ダイナミックなギャグと笑い声でバラエティ番組を盛り上げながら、ドラマや映画では憂いを帯びた表情で視聴者を魅了することもできる。両極端の表現を磨き続け、唯一無二のアイドルへと進化し続けるジェシー。“陽”と“陰”の二面性。そのどちらもがジェシーであり、彼の魅力の根源である。
『お嬢と番犬くん』の座長が見たもの
俳優ジェシー
どんどん古い自分を捨てて、
新しい自分に生まれ変わりたい
――ジェシーさんが福本莉子さんとW主演を務めた映画『お嬢と番犬くん』は、同名の人気漫画が原作のラブコメディです。オファーが届いた瞬間の率直な感想を教えてください。
嬉しかったですね。2012年に出演させてもらった『スプラウト』という作品もキュンキュン系の漫画が原作で、当時は自分も10代だったから等身大の自分で挑戦することができたんですよ。今回もヒロインは高校生だけど俺が演じた啓弥は26歳の設定だから違和感なく演じられると思ったし、大人の魅力を発揮するチャンスだと思いましたね。キュンキュン、ドキドキするようなお芝居は、他のアイドルだけじゃなくて、俺にもできる!ってことを証明してやろうと(笑)。
――啓弥は極道の若頭で、組長の孫娘であるヒロインの一咲を見守るために同じ高校に裏口入学してしまいます。彼のキャラクターをどのように分析して役作りをしましたか?
原作漫画やアニメを見て、すごく素直な青年なんだと思ったな。自分が大切にしている物事に対してブレないで集中している……そこが狂気的で怖い部分でもあり、可愛らしい部分でもある。基本的に落ち着いていて表情が変わらないから、お芝居では声のトーンを低く保つことを意識していました。普段の自分とは大きく違ったキャラクターを演じられることにやりがいを感じましたね。
――完成した映像を見てニヤニヤしちゃったそうですね。
ベンツに乗ったり、タバコを吸ったり、啓弥が魅力的に切り取られたシーンが多かったので、ファンの人たちが喜ぶ顔を想像して嬉しくなっちゃいました。特に気に入っているのは、やっぱり一咲との距離が縮まるシーン。普段はセリフの間が空くのが怖いと思っちゃうんだけど、今回は監督から『セリフを言いたい気持ちになるまで間を空けていい』と言われていて。実際に一咲と啓弥が至近距離でセリフを交わすシーンでは、2人のリアルな緊張感が伝わるような絶妙な間を作れたんじゃないかな。
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――恥ずかしさや緊張で遠慮してしまうことはなかったですか?
撮影初日にポスター撮影で莉子ちゃんと一緒に原作の表紙っぽくいろんなポージングに挑戦したので、その時点で恥ずかしい気持ちは消えましたね。個人的には、啓弥や舞台で演じた『ビートルジュース』のように、キャラクターがはっきりしている役柄のほうが思い切って憑依させられる感覚があります。逆に“普通の人”のほうが難しくて、ドラマ『モンスター』の杉浦(義弘)役は慣れるまで少し時間がかかりましたね。
――『お嬢と番犬くん』の撮影現場でも率先してムードメーカーを務めていたのでしょうか?
今回、そこは監督に助けられましたね。緊張感を和らげるためにリハーサルで俺と莉子ちゃんがお互いの役を入れ替えて演じることを提案してくれたり、カットする前提でシーンの最後に俺に長尺アドリブを要求したり、余興みたいな時間をたくさん設けてくれたので(笑)。そのおかげでのびのびと演じることができました。
――最近のジェシーさんは俳優としても着々と活躍の場を広げていますが、演技の仕事のどんな部分に楽しさを感じていますか?
アイドルって飽きられてしまったら終わりだと思うんですよ。俺は人を笑わせることが好きだけど、まだ20代だし、表現の方向性をひとつに定めずに、みんなの予想のナナメ上を行くような活動をしなきゃダメ。だから普段は見せない表情を見せられる俳優業は俺にとって絶好の機会。どんどん新しい役柄に挑戦して、古い自分のイメージを捨てながら、新しい自分に生まれ変われたら。
――SixTONESもこれまでのアイドル像を覆すような意欲的な楽曲を発信し続けていますよね。
今はいろんな個性が受け入れてもらえる時代だし、音楽のメインストリームもどんどん変わっていくものだから。誰かの真似をするんじゃなくて、自分たちが時代を変えていくつもりでやることが大切。SixTONESとしても、個人としても、『いつもスゴいことやってんな~』って思われる存在でいたいよね。もちろん、そうなれるという自信も持っているよ。
Interview&Text:Orie Nakamura