール基としては、例えばフラニル基、チオフェ
ニル基、ピロニル基、ピリジン基等がある。又、A1
2 またはA3 とA4 とが一体となってカルバゾール基
のような窒素原子を含むアリール基を形成してもよい。
【0013】本発明における一般式[1]〜[5]で示
される化合物のR1 〜R48は、それぞれ独立に、水素原
子、ハロゲン原子、置換もしくは未置換のアルキル基、
置換もしくは未置換のアルコキシ基、置換もしくは未置
換のアリール基、置換もしくは未置換のアミノ基を表
す。
【0014】A1 〜A4 の有する置換基、およびR1
48の具体例は、ハロゲン原子としては弗素、塩素、臭
素、ヨウ素であり、置換もしくは未置換のアルキル基と
しては、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル
基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル
基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ステアリル
基等の炭素数1〜20の未置換直鎖状又は分枝状アルキ
ル基の他、2−フェニルイソプロピル基、トリクロロメ
チル基、トリフルオロメチル基、ベンジル基、α−フェ
ノキシベンジル基、α,α−ジメチルベンジル基、α,
α−メチルフェニルベンジル基、α,α−ジトリフルオ
ロメチルベンジル基、トリフェニルメチル基、α−ベン
ジルオキシベンジル基等の炭素数1〜20のアルキル基
の置換体があり、置換もしくは未置換のアルコキシル基
としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、n
−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−オクチルオ
キシ基、tert−オクチルオキシ基等の炭素数1〜2
0の未置換アルコキシル基の他、1,1,1−トリフル
オロエトキシ基、フェノキシ基、ベンジルオキシ基、オ
クチルフェノキシ基等の炭素数1〜20のアルコキシル
基の置換体があり、置換もしくは未置換のアリール基と
しては、フェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチ
ルフェニル基、4−メチルフェニル基、4−エチルフェ
ニル基、ビフェニル基、4−メチルビフェニル基、4−
エチルビフェニル基、4−シクロヘキシルビフェニル
基、ターフェニル基、3,5−ジクロロフェニル基、ナ
フチル基、5−メチルナフチル基、アントリル基、ピレ
ニル基等の芳香族炭素数6〜18の置換もしくは未置換
のアリール基があり、窒素原子、酸素原子およびまたは
硫黄原子により芳香族炭素原子が置換されていてもよい
アリール基としては、フラニル基、チオフェニル基、ピ
ロール基、ピラニル基、チオピラニル基、ピリジニル
基、チアゾリル基、イミダゾール基、ピリミジニル基、
トリアジニル基、インドリニル基、キノリル基、プリニ
ル基等があり、置換もしくは未置換のアミノ基として
は、アミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等
のジアルキルアミノ基、フェニルメチルアミノ基、ジフ
ェニルアミノ基、ジトリルアミノ基、ジベンジルアミノ
基等がある。また、隣接する置換基同士で、それぞれ互
いに結合して、フェニル基、ナフチル基、アントリル
基、ピレニル基等を形成しても良い。
【0015】本発明における一般式[3]および[4]
で示される化合物のX1 〜X4 は、それぞれ独立に、
O、S、C=O、SO2 、(CH2 )x−O−(C
2 )y、置換もしくは未置換のアルキレン基、置換も
しくは未置換の脂肪族環残基を表す。ここで、xおよび
yは、それぞれ特立に、0〜20の正の整数を表すが、
x+y=0となることはない。置換または未置換のアル
キレン基としては炭素数1〜20のアルキレン基もしく
はその置換体、置換または未置換の脂肪族環残基として
は、シクロペンチル環、シクロヘキシル環、4−メチル
シクロヘキシル環、シクロヘプチル環等の炭素数5〜7
の脂肪族環の二価の残基が挙げられる。X1〜X4の置換
アルキレン基又は置換脂肪族環残基の置換基としてはR
1〜R4 8で示した置換基がある。X1〜X4の置換アルキ
レン基として好ましいものは、2,2−プロピレン基、
ジクロロメチレン基、ジフルオロメチレン基、フェノキ
シメチレン基、メチルフェニルメチレン基、ジフェニル
メチレン基、ベンジルオキシメチレン基などが挙げられ
る。
【0016】本発明における一般式[5]で示される化
合物のY1 〜Y8 は、置換もしくは未置換の炭素数1〜
20のアルキル基、置換もしくは未置換の炭素数6〜1
6のアリール基を表す。アルキル基およびアリール基の
具体例は、前記のR1 〜R48で記述したアルキル基およ
びアリール基が挙げられる。
【0017】この化合物の中で、一般式[3]〜[5]
で表されるような芳香族環を有している置換基を持つ化
合物、もしくは一般式[1]〜[5]のR1 〜R48の隣
接する置換基同士で芳香族環を形成している化合物は、
ガラス転移点や融点が高くなり電界発光時における有機
層中、有機層間もしくは、有機層と金属電極間で発生す
るジュール熱に対する耐性(耐熱性)が向上するので、
有機EL素子の発光材料として使用した場合、高い発光
輝度を示し、長時間発光させる際にも有利である。本発
明の化合物は、これらの置換基に限定されるものではな
い。
【0018】本発明の一般式[1]〜[5]で示される
化合物の合成方法の一例を以下に示す。9,10−ジハ
ロゲノアントラセン、置換基を有しても良いアミン誘導
体、炭酸カリウムおよび触媒を溶媒中で反応させて、一
般式[1]〜[5]の化合物を合成することができる。
9,10−ジハロゲノアントラセンに代えてアントラキ
ノン誘導体からも合成することができる。炭酸カリウム
に代えて、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ナ
トリウムまたはアンモニア水等を使用することができ
る。触媒としては、銅粉、塩化第一銅、スズ、塩化第一
スズ、ピリジン、三塩化アルミニウムまたは四塩化チタ
ンがある。溶媒は、ベンゼン、トルエンまたはキシレン
がある。以上の合成法は、限定されるものではない。
【0019】以下に、本発明の一般式[1]〜[5]の
化合物の代表例を、表1に具体的に例示するが、本発明
は、この代表例に限定されるものではない。
【0020】
【表1】
【0021】
【0022】
【0023】
【0024】
【0025】
【0026】
【0027】
【0028】
【0029】
【0030】
【0031】
【0032】本発明の一般式[1]〜[5]で示される
化合物は、固体状態において強い蛍光を持つ化合物であ
り電場発光性にも優れている。また、金属電極からの優
れた正孔注入性および正孔輸送性、金属電極からの優れ
た電子注入性および電子輸送性を併せて持ち合わせてい
るので、発光材料として有効に使用することができ、更
には、他の正孔輸送性材料、電子輸送性材料もしくはド
ーピング材料を使用してもさしつかえない。
【0033】有機EL素子は、陽極と陰極間に一層もし
くは多層の有機薄膜を形成した素子である。一層型の場
合、陽極と陰極との間に発光層を設けている。発光層
は、発光材料を含有し、それに加えて陽極から注入した
正孔、もしくは陰極から注入した電子を発光材料まで輸
送させるために、正孔注入材料もしくは電子注入材料を
含有しても良い。しかしながら、本発明の発光材料は、
極めて高い発光量子効率、高い正孔輸送能力および電子
輸送能力を併せ持ち、均一な薄膜を形成することができ
るので、本発明の発光材料のみで発光層を形成すること
も可能である。多層型は、(陽極/正孔注入層/発光層
/陰極)、(陽極/発光層/電子注入層/陰極)、(陽
極/正孔注入層/発光層/電子注入層/陰極)の多層構
成で積層した有機EL素子がある。一般式[1]〜
[5]の化合物は、高い発光特性を持ち、正孔注入性、
正孔輸送特性および電子注入性、電子輸送特性をもって
いるので、発光材料として発光層に使用できる。
【0034】発光層には、必要があれば、本発明の一般
式[1]〜[5]の化合物に加えて、さらなる公知の発
光材料、ドーピング材料、正孔注入材料や電子注入材料
を使用することもできる。有機EL素子は、多層構造に
することにより、クエンチングによる輝度や寿命の低下
を防ぐことができる。必要があれば、発光材料、ドーピ
ング材料、正孔注入材料や電子注入材料を組み合わせて
使用することが出来る。また、ドーピング材料により、
発光輝度や発光効率の向上、赤色や青色の発光を得るこ
ともできる。また、正孔注入層、発光層、電子注入層
は、それぞれ二層以上の層構成により形成されても良
い。その際には、正孔注入層の場合、電極から正孔を注
入する層を正孔注入層、正孔注入層から正孔を受け取り
発光層まで正孔を輸送する層を正孔輸送層と呼ぶ。同様
に、電子注入層の場合、電極から電子を注入する層を電
子注入層、電子注入層から電子を受け取り発光層まで電
子を輸送する層を電子輸送層と呼ぶ。これらの各層は、
材料のエネルギー準位、耐熱性、有機層もしくは金属電
極との密着性等の各要因により選択されて使用される。
【0035】正孔注入材料としては、正孔を輸送する能
力を持ち、陽極からの正孔注入効果、発光層または発光
材料に対して優れた正孔注入効果を有し、発光層で生成
した励起子の電子注入層または電子注入材料への移動を
防止し、かつ薄膜形成能力の優れた化合物が挙げられ
る。具体的には、フタロシアニン誘導体、ナフタロシア
ニン誘導体、ポルフィリン誘導体、オキサゾール、オキ
サジアゾール、トリアゾール、イミダゾール、イミダゾ
ロン、イミダゾールチオン、ピラゾリン、ピラゾロン、
テトラヒドロイミダゾール、オキサゾール、オキサジア
ゾール、ヒドラゾン、アシルヒドラゾン、ポリアリール
アルカン、スチルベン、ブタジエン、ベンジジン型トリ
フェニルアミン、スチリルアミン型トリフェニルアミ
ン、ジアミン型トリフェニルアミン等と、それらの誘導
体、およびポリビニルカルバゾール、ポリシラン、導電
性高分子等の高分子材料等があるが、これらに限定され
るものではない。
【0036】本発明の有機EL素子において使用できる
正孔注入材料の中で、さらに効果的な正孔注入材料は、
芳香族三級アミン誘導体もしくはフタロシアニン誘導体
である。具体的には、トリフェニルアミン、トリトリル
アミン、トリルジフェニルアミン、N,N’−ジフェニ
ル−N,N’−(3−メチルフェニル)−1,1’−ビ
フェニル−4,4’−ジアミン、N,N,N’,N’−
(4−メチルフェニル)−1,1’−フェニル−4,
4’−ジアミン、N,N,N’,N’−(4−メチルフ
ェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミ
ン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ジナフチル−
1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン、N,N’
−(メチルフェニル)−N,N’−(4−n−ブチルフ
ェニル)−フェナントレン−9,10−ジアミン、N,
N−ビス(4−ジ−4−トリルアミノフェニル)−4−
フェニル−シクロヘキサン等、もしくはこれらの芳香族
三級アミン骨格を有したオリゴマーもしくはポリマー等
があるが、これらに限定されるものではない。
【0037】本発明における一般式[6]で示される化
合物のB1 〜B4 の具体例は、フェニル基、ビフェニル
基、ターフェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェ
ナントリル基、フルオレニル基、ピレニル基等の芳香族
炭素で構成されるアリール基、又は芳香族炭素原子が窒
素原子、酸素原子およびまたは硫黄原子により置換され
ていてもよいアリール基、例えば、フラニル基、チオフ
ェニル基、ピロール基、ピラニル基、チオピラニル基、
ピリジニル基、チアゾリル基、イミダゾール基、ピリミ
ジニル基、ピリジニル基、トリアジニル基、インドリニ
ル基、キノリル基、プリニル基等であり、それぞれのア
リール基は置換基を有していても良い。置換基として
は、R1〜R48で具体例に例示された置換基がある。
【0038】Zは、二価のアリーレン基であり、フェニ
レニル基、ビフェニレニル基、ターフェニレニル基、ナ
フチレニル基、アントリレニル基、フェナントリレニル
基、フルオレニレニル基、ピレニレニル基、フラニレル
基、チオフェニレル基、ピローレル基、ピラニレル基、
チオピラニレル基、ピリジニレル基、チアゾリレル基、
イミダゾーリニル基、ピリミジニレル基、ピリジニレル
基、トリアジニレル基、インドリニレル基、キノリレル
基、プリニレル基等のアリール基に対応する二価の残基
がある。置換基としては、R1〜R48で具体的に例示さ
れた置換基がある。
【0039】以下に、さらに効果的な正孔注入材料であ
る本発明の一般式[6]の化合物およびその他の材料の
代表例を、表2に具体的に例示するが、本発明は、この
代表例に限定されるものではない。
【0040】
【表2】
【0041】
【0042】
【0043】
【0044】
【0045】フタロシアニン(Pc)誘導体としては、
2 Pc、CuPc、CoPc、NiPc、ZnPc、
PdPc、FePc、MnPc、ClAlPc、ClG
aPc、ClInPc、ClSnPc、Cl2 SiP
c、(HO)AlPc、(HO)GaPc、VOPc、
TiOPc、MoOPc、GaPc−O−GaPc等の
フタロシアニン誘導体およびナフタロシアニン誘導体等
があるが、これらに限定されるものではない。
【0046】電子注入材料としては、電子を輸送する能
力を持ち、陰極からの電子注入効果、発光層または発光
材料に対して優れた電子輸送効果を有し、発光層で生成
した励起子の正孔注入層への移動を防止し、かつ薄膜形
成能力の優れた化合物が挙げられる。例えば、フルオレ
ノン、アントラキノジメタン、ジフェノキノン、チオピ
ランジオキシド、オキサゾール、オキサジアゾール、ト
リアゾール、イミダゾール、ペリレンテトラカルボン
酸、フレオレニリデンメタン、アントラキノジメタン、
アントロン等とそれらの誘導体があるが、これらに限定
されるものではない。また、正孔注入材料に電子受容物
質を、電子注入材料に電子供与性物質を添加することに
より増感させることもできる。
【0047】本発明の有機EL素子において、さらに効
果的な電子注入材料は、金属錯体化合物もしくは含窒素
五員環誘導体である。具体的には、金属錯体化合物とし
ては、8−ヒドロキシキノリナートリチウム、ビス(8
−ヒドロキシキノリナート)亜鉛、ビス(8−ヒドロキ
シキノリナート)銅、ビス(8−ヒドロキシキノリナー
ト)マンガン、トリス(8−ヒドロキシキノリナート)
アルミニウム、トリス(2−メチル−8−ヒドロキシキ
ノリナート)アルミニウム、トリス(8−ヒドロキシキ
ノリナート)ガリウム、ビス(10−ヒドロキシベンゾ
[h]キノリナート)ベリリウム、ビス(10−ヒドロ
キシベンゾ[h]キノリナート)亜鉛、ビス(2−メチ
ル−8−キノリナート)クロロガリウム、ビス(2−メ
チル−8−キノリナート)(o−クレゾラート)ガリウ
ム、ビス(2−メチル−8−キノリナート)(1−ナフ
トラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノ
リナート)(2−ナフトラート)ガリウム等があるが、
これらに限定されるものではない。また、含窒素五員誘
導体としては、オキサゾール、チアゾール、オキサジア
ゾール、チアジアゾールもしくはトリアゾール誘導体が
好ましい。具体的には、2,5−ビス(1−フェニル)
−1,3,4−オキサゾール、ジメチルPOPOP、
2,5−ビス(1−フェニル)−1,3,4−チアゾー
ル、2,5−ビス(1−フェニル)−1,3,4−オキ
サジアゾール、2−(4’−tert−ブチルフェニ
ル)−5−( 4”−ビフェニル) 1,3,4−オキサジ
アゾール、2,5−ビス(1−ナフチル)−1,3,4
−オキサジアゾール、1,4−ビス[2−( 5−フェニ
ルオキサジアゾリル) ]ベンゼン、1,4−ビス[2−
( 5−フェニルオキサジアゾリル) −4−tert−ブ
チルベンゼン]、2−(4’−tert−ブチルフェニ
ル)−5−( 4”−ビフェニル) −1,3,4−チアジ
アゾール、2,5−ビス(1−ナフチル)−1,3,4
−チアジアゾール、1,4−ビス[2−( 5−フェニル
チアジアゾリル) ]ベンゼン、2−(4’−tert−
ブチルフェニル)−5−( 4”−ビフェニル) −1,
3,4−トリアゾール、2,5−ビス(1−ナフチル)
−1,3,4−トリアゾール、1,4−ビス[2−( 5
−フェニルトリアゾリル) ]ベンゼン等があるが、これ
らに限定されるものではない。
【0048】本発明の有機EL素子において、さらに効
果的な電子注入材料は一般式[7]の化合物であり、一
般式[7]のQ1 、Q4 は、8−ヒドロキシキノリン、
8−ヒドロキシキナルジン、8−ヒドロキシ−2−フェ
ニルキノリン、8−ヒドロキシ−5−メチルキノリン、
8−ヒドロキシ−3,5,7−トリフルオロキノリン等
のヒドロキシキノリン誘導体、Lは、ハロゲン原子、置
換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換の
シクロアルキル基、置換もしくは未置換の窒素原子を含
んでも良いアリール基、−OR(Rは水素原子、置換も
しくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のシク
ロアルキル基、置換もしくは未置換の窒素原子を含んで
も良いアリール基を表す。)、−O−Ga−Q
3 (Q4 )(Q3およびQ4 は、Q1 およびQ2 と同じ
意味を表す。)を示す。ここで、ハロゲン原子、アルキ
ル基、窒素原子を含んでも良いアリール基、および−O
R基のRのアルキル基、窒素原子を含んでも良いアリー
ル基は、前記の一般式[1]〜[5]で記述したR1
48と同様の基を表す。置換もしくは未置換のシクロア
ルキル基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル
基、シクロヘプチル基等の炭素数5〜7の未置換シクロ
アルキル基または該シクロアルキル基の任意の位置に炭
素数1〜4のアルキル基もしくはアルコキシ基、ハロゲ
ン原子等が置換したシクロアルキル基がある。
【0049】以下に、本発明の有機EL素子に使用する
一般式[7]の化合物の代表例および電子注入材料の代
表例を、表3に具体的に例示するが、本発明は、この代
表例に限定されるものではない。
【0050】
【表3】
【0051】
【0052】
【0053】
【0054】
【0055】
【0056】本有機EL素子においては、発光層中に、
一般式[1]〜[5]の化合物の他に、発光材料、ドー
ピング材料、正孔注入材料および電子注入材料の少なく
とも1種が同一層に含有されてもよい。また、本発明に
より得られた有機EL素子の、温度、湿度、雰囲気等に
対する安定性の向上のために、素子の表面に保護層を設
けたり、シリコンオイル、樹脂等により素子全体を保護
することも可能である。
【0057】有機EL素子の陽極に使用される導電性材
料としては、4eVより大きな仕事関数を持つものが適
しており、炭素、アルミニウム、バナジウム、鉄、コバ
ルト、ニッケル、タングステン、銀、金、白金、パラジ
ウム等およびそれらの合金、ITO基板、NESA基板
に使用される酸化スズ、酸化インジウム等の酸化金属、
さらにはポリチオフェンやポリピロール等の有機導電性
樹脂が用いられる。陰極に使用される導電性物質として
は、4eVより小さな仕事関数を持つものが適してお
り、マグネシウム、カルシウム、錫、鉛、チタニウム、
イットリウム、リチウム、ルテニウム、マンガン、アル
ミニウム等およびそれらの合金が用いられるが、これら
に限定されるものではない。合金としては、マグネシウ
ム/銀、マグネシウム/インジウム、リチウム/アルミ
ニウム等が代表例として挙げられるが、これらに限定さ
れるものではない。合金の比率は、蒸着源の温度、雰囲
気、真空度等により制御され、適切な比率に選択され
る。陽極および陰極は、必要があれば二層以上の層構成
により形成されていても良い。
【0058】有機EL素子では、効率良く発光させるた
めに、少なくとも一方は素子の発光波長領域において充
分透明にすることが望ましい。また、基板も透明である
ことが望ましい。透明電極は、上記の導電性材料を使用
して、蒸着やスパッタリング等の方法で所定の透光性が
確保するように設定する。発光面の電極は、光透過率を
10%以上にすることが望ましい。基板は、機械的、熱
的強度を有し、透明性を有するものであれば限定される
ものではないが、例示すると、ガラス基板、ポリエチレ
ン板、ポリエチレンテレフテレート板、ポリエーテルサ
ルフォン板、ポリプロピレン板等の透明樹脂があげられ
る。
【0059】本発明に係わる有機EL素子の各層の形成
は、真空蒸着、スパッタリング、プラズマ、イオンプレ
ーティング等の乾式成膜法やスピンコーティング、ディ
ッピング、フローコーティング等の湿式成膜法のいずれ
の方法を適用することができる。膜厚は特に限定される
ものではないが、適切な膜厚に設定する必要がある。膜
厚が厚すぎると、一定の光出力を得るために大きな印加
電圧が必要になり効率が悪くなる。膜厚が薄すぎるとピ
ンホール等が発生して、電界を印加しても充分な発光輝
度が得られない。通常の膜厚は5nmから10μmの範
囲が適しているが、10nmから0.2μmの範囲がさ
らに好ましい。
【0060】湿式成膜法の場合、各層を形成する材料
を、エタノール、クロロホルム、テトラヒドロフラン、
ジオキサン等の適切な溶媒に溶解または分散させて薄膜
を形成するが、その溶媒はいずれであっても良い。ま
た、いずれの有機薄膜層においても、成膜性向上、膜の
ピンホール防止等のため適切な樹脂や添加剤を使用して
も良い。使用の可能な樹脂としては、ポリスチレン、ポ
リカーボネート、ポリアリレート、ポリエステル、ポリ
アミド、ポリウレタン、ポリスルフォン、ポリメチルメ
タクリレート、ポリメチルアクリレート、セルロース等
の絶縁性樹脂およびそれらの共重合体、ポリ−N−ビニ
ルカルバゾール、ポリシラン等の光導電性樹脂、ポリチ
オフェン、ポリピロール等の導電性樹脂を挙げることが
できる。また、添加剤としては、酸化防止剤、紫外線吸
収剤、可塑剤等を挙げることができる。
【0061】以上のように、有機EL素子の発光層に本
発明の化合物を用い、更には特定の正孔注入層もしくは
電子注入層と組み合わせることにより、発光効率、最大
発光輝度等の有機EL素子特性を改良することができ
た。また、この素子は熱や電流に対して非常に安定であ
り、さらには低い駆動電圧で実用的に使用可能の発光輝
度が得られるため、従来まで大きな問題であった劣化も
大幅に低下させることができた。
【0062】本発明の有機EL素子は、壁掛けテレビ等
のフラットパネルディスプレイや、平面発光体として、
複写機やプリンター等の光源、液晶ディスプレイや計器
類等の光源、表示板、標識灯等へ応用が考えられ、その
工業的価値は非常に大きい。
【0063】本発明の材料は、有機EL素子、電子写真
感光体、光電変換素子、太陽電池、イメージセンサー等
の分野においても使用できる。
【0064】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づきさらに詳細に
説明する。 化合物(1)の合成方法 ベンゼン200部中に、アントラキノン10部、ジフェ
ニルアミン35部、およびピリジン15部を入れ、10
℃にて四塩化チタン40部を滴下し、20時間室温で撹
拌した。その後、500部の水で希釈し、希水酸化ナト
リウム水溶液で中和した。この後、酢酸エチルで抽出を
行い、濃縮し、シリカゲルを用いたカラムクロマトグラ
フィーにより精製して黄色の蛍光を有する針状結晶8部
を得た。分子量分析の結果、化合物(1)であることを
確認した。以下に生成物の元素分析結果を示す。 元素分析結果 C38282 として 計算値(%):C:89.06 H:5.47 N:5.47 実測値(%):C:89.11 H:5.55 N:5.34
【0065】化合物(6)の合成方法 9,10−ジブロモアントラセン25部、4,4−ジ−
n−オクチルジフェニルアミン100部、および炭酸カ
リウム40部、銅粉末2部、塩化第一銅2部を入れ、ニ
トロベンゼン80部中で210℃にて30時間加熱撹拌
した。その後、500部の水で希釈し、クロロホルムで
抽出をおこなった。このクロロホルム層を濃縮し、シリ
カゲルを用いたカラムクロマトグラフィーにより精製を
行い、n−ヘキサンで再沈澱をして黄色の蛍光を有する
粉末28部を得た。分子量分析の結果、化合物(6)で
あることを確認した。以下に生成物の元素分析結果を示
す。 元素分析結果 C70922 として 計算値(%):C:87.50 H:9.58 N:2.92 実測値(%):C:87.52 H:9.53 N:2.95
【0066】化合物(23)の合成方法 9,10−ジヨードアントラセン15部、4,4−ジ
(2−フェニルイソプロピル))ジフェニルアミン27
部、および炭酸カリウム12部、銅粉末0.8部を入
れ、200℃にて30時間加熱撹拌した。その後、50
0部の水で希釈し、クロロホルムを用いて、抽出をおこ
なった。このクロロホルム層を濃縮し、シリカゲルを用
いたカラムクロマトグラフィーにより精製を行い、n−
ヘキサンで再沈澱をして黄色の蛍光を有する粉末18部
を得た。分子量分析の結果、化合物(23)であること
を確認した。以下に生成物の元素分析結果を示す。 元素分析結果 C74682 として 計算値(%):C:90.24 H:6.91 N:2.85 実測値(%):C:90.59 H:6.81 N:2.60
【0067】化合物(33)の合成方法 9,10−ジヨードアントラセン12部、1−ナフチル
−フェニルアミン25部、および炭酸カリウム20部、
銅粉末0.6部を入れ、200℃にて30時間加熱撹拌
した。その後、600部の水で希釈し、クロロホルムを
用いて、抽出をおこなった。このクロロホルム層を濃縮
し、シリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィーによ
り精製を行い、n−ヘキサンで再結晶をして黄色の蛍光
を有する針条結晶27部を得た。分子量分析の結果、化
合物(33)であることを確認した。以下に生成物の元
素分析結果を示す。 元素分析結果 C46322 として 計算値(%):C:90.20 H:5.23 N:4.57 実測値(%):C:90.39 H:5.31 N:4.30
【0068】実施例1 洗浄したITO電極付きガラス板上に、発光材料として
表1の化合物(3)、2,5−ビス(1−ナフチル)−
1,3,4−オキサジアゾール、ポリカーボネート樹脂
(帝人化成:パンライトK−1300)を5:3:2の
重量比でテトラヒドロフランに溶解させ、スピンコーテ
ィング法により膜厚100nmの発光層を得た。その上
に、マグネシウムと銀を10:1で混合した合金で膜厚
150nmの電極を形成して有機EL素子を得た。この
素子の発光特性は、直流電圧5Vで120(cd/
2 )、最高輝度1200(cd/m2)、発光効率0.
70(lm/W)の緑色発光が得られた。
【0069】実施例2 洗浄したITO電極付きガラス板上に、表1の化合物
(10)を真空蒸着して膜厚100nmの発光層を作成
し、その上に、マグネシウムと銀を10:1で混合した
合金で膜厚100nmの電極を形成して有機EL素子を
得た。発光層は10-6Torrの真空中で、基板温度室
温の条件下で蒸着した。この素子は、直流電圧5Vで4
00(cd/m2 )、最高輝度1200(cd/
2 )、発光効率0.50(lm/W)の緑色発光が得
られた。
【0070】実施例3 洗浄したITO電極付きガラス板上に、表1の化合物
(6)を塩化メチレンに溶解させ、スピンコーティング
法により膜厚50nmの発光層を得た。次いで、表3の
化合物(Bー10)を真空蒸着して膜厚10nmの電子
注入層を作成し、その上に、マグネシウムと銀を10:
1で混合した合金で膜厚100nmの電極を形成して有
機EL素子を得た。発光層および電子注入層は10-6
orrの真空中で、基板温度室温の条件下で蒸着した。
この素子は、直流電圧5Vで300(cd/m2 )、最
高輝度2200(cd/m2 )、発光効率0.90(l
m/W)の緑色発光が得られた。
【0071】実施例4 洗浄したITO電極付きガラス板上に、表1の化合物
(6)を真空蒸着して、膜厚50nmに発光層を形成し
た。次いで、表3の化合物(Bー10)を真空蒸着して
膜厚10nmの電子注入層を作成し、その上に、マグネ
シウムと銀を10:1で混合した合金で膜厚100nm
の電極を形成して有機EL素子を得た。電子注入層およ
び発光層は10-6Torrの真空中で、基板温度室温の
条件下で蒸着した。この素子は、直流電圧5Vで約35
0(cd/m2 )、最高輝度11000(cd/
2 )、発光効率1.05(lm/W)の緑色発光が得
られた。
【0072】実施例5〜47 洗浄したITO電極付きガラス板上に、表4の条件で、
正孔注入材料を真空蒸着して、膜厚30nmの正孔注入
層を得た。次いで、発光材料を真空蒸着して膜厚30n
mの発光層を得た。さらに、電子注入材料を真空蒸着し
て膜厚30nmの電子注入層を作成し、その上に、マグ
ネシウムと銀を10:1で混合した合金で150nmの
膜厚の電極を形成して有機EL素子を得た。各層は10
-6Torrの真空中で、基板温度室温の条件下で蒸着し
た。この素子の発光特性を表4に示す。ここでの発光輝
度は、直流電圧5V印加時の輝度であり、本実施例の有
機EL素子は、全て最高輝度10000(cd/m2
以上の高輝度特性を有していた。また、一般式[1]で
示される発光材料としては、A1 〜A4 の置換基にアリ
ール基を持つもの、もしくは隣接した置換基で芳香族環
を形成している化合物が、ガラス転移点温度や融点温度
が高く、発光駆動させた場合の初期輝度や寿命特性が良
好であった。また、有機EL素子の素子構成としては、
一般式[1]〜[5]の発光材料に、一般式[6]の正
孔注入材料および一般式[7]の電子注入材料を組み合
わせた素子が、最も良好な特性を示した。
【0073】
【表4】
【0074】実施例48 洗浄したITO電極付きガラス板上に、正孔注入材料
(A−16)を真空蒸着して、膜厚20nmの正孔注入
層を得た。次いで、発光材料として化合物(23)を真
空蒸着して膜厚20nmの発光層を得た。さらに、電子
注入材料として(B−23)を真空蒸着して、膜厚20
nmの電子注入層を得た。その上に、マグネシウムと銀
を10:1で混合した合金で膜厚150nmの電極を形
成して有機EL素子を得た。この素子は、直流電圧5V
で770(cd/m2 )、最高輝度27000(cd/
2 )、発光効率1.8(lm/W)の緑色発光が得ら
れた。
【0075】実施例49 ITO電極と化合物(A−16)との間に、無金属フタ
ロシアニンの膜厚5nmの正孔注入層を設ける以外は、
実施例48と同様の方法で有機EL素子を作製した。こ
の素子は、直流電圧5Vで1200(cd/m2 )、最
高輝度29000(cd/m2 )、発光効率1.70
(lm/W)の緑色発光が得られた。
【0076】実施例50 洗浄したITO電極付きガラス板上に、正孔注入材料
(A−4)を真空蒸着して膜厚30nmの正孔注入層を
得た。次いで、正孔注入材料(A−13)を真空蒸着し
て膜厚10nmの第2の正孔注入層を得た。次いで、発
光材料として化合物(24)を真空蒸着して膜厚30n
mの発光層を得た。さらに、電子注入材料(B−12)
を真空蒸着して膜厚30nmの電子注入層を得た。その
上に、マグネシウムと銀を10:1で混合した合金で膜
厚150nmの電極を形成して有機EL素子を得た。こ
の素子は、直流5Vでの発光輝度1100(cd/
2)、最大発光輝度87000(cd/m2)、発光効
率9.3(lm/W)の緑色発光が得られた。 実施例51 化合物(A−16)の代わりに無金属フタロシアニンの
膜厚20nmの正孔注入層を設ける以外は、実施例48
と同様の方法で有機EL素子を作製した。この素子は、
直流電圧5Vで650(cd/m2 )、最高輝度150
00(cd/m 2 )、発光効率1.30(lm/W)の
緑色発光が得られた。
【0077】本実施例で示された有機EL素子は、発光
輝度として10000(cd/m2)以上であり、全て
高い発光効率を得ることができた。本実施例で示された
有機EL素子について、3(mA/cm2 )で連続発光
させたところ、1000時間以上安定な発光を観測する
ことができ、ダークスポットもほとんど観察されなかっ
たのに対して、比較例の有機EL素子は、500時間以
下の発光時間で初期の発光輝度の半分以下になり、多く
のダークスポットが観測され、発光時間と共に、その数
が増加し、大きくなった。本発明の有機EL素子材料を
使用した有機EL素子は、発光材料の蛍光量子効率が極
めて高いので、この発光材料を使用した素子において
は、低電流印可領域での高輝度発光が可能になった。
【0078】本発明の有機EL素子は発光効率、発光輝
度の向上と長寿命化を達成するものであり、併せて使用
される発光材料、ドーピング材料、正孔注入材料、電子
注入材料、増感剤、樹脂、電極材料等および素子作製方
法を限定するものではない。
【発明の効果】本発明の有機EL素子材料を発光材料と
して使用した有機EL素子は、従来に比べて高い発光効
率で高輝度の発光を示し、長寿命の有機EL素子を得る
ことができた。以上により本発明で示した化合物を、有
機EL素子の少なくとも一層に使用すること、および、
本発明の素子構成により形成された有機EL素子は、高
輝度、高発光効率、長寿命の有機EL素子を容易に作製
することが可能となった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI H05B 33/22 H05B 33/22 B D

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 陽極/正孔注入層/発光層/電子注入層
    /陰極から構成される有機エレクトロルミネッセンス素
    子において、上記発光層が下記一般式[1]で示される
    発光材料を含有する層であり、上記正孔注入層が下記一
    般式[6]で示される芳香族三級アミン誘導体もしくは
    フタロシアニン誘導体を含有する層であり、上記電子注
    入層が金属錯体化合物もしくは含窒素五員環誘導体を含
    有する層であることを特徴とする有機エレクトロルミネ
    ッセンス素子。 一般式[1] 【化1】 [式中、A1 〜A4 は、それぞれ独立に、置換もしくは
    未置換の炭素数6〜16のアリール基を表す。R1 〜R
    8 は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換
    もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のア
    ルコキシ基、置換もしくは未置換のアリール基、置換も
    しくは未置換のアミノ基を表す(隣接した置換基同志で
    結合して新たな6員アリール環を形成してもよ
    い。)。] 一般式[6] 【化2】 [式中、B1 〜B4 は、それぞれ独立に、置換もしくは
    未置換の炭素数6〜16のアリール基を表す。Zは、置
    換もしくは未置換のアリーレン基(ただし、アントラセ
    ニレン基を除く。)を表す。]
  2. 【請求項2】 発光材料が下記一般式[2]で示される
    化合物である請求項1記載の有機エレクトロルミネッセ
    ンス素子。 一般式[2] 【化3】 [式中、R1 〜R28は、それぞれ独立に、水素原子、ハ
    ロゲン原子、置換もしくは未置換のアルキル基、置換も
    しくは未置換のアルコキシ基、置換もしくは未置換のア
    リール基、置換もしくは未置換のアミノ基を表す。R1
    〜R4もしくはR5〜R8は隣接した置換基同志で結合し
    て新たな6員アリール環を形成してもよい。]
  3. 【請求項3】 発光材料が下記一般式[3]で示される
    化合物である請求項2記載の有機エレクトロルミネッセ
    ンス素子。 一般式[3] 【化4】 [式中、R1 〜R8 およびR29〜R48は、それぞれ独立
    に、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは未置換のア
    ルキル基、置換もしくは未置換のアルコキシ基、置換も
    しくは未置換のアリール基、置換もしくは未置換のアミ
    ノ基を表す。X1〜X4 は、それぞれ独立に、O、S、
    C=O、SO2 、(CH2 )x−O−(CH2 )y、置
    換もしくは未置換のアルキレン基、置換もしくは未置換
    の脂肪族環残基を表す。ここで、xおよびyは、それぞ
    れ0〜20の正の整数を表すが、x+y=0となること
    はない。R1〜R4もしくはR5〜R8は隣接した置換基同
    志で結合して新たな6員アリール環を形成してもよ
    い。]
  4. 【請求項4】 発光材料が下記一般式[4]で示される
    化合物である請求項3記載の有機エレクトロルミネッセ
    ンス素子。 一般式[4] 【化5】 [式中、R1 〜R8 およびR29〜R48は、それぞれ独立
    に、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは未置換のア
    ルキル基、置換もしくは未置換のアルコキシ基、置換も
    しくは未置換のアリール基、置換もしくは未置換のアミ
    ノ基を表す。X1〜X4 は、それぞれ独立に、O、S、
    C=O、SO2 、(CH2 )x−O−(CH2 )y、置
    換もしくは未置換のアルキレン基、置換もしくは未置換
    の脂肪族環残基を表す。ここで、xおよびyは、それぞ
    れ0〜20の正の整数を表すが、x+y=0となること
    はない。R1〜R4もしくはR5〜R8は隣接した置換基同
    志で結合して新たな6員アリール環を形成してもよ
    い。]
  5. 【請求項5】 発光材料が下記一般式[5]で示される
    化合物である請求項4記載の有機エレクトロルミネッセ
    ンス素子。 一般式[5] 【化6】 [式中、R1 〜R8 およびR29〜R48は、それぞれ独立
    に、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは未置換のア
    ルキル基、置換もしくは未置換のアルコキシ基、置換も
    しくは未置換のアリール基、置換もしくは未置換のアミ
    ノ基を表す。Y1〜Y8 は、置換もしくは未置換の炭素
    数1〜20のアルキル基、置換もしくは未置換の炭素数
    6〜16のアリール基を表す。R1〜R4もしくはR5
    8は隣接した置換基同志で結合して新たな6員アリー
    ル環を形成してもよい。]
  6. 【請求項6】 金属錯体化合物が、下記一般式[7]で
    示される化合物である請求項1ないし5いずれか記載の
    有機エレクトロルミネッセンス素子。 一般式[7] 【化7】 [式中、Q1 およびQ2 は、それぞれ独立に、置換もし
    くは未置換のヒドロキシキノリン誘導体、置換もしくは
    未置換のヒドロキシベンゾキノリン誘導体を表し、L
    は、ハロゲン原子、置換もしくは未置換のアルキル基、
    置換もしくは未置換のシクロアルキル基、置換もしくは
    未置換の窒素原子を含んでも良いアリール基、−OR
    (Rは水素原子、置換もしくは未置換のアルキル基、置
    換もしくは未置換のシクロアルキル基、置換もしくは未
    置換の窒素原子を含んでも良いアリール基を表す。)、
    −O−Ga−Q3 (Q4 )(Q3 およびQ4 は、Q1
    よびQ2と同じ意味を表す。)で表される配位子を表
    す。]
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