次々と話題作に出演するなかで、『君の忘れ方』で映画単独初主演を果たした坂東龍汰さん。大切な人を失った悲しみとの向き合い方を描く作品で心がけたこととは?
“客観”はあえて忘れて、
自分の感情に素直に臨みました
――冒頭から婚約者の死と向き合うことになる切ない映画ですが、どうやって気持ちを作っていきましたか?
劇中の回想シーンで過去の思い出が詰まった写真をピックアップするシーンがあるのですが、その写真をクランクイン前に1日がかりでヒロインを演じた西野七瀬さんと撮影しました。2人の過去の時間を想像しやすいような流れで撮影してもらえたので、喪失後のシーンも自然と主人公に感情移入することができました。
――今回は単独初主演映画だからこそプレッシャーも大きかったのでは?
最初は『座長の自分が盛り上げなきゃいけない』という強い意気込みを持っていたのですが、監督からは『主観でいてほしい』というリクエストをいただきました。主人公、昴は恋人を失ったことで色々と塞ぎ込んでしまう。監督やスタッフ、共演者の方々が僕が芝居に集中しやすいように誘導してくださったので、すごく助かりました。

――「人はどう悲しみと向き合えばよいのか」という普遍的なテーマを描いた作品ですが、撮影が終わった後、坂東さんの胸にどんな感情が残りましたか?
大切な人との別れを『早く忘れて切り替えたほうがいい』と言う人もいるかもしれませんが、それは難しいですよね。だから無理に忘れようとするより、時間がかかったとしても、笑顔で思い出せるようになることが理想だと思いました。
――ちなみに普段、坂東さんは仕事をしていて「大事なのに忘れがちなこと」はありますか?
「すごく小さなことなんですが……(笑)。撮影前夜、うっかり夕飯に塩辛いものを食べてしまって、顔が浮腫んでしまうことがあります(笑)。ちなみに昨日は焼き肉を食べに行ったのですが、今日が撮影だということを忘れずに、目の前にあった美味しそうなチャンジャを我慢しました!


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Photo:JOJI Styling:leeyasuka Hair&Make-up:Tai Goto(OLTA) Text:Satoshi Asahara Model:Ryota Bando