王(KING)の強さと騎士(KNIGHT)の優しさ、子ども(KID)のような鋭さと熱狂(KEEN)とが共生するKRUMPの名手は、この春、創造主・零(L.E.I.)純粋さを持つ壱馬は、万華鏡(KALEIDOSCOPE)のように多面的。として理不尽な世の中に闘いを挑む。根底にあるのは「未来を良くしたい」という、まるで“音楽で人々の心を治める王”の如き切なる願いであり祈りだった。
I am K.
Kで紐解く壱馬の謎。
I am Kazuma
L.E.I.:「壱」から「零」への決意表明

「IamK」という、僕の好きなものを深掘りする連載をやらせていただいてもう1年以上経ちますが、ソロでは初表紙! 非常に嬉しいです! しかも、このタイミングで、ソロアーティスト「零」としても出発することになりました。読み方は「レイ」、欧文表記では「L.E.I.」となります。
なぜこの名前にしたかというと、これまで築いてきた自分のキャリアを「壱」とするならば、型にはまらずに自分の音楽や言葉を通して世の中を変えていくことを目的とする僕のソロワークは、「零」と呼ぶのに相応しいと考えたからです。
僕は、自分の「壱馬」という名前をすごく気に入っています。「壱」は、「オンリーワン」の「ワン」でもあるし、未来へと歩み出した証でもある。ただ「川村壱馬」というアーティストは、THE RAMPAGEのボーカリストであり、川村壱馬の表現行為は“16人の仲間で生み出す極上のエンタテインメント”であるべきだという思いもあります。その一方で、いつかソロワークをするなら、自分の言葉で伝えていきたい、音楽で世の中を変えていきたいという思いがありました。
でも、いざソロでやるってなると、産みの苦しみもかなりあって(笑)。ガチのソロ1曲目を出すとなったとき、伝えたいことが多すぎて、考えがまとまらないんです。特にテーマ! 最初に膨大な数のシングル曲候補のトラック音源やリファレンス(参考資料)を出してもらって、そこから十数曲に絞ったんですが、その中にはまだバラード曲も入ってました(笑)。
でも、「ラップで行く!」という強い思いの中で、2曲に絞って、曲のテーマを決めることにしたんですが、「いつかこれを言いたい」「あんなことも言いたい」と想いが溜まりすぎていて、そのテーマが決まらない。「今はまとまらない。今はまだ無理」と言って、制作サイドには随分待ってもらいました。
結局アニメ『Aランクパーティを離脱した俺は、元教え子たちと迷宮深部を目指す。』の主題歌の『Enter』が先に出来上がって。自分がソロアーティストとしてやる上で、ずっと温めてきたイメージに近い『Delete』のリリックが仕上がったのは、「ここでレコーディングできなかったらもうリリースに間に合わない」というギリギリのタイミングでした(苦笑)。
ソロ一発目の曲としては、妥協せずに、自分の思いを込められたと思います。理不尽な世の中に殴り込みをかけるといったらちょっと物騒かもしれないけど、この曲が、燻っている誰かの心に風穴を開けるような、一つの問題提起になればいいな。「零」の持つ可能性は無限大です。創造主のようにここから、俺が音楽で時代を変えていきます。
川村壱馬連載【I am K.】
Model:Kazuma Kawamura Photo:Takashi Yoshida Styling:Masanori Takahashi Hair&Make-up:oya(KIND) Text:Yoko Kikuchi