JP5393330B2 - 磁性キャリア及び二成分系現像剤 - Google Patents

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Description

本発明は、電子写真及び静電記録法に用いられる磁性キャリア及び二成分系現像剤に関するものである。
電子写真法において、静電荷像を現像する工程は摩擦帯電されたトナーを静電荷像とのクーロン力を利用して静電荷像上に付着させてトナー画像を形成する。トナーを用いて静電荷像を現像するための現像剤には、磁性体を樹脂中に分散した磁性トナーを用いる一成分系現像剤と、非磁性トナーと磁性キャリアを混合して用いる二成分系現像剤とがある。
特に、高画質を要求されるフルカラー複写機またはフルカラープリンタの如きフルカラー画像形成装置では、後者が好適に用いられている。
近年、フルカラー画像形成装置にも写真画質や従来以上の消費電力の低減が要求されている。写真画質では、従来以上のハーフトーン画像での均一性(ガサツキ)、長期にわたり高画質が維持されることが要求される。
上記課題を解決するために、数々の検討が行われ、細孔があるフェライトコアに樹脂を充填した樹脂充填型磁性キャリアが提案されている(特許文献1、2参照)。
これらの提案によれば、前記磁性キャリアの低比重化により画像の劣化をある程度は抑制することは可能である。
しかし、消費電力を低減するために、画像形成用ドラム表面の光導電特性の温度変化の影響を少なくするために用いているドラムユニットの温度制御ヒーター(ドラムヒーター)をなくした複写機を高温高湿(温度30℃/湿度80%RH)環境で1週間放置後に印刷した場合、トナーの摩擦帯電量が低下し、非画像領域にトナーが付着してトナー画像が劣化する現象(カブリ)が発生したり、ガサツキが発生することがあった。
また、低画像比率(画像比率1%)で50000枚プリントアウトした場合、壊れた磁性キャリアが画像上に付着することがあった。さらに、常温低湿環境下(温度23℃/湿度5%RH)でハーフトーンとベタが隣接した画像をプリントアウトした場合、ハーフトーン画像の濃度が低下する現象(白抜け)が発生することがあった。
上記樹脂充填型磁性キャリアは、水銀圧入法で測定したキャリアコア粒子の細孔の総容積や細孔と空隙の総容積の比率をコントロールし、キャリア性能を向上させた提案がなされている。細孔とは、キャリアコアにある小さい孔のことを示しており、空隙とは水銀圧入法で測定したときのキャリアコア粒子間の隙間を示している。上記をコントロールすることにより、高電圧印加時の高抵抗維持性に効果があった(特許文献3)。
また、水銀圧入法で測定されるキャリアコアの空隙径をコントロールした磁性キャリアの提案がなされており、磁性キャリアが真球に近づき、磁性キャリアの穂立ちがソフトになり、ガサツキや初期のキャリア付着は良好であった(特許文献4)。
しかし、上記のように細孔の総容積や細孔と空隙の総容積の比率、空隙径を規定コントロールしただけでは、低画像比率耐久後のキャリアの付着、高温高湿環境での放置後のカブリ、低湿環境での白抜けは改善できていなかった。
このようにいずれの提案においても、ガサツキを改善し、カブリ、キャリア付着、白抜けを十分に改良した磁性キャリア及び二成分系現像剤は得られておらず、さらなる改善が要求されている。
特登録4001606 特登録4001609 特開2007−218955 特開2007−163673
本発明の目的は、トナー画像のガサツキを改善し、画像形成装置本体を高温高湿環境で1週間放置後にプリントアウトした場合のカブリの改善、低画像比率耐久後のキャリア付着低減を可能とした磁性キャリア及び二成分系現像剤の提供を目的とする。
さらに、低湿環境での白抜けを改善した磁性キャリア及び二成分系現像剤の提供を目的とする。
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、多孔質磁性コア粒子の細孔径分布を制御することで、ガサツキを改善し、複写機本体を高温高湿環境で1週間放置後にプリントアウトした場合のカブリの改善、低画像比率耐久後のキャリア付着を低減できることを見出した。
本発明は、多孔質磁性コア粒子と樹脂とを少なくとも有する磁性キャリア粒子を有する磁性キャリアであって、
該多孔質磁性コア粒子は、水銀圧入法で測定される細孔径及び微分細孔容積に関し、以下のi)及びii)
i)細孔径0.10μm以上3.00μm以下の範囲の微分細孔容積が最大となる細孔径が0.80μm以上1.50μm以下であ
ii)細孔径0.80μm以上1.50μm以下の範囲の微分細孔容積の最大値をP1とし、細孔径2.00μm以上3.00μm以下の範囲の微分細孔容積の最大値をP2とした場合に、P1が0.05ml/g以上0.50ml/g以下であり、P2/P1が0.05以上0.30以下である、
を満たすことを特徴とする磁性キャリアに関する。
更に本発明は、磁性キャリアとトナーを有する二成分系現像剤において、
該磁性キャリアは、多孔質磁性コア粒子と樹脂とを少なくとも有する磁性キャリア粒子を有する磁性キャリアであって、
該多孔質磁性コア粒子は、水銀圧入法で測定される細孔径及び微分細孔容積に関し、以下のi)及びii)
i)細孔径0.10μm以上3.00μm以下の範囲の微分細孔容積が最大となる細孔径が0.80μm以上1.50μm以下であ
ii)細孔径0.80μm以上1.50μm以下の範囲の微分細孔容積の最大値をP1とし、細孔径2.00μm以上3.00μm以下の範囲の微分細孔容積の最大値をP2とした場合に、P1が0.05ml/g以上0.50ml/g以下であり、P2/P1が0.05以上0.30以下である、
を満たすことを特徴とする二成分系現像剤に関する。
本発明によれば、ガサツキを改善し、画像形成装置本体を高温高湿環境で1週間放置後に印刷した場合のカブリの改善、低画像比率の画像印刷時のキャリア付着を低減することができる。さらに、低湿環境での白抜けの改善することができる。
本発明に適用できる表面改質装置の模式図である。 本発明の多孔質磁性コア粒子の水銀圧入法により測定された細孔径分布の一例を示す図である。 本発明の多孔質磁性コア粒子の水銀圧入法により測定された細孔径分布の一例の拡大図である。 本発明の多孔質磁性コア粒子のブレークダウンする電界強度の測定装置の概略図である。
本発明の磁性キャリアは、多孔質磁性コア粒子と樹脂を少なくとも有する磁性キャリア粒子を有する磁性キャリアである。
多孔質磁性コア粒子は、水銀圧入法における細孔径0.10μm以上3.00μm以下の範囲の微分細孔容積が最大となる細孔径が0.80μm以上1.50μm以下の範囲にあり、より好ましくは細孔径が0.90μm以上1.40μm以下である。
また、細孔径0.80μm以上1.50μm以下の範囲の微分細孔容積の最大値をP1とし、細孔径2.00μm以上3.00μm以下の範囲の微分細孔容積の最大値をP2とした場合に、P1が0.05ml/g以上0.50ml/g以下であり、より好ましくは0.10ml/g以上0.45ml/g以下である。P2/P1が0.05以上0.30以下であり、より好ましくはP2/P1が0.10以上0.25以下である。
水銀圧入法では、水銀に加える圧力を変化させ、細孔中に侵入した水銀の体積を測定する。圧力と水銀が侵入した細孔径には、圧力P、細孔径D、水銀の接触角と表面張力をそれぞれθとσとすると、PD=−4σCOSθという関係がある。接触角と表面張力を定数とすれば、圧力Pとそのとき水銀が侵入し得る細孔径Dは反比例することになる。このため、圧力Pとそのときに侵入した水銀の体積Vを、圧力を変えて測定し得られるP−V曲線の横軸Pを、そのままこの式から細孔径に置き換え、各細孔径に対する細孔容積の積算値を算出する。各細孔径に対する細孔容積の積算値を微分し、各細孔径における細孔の容積値としている。これを微分細孔容積とする。水銀圧入法では、多孔質磁性コア粒子に存在する細孔と同時に、多孔質磁性コア粒子間の空隙も測定できる。
しかし、ガサツキとキャリア付着の改善のためには、空隙ではなく細孔のコントロールが重要である。このため、ガサツキの低減とキャリア付着を改善するためには、0.10μm以上3.00μm以下の細孔径の微分細孔容積が最大となる細孔径が0.80μm以上1.50μm以下、P1を0.05ml/g以上0.50ml/g以下とすることが重要である。
そのメカニズムは明確ではないが、本発明者らは以下のように推察している。
高温高湿下(温度30℃/湿度80%RH)では、磁性キャリアの摩擦帯電付与能が低下し、トナーの摩擦帯電量が低下する場合がある。この場合、トナーと静電画像担持体上の静電画像間のクーロン力が低下するために、トナーが現像されにくく、ガサツキが発生しやすくなる。
しかし、P1を0.05ml/g以上0.50ml/g以下とすることで、磁性キャリアの摩擦帯電付与能を高め、高温高湿下(温度30℃/湿度80%RH)でも、ガサツキを改善することができる。この理由は、明確ではないが本発明者らは以下のように考えている。
本発明の磁性キャリアは、多孔質磁性コア粒子中に樹脂を含有させたものである。樹脂を含有させる場合に、多孔質磁性コア粒子の0.80μm以上1.50μm以下の範囲の微分細孔容積の最大値が0.05ml/g以上あることにより、多孔質磁性コア粒子に細孔が一定量以上存在する。細孔に樹脂が充填されることにより、樹脂と多孔質磁性コア粒子が広い表面積で強固に接着する。このため、多数枚プリントすると、磁性キャリアに強いストレスがかかった場合でも、多孔質磁性コア粒子から樹脂が脱離することが少ない。このため、脱離樹脂による摩擦帯電阻害を軽減し、磁性キャリアとして高い摩擦帯電付与能を持つことができ、高温高湿環境下でもトナーの摩擦帯電量を高めることができる。
また、本発明の多孔質磁性コア粒子は、磁性キャリア中の磁性体量が少ないにもかかわらず、細孔径分布が適切であるために、強度を保持することが可能である。例えば、トナーの消費が少ない場合、トナー粒子への外添剤が埋め込みが促進され、磁性キャリアとトナーの付着力が増加する。その結果、現像剤の攪拌時に磁性キャリアに大きなストレスがかかる。例えば、低画像比率(画像比率1%)で50000枚プリントした場合である。本発明のキャリアはこのような場合にも磁性キャリアの破壊を抑制でき、磁性キャリアのトナー画像上への付着を改善できる。
多孔質磁性コア粒子のP1が0.05ml/gより小さいと、多孔質磁性コア粒子中に樹脂を含有させる時に、細孔に充填されにくく、樹脂と多孔質磁性コア粒子の接着面積が小さくなり接着力が弱くなる。このため、磁性キャリアに強いストレスがかかった場合に、多孔質磁性コア粒子から脱離する樹脂が増加する。そして、脱離した樹脂がトナーの摩擦帯電を阻害し、ガサツキが発生する場合がある。
P1が0.50ml/gより多いと、磁性キャリアの強度低下を抑制できず、低画像比率で50000枚プリントした場合、磁性キャリアが破壊され、画像上に付着する場合がある。
同時に、0.10μm以上3.00μm以下の細孔径の微分細孔容積が最大となる細孔径を0.80μm以上1.50μm以下にすることが、高温高湿(30℃/80%RH)のガサツキを改善しつつ、磁性キャリアの強度を向上させるために必要である。
微分細孔容積が最大となる細孔径が1.50μm以下とすることで多孔質磁性コア粒子の細孔が密に存在する。そして、多孔質磁性体が三次元的に密に組み合わさった構造で多孔質磁性コア粒子を構築し、細孔を有しないコアと比べ、多孔質磁性コア粒子の強度の低下が少ない。このため、低画像比率(画像比率1%)で50000枚プリントした場合にも磁性キャリアの破壊を抑制でき、磁性キャリアの画像上への付着を改善できる。
微分細孔容積が最大となる細孔径を0.80μm以上とすることで、多孔質磁性コア粒子の細孔中に樹脂を含有させやすくし、多孔質磁性コア粒子と樹脂が広い表面積で強固に接着する。このため、多数枚プリントする等キャリアに強いストレスがかかった場合でも、多孔質磁性コア粒子からの樹脂の脱離を軽減することができる。このため、脱離樹脂による摩擦帯電阻害を軽減し、磁性キャリアとして高い摩擦帯電付与能を持つことができ、高温高湿環境下でもトナーの摩擦帯電量を高め、ガサツキを改善することができる。
微分細孔容積が最大となる細孔径が1.50μmより大きい場合、多孔質磁性体が三次元的な構造が疎になり、多孔質磁性コア粒子の強度を保持することができない。このため、磁性キャリアの強度低下を抑制できず、低画像比率で50000枚プリントした場合、キャリアが破壊され、画像上に付着する場合がある。
微分細孔容積が最大となる細孔径が0.80μmより小さい場合、細孔が細すぎるために表面張力の影響が大きく、樹脂溶液で細孔をぬらしにくく、その結果、細孔に樹脂が含有されず多孔質磁性コア粒子と樹脂の接着面積が狭くなる場合がある。
そのため、多数枚プリントすると、磁性キャリアに強いストレスがかかった時に、多孔質磁性コア粒子から脱離した樹脂が、トナーの摩擦帯電を阻害しガサツキが発生する場合がある。
さらに、本発明者らは鋭意検討の結果、多孔質磁性コア粒子の細孔径と細孔径分布(P2/P1)を、P2/P1を0.05以上0.30以下とすることで、画像比率1%の低画像比率で50000枚プリントした場合に、トナー画像上のキャリア付着を低減しつつ、同時に、画像形成装置本体を高温高湿環境で1週間放置後にプリントアウトした場合のカブリを改善することができることを見出した。
P1は、細孔径0.80μm以上1.50μm以下における微分細孔容積の最大値であり、前述した通り多孔質磁性コア粒子と樹脂を広い面積で接着できるようにし、脱離樹脂を減らし、キャリアの帯電付与能を高め、高温高湿環境下(温度30℃/湿度80%RH)でも、ガサツキを改善することができる。
P2は、細孔径2.0μm以上3.0μm以下における微分細孔容積の最大値であり、2.0μm以下の細孔、特に、微分細孔容積が最大となる0.80μm以上1.50μm以下の細孔に樹脂を均一に充填するために必要である。
そのメカニズムは明確ではないが、本発明者らは以下のように推察している。
多孔質磁性コア粒子の表面近傍に樹脂が均一に充填されている場合、磁性キャリア粒子の表面のどの場所でも摩擦帯電付与能は同じである。しかし、樹脂が均一に充填されてない場合、磁性キャリア粒子の表面の場所により摩擦帯電付与能が異なってくる。これは、樹脂の比誘電率(例えば、シリコーン樹脂 約4.0、アクリル樹脂 約3.5)と空気の比誘電率(約1.0)が異なるためであると推測される。
前述したように、本発明の磁性キャリア粒子の表面近傍をミクロ的に見ると、樹脂が含有された場所は「磁性体−樹脂−磁性体」という繰り返しになるのに対し、樹脂が含有されていない場所は「磁性体−空気−磁性体」という繰り返しになる。
この繰り返しをひとつのコンデンサーと考えた時に、樹脂と空気の比誘電率が異なっているために樹脂が充填されている場所と、されていない場所では、静電容量が異なってくる。このため、多孔質磁性コア粒子表面に均一に樹脂が充填されていない場合、磁性キャリアの場所により静電容量の不均一が生じ、磁性キャリア粒子の表面の場所により摩擦帯電付与能が異なり、トナーの摩擦帯電量に分布が生じる。さらに、高温高湿環境に放置された場合、摩擦帯電量が低下したトナーが、非画像領域に現像されカブリとして認識されると考えている。
このため、磁性キャリア粒子の表面近傍の細孔には樹脂を均一に充填させることが重要である。多孔質磁性コア粒子に樹脂を充填する場合、大きい細孔で樹脂溶液と多孔質磁性コアがなじみ、その後、充填されていく。磁性キャリアの多孔質磁性コア粒子に均一に樹脂を充填させ、カブリを抑制するためには、多孔質磁性コア粒子の小さい細孔まで均一に樹脂を充填することが必要である。
前述した通り、本発明で用いられる多孔質磁性コア粒子の細孔は、0.80μm以上1.50μm以下のものが多い。このため、0.80μm以上1.50μm以下の細孔に均一に樹脂を充填することが重要である。しかし、この0.80μm以上1.50μm以下の細孔では、表面張力の影響が大きくぬれにくく、細孔に樹脂が充填されない場合がある。そこで、表面張力の影響が少ない2.0μm以上の細孔の存在がある一定量以上必要である。ただし、水銀圧入法で3.0μmより大きい細孔は、多孔質磁性コア粒子間の空隙も測定しているために、2.0μm以上3.0μm以下の細孔が必要であり、その微分細孔容積の最大値をP2とする。
P2/P1が0.05以上0.30以下存在すると、まず、2.0μm以上3.0μm以下の細孔部分で樹脂溶液が多孔質磁性コアと濡れ、充填される。そして、2.0μmより小さい細孔も樹脂が均一に充填され、磁性キャリア粒子が表面のどの場所でも均一な帯電付与能をもち、画像形成装置本体を高温高湿環境で1週間放置後にプリントアウトした場合のカブリを改善することができる。
P2/P1が0.05より小さい場合、表面張力の影響が少なく樹脂溶液が多孔質磁性コアと濡れやすい2.0μm以上の細孔の存在が少ないために、2.0μm以下の細孔に樹脂が充填されない場合があり、画像形成装置本体を高温高湿環境で1週間放置後に印刷した場合のカブリが発生する場合がある。
P2/P1が0.30より大きい場合、2.0μm以上3.0μm以下の大きい細孔が多いため、多孔質磁性体が三次元的な構造が疎になり、多孔質磁性コア粒子の強度を保持することができない。その結果、低画像比率(画像比率1%)で50000枚プリントした場合にも破壊された磁性キャリアがトナー画像上への付着する場合がある。
以上、述べてきた通り、多孔質磁性コア粒子の微分細孔容積が最大となる細孔径を0.80μm以上1.50μm以下、P1を0.05ml/g以上0.50ml/g以下、P2/P1を0.05以上0.30以下とすることで、初めて、高温高湿環境下でのガサツキ、画像形成装置本体を高温高湿環境で1週間放置後にプリントした場合のカブリ、低画像比率(画像比率1%)で50000枚プリントした場合の磁性キャリア付着を全て改善できる。
微分細孔容積が最大となる細孔径やP1、P2/P1は、多孔質磁性コア粒子を作成するときのスラリーの粒径や粒径分布、本焼成工程での焼成温度及び時間を変えることで、制御することができる。これについては、磁性キャリアの製造方法の部分でより詳しく説明する。
また、多孔質磁性コア粒子のブレークダウンする電界強度が、400V/cm以上2000V/cm以下であると、ガサツキをより改善できると共に、さらに低湿環境での白抜けを改善できるためにより好ましい。その理由は明確ではないが、本発明者らは、以下のように考えている。
前述した通り、磁性キャリアは、トナーが現像される時にキャリア中にトナーと逆極性の電荷(カウンター電荷)が蓄積する。このため、カウンター電荷が蓄積した磁性キャリアは、帯電付与能が低下し、トナーの摩擦帯電量が低下し、その結果、高湿環境下でガサツキが発生する場合がある。
また、このカウンター電荷が大きくなると、トナーと磁性キャリアのクーロン力が大きくなり、トナーが磁性キャリアから離れにくくなり、現像効率が低下する場合がある。ハーフトーンとベタが隣接した画像を印刷した場合、エッジ効果によりベタと隣接した部分のハーフトーンは、トナーが現像されにくい。このため、ハーフトーン画像の濃度が低下する現象(白抜け)が発生する場合がある。
しかし、本発明の磁性キャリアは、カウンター電荷がたまり、現像時の電界強度が上がると、ブレークダウンをおこし、多孔質磁性コアの抵抗が急激に低下し、磁性キャリア中にカウンター電荷が流れるパスができ、効果的にカウンター電荷を現像剤担持体に逃がすことができる。このため、高湿環境下でガサツキを低減することができる。同時に、低湿環境下においてもトナーとキャリアの付着力を低減することができるため、現像性が向上し、白抜けが改善できる。
さらに、本発明の磁性キャリアは、交番電界のピーク間電圧(Vpp)を下げることができ、それによって、記録紙上にリング状又はスポット状の模様が生じる現象(リングマーク)を低減することができる。
交番電界とは、現像剤担持体に直流電圧と共に印加される電圧である。交番電界を印加する目的は、トナーの静電潜像担持体上での再配列を行い、ドット再現性を良化し、より多くのトナーを現像させる、いわゆる高現像性を引き出すためである。
交番電界は、ピーク間電圧(Vpp)が0.5kV以上2.0kV以下、周波数が1.0kHz以上3.0kHz以下程度が、高画質化のために好ましい。Vppは、できる限り下げたほうが好ましいが、下げた場合には、現像性が著しく低下する。Vppを高くした場合には、現像性は十分なものが得られる反面、電界強度が高くなりすぎることによる放電現象が起こり、記録紙上にリングマークが発生する場合がある。
本発明の磁性キャリアは、効果的にカウンター電荷を現像剤担持体に逃がすことができるために、Vppを好ましくは1.5kV以下である。より好ましくは1.3kVというリングマークを低減できる電圧で、高画質な画像を得ると同時に高い現像性を得ることができる。
また、本発明の多孔質磁性コア粒子は、微分細孔容積が最大となる細孔径を0.80μm以上であり、かつ、P1/P2が0.05以上である。微分細孔容積が最大となる細孔径を0.80μm以上で、かつ、P1/P2を0.05以上とすることで、前述した通り、多孔質磁性コア粒子の細孔に樹脂を含有しやすくする。このため、本発明の磁性キャリアは、多孔質磁性コア粒子の表面近傍に樹脂を多く含有したものになる。多孔質磁性コア粒子の表面近傍に樹脂が多く存在するために、多孔質磁性コア粒子のブレークダウン電圧が低いにもかかわらず、磁性キャリアとしては過度のリークを抑制することができる。このため、2000V/cm以下の低いブレークダウン電圧を持つ多孔質磁性コア粒子を用いた場合においても、磁性キャリアに過度のリークが発生し、静電画像担持体上の静電画像を乱すことによる、画質低下を改善できる。一方、微分細孔容積が最大となる細孔径を0.80μm未満、P1/P2が0.05未満で、かつ、ブレークダウン電圧が2000V/cm以下の多孔質磁性コア粒子を用いた磁性キャリアの場合、現像時に過度のリークが発生し、静電画像担持体上の静電画像を乱し、画質が低下する場合がある。また、微分細孔容積が最大となる細孔径を0.80μm未満、P1/P2が0.05以上としても、ブレークダウン電圧が400V/cmより小さい多孔質磁性コア粒子を用いた磁性キャリアの場合、現像時に過度のリークが発生し、静電画像担持体上の静電画像を乱し、画質が低下する場合がある。
多孔質磁性コア粒子は、以下のような工程で製造することができる。
多孔質磁性コア粒子の材質としては、フェライトであることが好ましい。
フェライト粒子とは次式で表される焼結体である。
フェライトとは次式で表される焼結体である。
(M12O)x(M2O)y(Fe23z(式中、M1は1価、M2は2価の金属であり、x+y+z=1.0とした時、x及びyは、それぞれ0≦(x,y)≦0.8であり、zは、0.2<z<1.0である。)
該式中において、M1及びM2としては、Li、Fe、Mn、Mg、Sr、Cu、Zn、Ni、Co、Caからなる群から選ばれる1種類以上の金属原子を用いることが好ましい。
磁性のLi系フェライト(例えば、(Li2O)a(Fe23b(0.0<a<0.4,0.6≦b<1.0、a+b=1)、(Li2O)a(SrO)b(Fe23c(0.0<a<0.4、0.0<b<0.2、0.4≦c<1.0、a+b+c=1));Mn系フェライト(例えば、(MnO)a(Fe23b(0.0<a<0.5、0.5≦b<1.0、a+b=1));Mn−Mg系フェライト(例えば、(MnO)a(MgO)b(Fe23c(0.0<a<0.5、0.0<b<0.5、0.5≦c<1.0、a+b+c=1));Mn−Mg−Sr系フェライト(例えば、(MnO)a(MgO)b(SrO)c(Fe23d(0.0<a<0.5、0.0<b<0.5、0.0<c<0.5、0.5≦d<1.0、a+b+c+d=1);Cu−Zn系フェライト(例えば、(CuO)a(ZnO)b(Fe23c(0.0<a<0.5、0.0<b<0.5、0.5≦c<1.0、a+b+c=1)。上記フェライトは微量の他の金属を含有していてもよい。
結晶の成長速度を容易にコントロールでき、多孔質磁性コアの細孔径分布を好適にコントロールできる観点から、Mn元素を含有する、Mn系フェライト、Mn−Mg系フェライト、Mn−Mg−Sr系フェライトが好ましい。
以下に、多孔質磁性キャリア粒子としてフェライト粒子を用いる場合の製造工程を詳細に説明する。
工程1(秤量・混合工程):
上記フェライトの原料を、秤量し、混合する。
フェライト原料としては、多孔質磁性コア粒子の細孔系分布やブレークダウンする寸前の電界強度を所望の値にコントロールするために、以下のものが挙げられる。Li、Fe、Zn、Ni、Mn、Mg、Co、Cu、Sr、Caから選択される金属の粒子、金属元素の酸化物、金属元素の水酸化物、金属元素のシュウ酸塩、金属元素の炭酸塩。
混合する装置としては、ボールミル、遊星ミル、ジオットミルが挙げられる。特に水に60質量%以上80質量%以下の固形分濃度としたスラリーを用いる湿式のボールミルが混合性と多孔質構造を形成するために好ましい。具体的には、ボールミル中に、秤量したフェライト原料、ボールを入れ、0.1時間以上20.0時間以下、粉砕・混合する。
工程2(仮焼成工程):
粉砕・混合したフェライト原料をスプレードライヤーを用いて、造粒・乾燥した後、大気中で焼成温度700℃以上1000℃以下にして、0.5時間以上5.0時間以下仮焼成し、原料をフェライトにする。温度1000℃を超えると焼結が進み、多孔質にするための粒径まで粉砕することができにくくなる場合がある。
焼成する装置としては、バーナー式焼却炉、ロータリー式焼却炉、電気炉が挙げられる。
工程3(粉砕工程):
工程2で作製した仮焼フェライトを粉砕機で粉砕する。
粉砕機としては、クラッシャーやハンマーミル、ボールミル、ビーズミル、遊星ミル、ジオットミルが挙げられる。
仮焼フェライト微粉砕品の体積基準の50%粒径(D50)は、0.5μm以上5.0μm以下にすることが好ましい。こうすることで、微分細孔容積が最大となる細孔径やP1(0.80μm以上1.50μm以下の範囲の微分細孔容積の最大値)を容易にコントロールすることができる。
また、体積基準の90%粒子径(D90)は3.0μm以上10.0μm以下とすることが好ましい。こうすることで、P2/P1をコントロールすることができる。
フェライト微粉砕品を上記の粒径にするために、例えば、ボールミルやビーズミルでは用いるボールやビーズの素材、粒径、運転時間を制御することが好ましい。具体的には、仮焼フェライトスラリーの粒径を小さくするためには、比重の重いボールを用いたり、粉砕時間を長くすればよい。また、仮焼フェライトの粒度分布を広くするためには、比重の重いボールやビーズを用い、粉砕時間を短くすることで得ることができる。また、ボールミルやビーズミルの粉砕条件が異なる複数の仮焼フェライトを混合することでも分布の広い仮焼フェライトを得ることができる。
ボールやビーズの素材としては、所望の粒径・分布が得られば、特に限定されない。例えば、以下のものがあげられる。ソーダガラス(比重2.5g/cm3)、ソーダレスガラス(比重2.6g/cm3)、高比重ガラス(比重2.7g/cm3)等のガラスや、石英(比重2.2g/cm3)、チタニア(比重3.9g/cm3)、窒化ケイ素(比重3.2g/cm3)、アルミナ(比重3.6g/cm3)、ジルコニア(比重6.0g/cm3)、スチール(比重7.9g/cm3)、ステンレス(比重8.0g/cm3)。中でも、アルミナ、ジルコニア、ステンレスは、耐磨耗性に優れているために好ましい。
ボールやビーズの粒径は、所望の粒径・分布が得られれば、特に限定されない。例えば、ボールとしては、直径(φ)5mm以上φ60mm以下のものが好適に用いられる。また、ビーズとしてはφ0.03mm以上φ5mm未満のものが好適に用いられる。
また、ボールミルやビーズミルは、粉砕効率が高く仮焼フェライトの粉砕品の粒度分布コントロールが容易になるため乾式より水を用いたスラリーの如き、湿式の方がより好ましい。
工程4(造粒工程):
仮焼フェライトの粉砕品に対し、水、バインダーと、必要に応じて、孔調整剤を加える。
工程3において、湿式で粉砕した場合は、フェライトスラリー中に含まれている水も考慮し、バインダーと必要に応じて孔調整剤を加えることが好ましい。多孔質の程度をコントロールするため、スラリーの固形分濃度を50質量%以上80質量%以下にして、造粒することが好ましい。
得られたフェライトスラリーを、噴霧乾燥機を用い、温度100℃以上200℃以下の加温雰囲気下で、乾燥・造粒する。
噴霧乾燥機としては、スプレードライヤーが多孔質磁性コア粒径を所望のところにできるため、好適に使用できる。多孔質磁性コア粒径は、スプレードライヤーに用いられるディスクの回転数、噴霧量を適宜選択してコントロールできる。
工程5(本焼成工程):
次に、造粒品を温度800℃以上1400℃以下で1時間以上24時間以下焼成する。1000℃以上1200℃以下がより好ましい。P1を0.05ml/g以上0.50ml/gとするために、上記範囲内で焼成温度や焼成時間を制御することが好ましい。
焼成温度を上げるたり、焼成時間を長くすることで、多孔質磁性コア粒子の焼成が進み、その結果、孔径は小さく、かつ、孔の数も減る。また、焼成する雰囲気をコントロールすることで、多孔質磁性コア粒子のブレークダウンする寸前の電界強度を好ましい範囲にコントロールすることができる。好ましくは、酸素濃度が0.1体積%以下、より好ましくは、0.01体積%以下とすることで、多孔質磁性コア粒子の比抵抗を所望の範囲にすることができる。さらには、還元雰囲気(水素存在下)での焼成を行うことでより多孔質磁性コア粒子のブレークダウン電界強度を下げることができる。
工程6(選別工程):
以上の様に焼成した粒子を解砕した後に、必要に応じて、分級や篩で篩分して粗大粒子や微粒子を除去してもよい。
多孔質磁性コア粒子の体積分布基準50%粒径(D50)は、18.0μm以上68.0μm以下であることが、画像へのキャリア付着とガサツキの抑制のためより望ましい。
このようにして得られた多孔質コア粒子は、孔の数や大きさによっては物理的強度が低くなり、壊れやすい場合もある。このため、多孔質磁性コア粒子に樹脂を充填する、樹脂を充填した後にさらに樹脂でコートするなどして、磁性キャリアとしての物理的強度を高めることができる。
上記多孔質磁性コア粒子に樹脂を含有させる方法は、多孔質磁性コア粒子の奥の孔まで樹脂を充填する方法と、多孔質磁性コア粒子の表面の孔のみに樹脂を充填する方法の2つがある。具体的な充填方法は、特に限定されないが、樹脂と溶剤を混合した樹脂溶液を多孔質磁性コア粒子の孔へ充填させる方法が好ましい。
上記樹脂溶液における樹脂固形分の量は、好ましくは1質量%以上50質量%以下であり、より好ましくは1質量%以上30質量%以下である。50質量%より樹脂量の多い樹脂溶液を用いると粘度が高いため多孔質磁性コア粒子の孔に樹脂溶液を均一に充填しにくい。また、1質量%未満であると樹脂量が少なく、多孔質磁性コア粒子への樹脂の付着力が低くなる場合がある。
多孔質コア粒子の孔に充填させる樹脂は、2.0μmより小さい孔に均一に充填されるものが好ましく、特に限定されない。用いる溶剤はトルエンが好ましく、樹脂の20質量%トルエン溶液における粘度が1.0×10-62/s以上1.0×10-32/s以下である樹脂溶液が充填されやすくより好ましい。
上記多孔質磁性コア粒子の孔に充填する樹脂としては特に限定されず、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂のどちらを用いてもかまわないが、多孔質磁性コア粒子に対する親和性が高いものであることが好ましい。親和性が高い樹脂を用いた場合には、多孔質磁性コア粒子の孔への樹脂の充填時に、同時に多孔質磁性コア粒子表面も樹脂で覆うことが容易になる。
具体的には、シリコーン樹脂または変性シリコーン樹脂が、多孔質磁性フェライトコア粒子に対する親和性が高いため好ましい。
市販品として、以下のものが挙げられる。ストレートシリコーン樹脂では、信越化学社製のKR271、KR255、KR152、東レ・ダウコーニング社製のSR2400、SR2405、SR2410、SR2411。変性シリコーン樹脂では、信越化学社製のKR206(アルキッド変性)、KR5208(アクリル変性)、ES1001N(エポキシ変性)、KR305(ウレタン変性)、東レ・ダウコーニング社製のSR2115(エポキシ変性)、SR2110(アルキッド変性)。
多孔質磁性コア粒子内の孔に樹脂を充填させる方法としては、樹脂を溶剤に希釈し、これを多孔質磁性コア粒子内の孔に添加する方法が採用できる。ここで用いられる溶剤は、樹脂を溶解できるものであればよい。有機溶剤に可溶な樹脂である場合は、有機溶剤として、トルエン、キシレン、セルソルブブチルアセテート、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メタノールが挙げられる。また、水溶性の樹脂またはエマルジョンタイプの樹脂である場合には、溶剤として水を用いればよい。多孔質磁性コア粒子の孔に、樹脂を充填する方法としては、浸漬法、スプレー法、ハケ塗り法、及び流動床の如き塗布方法により多孔質磁性コア粒子を樹脂溶液に含浸させ、その後、溶剤を揮発させる方法が挙げられる。
本発明の磁性キャリアは、多孔質磁性コア粒子の表面露出度合いをよりコントロールし、画像形成装置本体を温度30℃/湿度80%RH環境で1週間放置後にプリントした場合のカブリがさらに改善するため、多孔質磁性コア粒子の孔に樹脂を充填した後、表面を樹脂でさらに被覆することが、磁性キャリアの耐久性向上の目的のため、好ましい。
上記コート樹脂としては、シリコーン樹脂または変性シリコーン樹脂が多孔質磁性コア粒子の孔に樹脂が充填されている粒子に対する親和性が高く、好ましく用いられる。市販品として、以下のものが挙げられる。ストレートシリコーン樹脂では、信越化学社製のKR271、KR255、KR152、東レ・ダウコーニング社製のSR2400、SR2405、SR2410、SR2411。変性シリコーン樹脂では、信越化学社製のKR206(アルキッド変性)、KR5208(アクリル変性)、ES1001N(エポキシ変性)、KR305(ウレタン変性)、東レ・ダウコーニング社製のSR2115(エポキシ変性)、SR2110(アルキッド変性)。
上述した樹脂は、単独でも使用できるが、夫々を混合して使用してもよい。又、熱可塑性樹脂に硬化剤等を混合し硬化させて使用することもできる。特より離型性の高い樹脂を用いることが好適である。
さらに、上記コート材は、キャリアの帯電付与性をコントロールするために導電性を有する粒子や荷電制御物質を含有していてもよい。
導電性を有する粒子としては、カーボンブラック、マグネタイト、グラファイト、酸化亜鉛、酸化錫が挙げられる。
上記荷電制御物質としては、荷電制御性を有する粒子や荷電制御性を有する材料を用いることができる。
荷電制御性を有する粒子としては、以下のものがある。
例えば、有機金属錯体の粒子、有機金属塩の粒子、キレート化合物の粒子、モノアゾ金属錯体の粒子、アセチルアセトン金属錯体の粒子、ヒドロキシカルボン酸金属錯体の粒子、ポリカルボン酸金属錯体の粒子、ポリオール金属錯体の粒子、ポリメチルメタクリレート樹脂の粒子、ポリスチレン樹脂の粒子、メラミン樹脂の粒子、フェノール樹脂の粒子、ナイロン樹脂の粒子、シリカの粒子、酸化チタンの粒子、アルミナの粒子。
充填後の多孔質磁性コア粒子の表面を樹脂で被覆する方法としては、浸漬法、スプレー法、ハケ塗り法、及び流動床の如き塗布方法により被覆する方法が挙げられる。
次に、本発明において用いられるトナーに関して説明する。
本発明に係るトナーはどのようなものでもかまわないが、画像処理解像度512×512画素(1画素あたり0.37μm×0.37μm)のフロー式粒子像測定装置によって計測された円形度を、0.200以上1.000以下の円形度範囲に800分割し解析され、円相当径1.985μm以上39.69μm未満の前記トナーの平均円形度が0.940以上1.000以下であると、磁性キャリアとトナーの付着力を適度にコントロールでき、その結果ガサツキをより低減でき、好ましい。
トナーの円形度は、後述するトナーの製造方法やトナー粒子の表面改質処理によりコントロールすることができる。
トナーの結着樹脂としては、トナーの保存性と低温定着性を両立するために、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される分子量分布のピーク分子量(Mp)が2000以上50000以下、数平均分子量(Mn)が1500以上30000以下、重量平均分子量(Mw)が2000以上1000000以下、ガラス転移点(Tg)が40℃以上80℃以下であることが好ましい。
ワックスは、結着樹脂100質量部あたり0.5質量部以上20質量部以下使用されることが好ましい。また、ワックスの最大吸熱ピークのピーク温度としては45℃以上140℃以下であることが、トナーの保存性と耐ホットオフセット性を両立でき好ましい。
ワックスとしては、以下のものが挙げられる。低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、アルキレン共重合体、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスの如き炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックスの如き炭化水素系ワックスの酸化物又はそれらのブロック共重合物;カルナバワックス、ベヘン酸ベヘニルエステルワックス、モンタン酸エステルワックスの如き脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;脱酸カルナバワックスの如き脂肪酸エステル類を一部又は全部を脱酸化したもの。
着色剤の使用量は、結着樹脂100質量部に対して好ましくは0.1質量部以上30質量部以下であり、より好ましくは0.5質量部以上20質量部以下である。
トナーには、必要に応じて荷電制御剤を含有させることもできる。トナーに含有される荷電制御剤としては、公知のものが利用できるが、特に、無色でトナーの帯電スピードが速く且つ一定の帯電量を安定して保持できる芳香族カルボン酸の金属化合物が好ましい。
ネガ系荷電制御剤としては、サリチル酸金属化合物、ナフトエ酸金属化合物、ダイカルボン酸金属化合物、スルホン酸又はカルボン酸を側鎖に持つ高分子型化合物、スルホン酸塩或いはスルホン酸エステル化物を側鎖に持つ高分子型化合物、カルボン酸塩或いはカルボン酸エステル化物を側鎖に持つ高分子型化合物、ホウ素化合物、尿素化合物、ケイ素化合物、カリックスアレーンが挙げられる。ポジ系荷電制御剤としては、四級アンモニウム塩、前記四級アンモニウム塩を側鎖に有する高分子型化合物、グアニジン化合物、イミダゾール化合物が挙げられる。荷電制御剤はトナー粒子に対して内添しても良いし外添しても良い。荷電制御剤の添加量は結着樹脂100質量部に対し0.2質量部以上10質量部以下が好ましい。
トナーには、流動性向上のため、外添剤が添加されていることが好ましい。外添剤としては、シリカ、酸化チタン、酸化アルミニウムの如き無機微粉体が好ましい。無機微粉体は、シラン化合物、シリコーンオイル又はそれらの混合物の如き疎水化剤で疎水化されていることが好ましい。
外添剤は、トナー粒子100質量部に対して0.1質量部以上5.0質量部以下使用されることが好ましい。
トナー粒子と外添剤との混合は、ヘンシェルミキサーの如き公知の混合機を用いることができる。
トナー粒子を製造する方法としては、例えば、結着樹脂及び着色剤を溶融混練し、混練物を冷却後、粉砕及び分級する粉砕法;結着樹脂と着色剤とを溶剤中に溶解または分散させた溶液を水系媒体中に導入し懸濁造粒させ、該溶剤を除去することによってトナー粒子を得る懸濁造粒法;モノマーに着色剤等を均一に溶解または分散したモノマー組成物を分散安定剤を含有する連続層(例えば水相)中に分散し、重合反応を行わせトナー粒子を作成する懸濁重合法;モノマーでは可溶であるが、重合体を形成すると不溶となるモノマーと水系有機溶媒を用いて直接トナー粒子を生成するモノマーには可溶で得られる重合体が不溶な水系有機溶剤を用い直接トナー粒子を生成する分散重合法;水溶性極性重合開始剤存在下で直接重合しトナー粒子を生成する乳化重合法;少なくとも重合体微粒子及び着色剤微粒子を凝集して微粒子凝集体を形成する工程と該微粒子凝集体中の微粒子間の融着を起こさせる熟成工程を経て得られる乳化凝集法;などがある。
粉砕法でのトナー製造手順について説明する。
原料混合工程では、トナー粒子を構成する材料として、例えば、結着樹脂、着色剤及びワックス、必要に応じて荷電制御剤等の他の成分を所定量秤量して配合し、混合する。混合装置の一例としては、ダブルコン・ミキサー、V型ミキサー、ドラム型ミキサー、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー、ナウタミキサ、メカノハイブリッド(三井鉱山社製)。
次に、混合した材料を溶融混練して、結着樹脂中に着色剤等を分散させる。その溶融混練工程では、加圧ニーダー、バンバリィミキサーの如きバッチ式練り機や、連続式の練り機を用いることができ、連続生産できる優位性から、1軸又は2軸押出機が主流となっている。例えば、KTK型2軸押出機(神戸製鋼所社製)、TEM型2軸押出機(東芝機械社製)、PCM混練機(池貝鉄工製)、2軸押出機(ケイ・シー・ケイ社製)、コ・ニーダー(ブス社製)、ニーデックス(三井鉱山社製)。
更に、溶融混練することによって得られる着色された樹脂組成物は、2本ロール等で圧延され、冷却工程で水などによって冷却してもよい。
ついで、樹脂組成物の冷却物は、粉砕工程で所望の粒径にまで粉砕される。粉砕工程では、例えば、クラッシャー、ハンマーミル、フェザーミルの如き粉砕機で粗粉砕した後、更に、例えば、クリプトロンシステム(川崎重工業社製)、スーパーローター(日清エンジニアリング社製)、ターボ・ミル(ターボ工業製)やエアージェット方式による微粉砕機で微粉砕する。
その後、必要に応じて慣性分級方式のエルボージェット(日鉄鉱業社製)、遠心力分級方式のターボプレックス(ホソカワミクロン社製)、TSPセパレータ(ホソカワミクロン社製)、ファカルティ(ホソカワミクロン社製)の如き分級機や篩分機を用いて分級し、トナー粒子を得る。
また、必要に応じて、粉砕後に、ハイブリタイゼーションシステム(奈良機械製作所製)、メカノフージョンシステム(ホソカワミクロン社製)、ファカルティ(ホソカワミクロン社製)、メテオレインボー MR Type(日本ニューマチック社製)を用いて、球形化処理の如きトナー粒子の表面改質処理を行うこともできる。
トナー粒子の表面改質には、例えば図1に示すような表面改質装置を用いることもできる。オートフィーダー2を用い、トナー粒子1は供給ノズル3を通り、表面改質装置内部4に供給される。ブロワ−9により、表面改質装置内部4の空気は吸引されているので、供給ノズル3から導入されたトナー粒子1は機内に分散する。機内に分散にされたトナー粒子1は、熱風導入口5から導入される熱風で、瞬間的に熱が加えられて表面改質される。本発明ではヒーターにより熱風を発生させているが、トナー粒子の表面改質に十分な熱風を発生させられるものであれば装置は特に限定されない。表面改質されたトナー粒子7は、冷風導入口6から導入される冷風で瞬時に冷却される。本発明では冷風には液体窒素を用いているが、表面改質されたトナー粒子7を瞬時に冷却することができれば、手段は特に限定されない。表面改質されたトナー粒子7はブロワー9で吸引されて、サイクロン8で捕集される。
本発明の磁性キャリアは、トナーと磁性キャリアとを含む二成分系現像剤として用いることができる。
該二成分系現像剤を、現像器内に収容された現像剤担持体上に担持させて現像に用いる現像剤として用いることができる。
現像剤として用いる場合は、混合比率を磁性キャリア100質量部に対してトナーを2質量部以上35質量部以下とすることが好ましく、4質量部以上25質量部以下がより好ましい。上記範囲とすることで、高画像濃度を達成しトナーの飛散を低減することができる。
本発明の磁性キャリアとトナーを含む二成分系現像剤は、現像器に補給し、且つ、少なくとも現像器内部で過剰になった磁性キャリアを現像器から排出する二成分現像方法に用いる補給用現像剤として用いることもできる。
補給用現像剤としてもちいる場合には、現像剤の耐久性を高めるという観点から、混合比率を磁性キャリア1質量部に対してトナーを2質量部以上50質量部以下が好ましい。
上記磁性キャリア及びトナーの各種物性の測定法について以下に説明する。
<多孔質磁性コア粒子の細孔径分布>
多孔質磁性コア粒子の細孔径分布は、水銀圧入法により測定される。
測定原理は、以下の通りである。
本測定では、水銀に加える圧力を変化させ、その際の細孔中に進入した水銀の量を測定する。細孔内に水銀が侵入し得る条件は、圧力P、細孔直径D、水銀の接触角と表面張力をそれぞれθとσとすると、力の釣り合いからPD=−4σCOSθで表せる。接触角と表面張力を定数とすれば、圧力Pとそのとき水銀が侵入し得る細孔直径Dは反比例することになる。このため、圧力Pとそのときに侵入する液量Vを、圧力を変えて測定し得られる、P−V曲線の横軸Pを、そのままこの式から細孔直径に置き換え、細孔分布を求めている。
測定装置としては、ユアサアイオニクス株式会社製 全自動多機能水銀ポロシメータ PoreMasterシリーズ・PoreMaster−GTシリーズや、株式会社 島津製作所製 自動ポロシメータオートポアIV 9500 シリーズ等を用いて測定することができる。
具体的には、株式会社 島津製作所のオートポアIV9520を用いて、下記条件・手順で測定を行った。
測定条件
測定環境 約20℃
測定セル 試料体積 5cm3、圧入体積 1.1cm3、用途 粉体用
測定範囲 2.0psia(13.8kPa)以上59989.6psia(4 13.7Mpa)
測定ステップ 80ステップ
(細孔径を対数で取ったときに等間隔になるようにステップを刻んだ)
圧入体積 25%以上70%以下になるように調節
低圧パラメーター 排気圧力 50μmHg
排気時間 5.0min
水銀注入圧力 2.00psia(13.8kPa)
平衡時間 5secs
高圧パラメーター 平衡時間 5secs
水銀パラメーター 前進接触角 130.0degrees
後退接触角 130.0degrees
表面張力 485.0mN/m(485.0dynes/cm)
水銀密度 13.5335g/mL
測定手順
(1)多孔質磁性コア粒子を、約1.0g秤量し試料セルに入れる。
秤量値をソフトに入力する
(2)低圧部で2.0psia(13.8kPa)以上45.8psia(315.6kPa)以下の範囲を測定。
(3)高圧部で45.9psia(316.3kPa)以上59989.6psia(413.6Mpa)以下の範囲を測定。
(4)水銀注入圧力及び水銀注入量から、細孔径分布を算出する。
上記(2)、(3)、(4)は、装置付属のソフトウエアにて、自動で行った。
上記の様にして算出した細孔径分布の一例を示す図2及びその拡大図である図3において、X軸は水銀圧入法より求めた細孔径、Y軸が微分細孔容積である。
細孔径10μm以上20μm以下の範囲にあるピークが、空隙(多孔質磁性コア粒子間の空隙)である。
細孔径0.10μm以上3.00μm以下の範囲にある微分細孔容積が最大となる細孔径(A)とする。また、このピークの微分細孔容積の最大値をP1(B)とした。さらに、2.00μm以上3.00μm以下の範囲の微分細孔容積の最大値をP2とした。
<多孔質磁性コア粒子のブレークダウンする電界強度>
多孔質磁性コア粒子のブレークダウンする電界強度は、図4に概略される測定装置を用いて測定される。測定には、樹脂を含有する前の多孔質磁性コア粒子を用いて測定する。
抵抗測定セルAは、断面積2.4cm2の穴の開いた円筒状のPTFE樹脂容器51、下部電極(ステンレス製)52、支持台座(PTFE樹脂製)53、上部電極(ステンレス製)54から構成される。支持台座53上に円筒状のPTFE樹脂容器51を載せ、試料(多孔質磁性コア粒子)55を0.5g乃至1.3g程度の範囲で充填し、充填された試料55に上部電極54を載せ、試料の厚みを測定する。予め試料のないときの厚みをd1(ブランク)、0.5g乃至1.3g程度の試料を充填したときの厚みd2(試料)とすると、実際の試料の厚みdは下記式で表せる。
d=d2(試料)−d1(ブランク)
この時、試料の厚みが0.95mm以上1.04mmとなるように試料の量を適宜変えることが重要である。
電極間に電圧を印加し、そのときに流れる電流を測定することによって多孔質磁性コア粒子のブレークダウンする電界強度を求めることができる。測定には、エレクトロメーター56(ケスレー6517A ケスレー社製)及び制御用にコンピュータ57を用いる。
制御用コンピュータにナショナルインスツルメンツ社製の制御系と制御ソフトウエア(LabVEIW ナショナルインスツルメンツ社製)を用いたソフトウエアにより行う。測定条件として、試料と電極との接触面積S=2.4cm2、試料の厚み0.95mm以上1.04mm以下になるように実測した値dを入力する。また、上部電極の荷重120g、最大印加電圧1000Vとする。
電圧の印加条件は、制御用コンピュータとエレクトロメーター間の制御にIEEE−488インターフェースを用いて、エレクトロメーターの自動レンジ機能を利用し、1V(20V)、2V(21V)、4V(22V)、8V(23V)、16V(24V)、32V(25V)、64V(26V)、128V(27V)、256V(28V)、512V(29V)、1000Vの直流電圧を1秒間ずつ磁性キヤリアに印加印加するスクリーニングを行う。その際に最大1000V(電界強度としては、約10000V/cm)まで印加可能かどうかをエレクトロメーターが判断し、過電流が流れる場合、「VOLTAGE SOURCE OPARATE」が点滅する。すると印加電圧を下げて、印加可能な電圧をさらにスクリーニングし、印加電圧の最大値を自動的に決める。その後、本測定を行う。その最大電圧値を5分割した電圧を各ステップとして30秒間保持させた後の電流値から抵抗値を測定する。例えば、最大印加電圧が1000Vの場合には、200V、400V、600V、800V、1000V、1000V、800V、600V、400V、200Vと200V刻みで電圧を上げた後下げていくような順で印加し、それぞれのステップで30秒保持後の電流値から抵抗値を測定する。また、例えば、実施例1に用いられる多孔質磁性コア1の場合には、最大印加電圧が56.2Vであり、56.2Vの1/5の値の11.2V(ステップ1)、56.2Vの2/5の値の22.5V(ステップ2)、56.2Vの4/5の値の33.7V(ステップ3)、56.2Vの4/5の値の44.9V(ステップ4)、56.2Vの5/5の値の56.2V(ステップ5)、56.2Vの5/5の値の56.2V(ステップ6)、56.2Vの4/5の値の44.9V(ステップ7)、56.2Vの3/5の値の33.7V(ステップ8)、56.2Vの2/5の値の22.5V(ステップ9)、56.2Vの1/5の値の11.2V(ステップ10)の順で直流電圧を印加する。そこで得られる電流値をコンピュータにより処理することで、試料厚み、電極面積から電界強度を算出して、グラフにプロットする。その場合、最大印加電圧から電圧を下げていく5点をプロットする。なお、各ステップでの測定において、「VOLTAGE SOURCE OPARATE」が点滅し、過電流が流れた場合には、測定上、抵抗値が0と表示される。この「VOLTAGE SOURCE OPARATE」が点滅する現象をブレークダウンするといい、ブレークダウンする電界強度の値として、上述のプロファイルの最大電界強度のプロットされる点をもって、ブレークダウンする電界強度と定義する。従って、最大印加電圧がかかった場合に「VOLTAGE SOURCE OPARATE」が点滅した場合、抵抗値が0とならず、プロットができる場合には、その点をもって、ブレークダウンする電界強度とする。尚、電界強度は、下記式にて求められる。
電界強度(V/cm)=印加電圧(V)/d(cm)
<磁性キャリア粒子及び多孔質磁性コア粒子の体積分布基準50%粒径(D50)、仮焼フェライト微粉砕品の体積分布基準の50%粒径(D50)、体積分布基準の90%粒径(D90)の測定方法>
粒度分布測定は、レーザー回折・散乱方式の粒度分布測定装置「マイクロトラックMT3300EX」(日機装社製)にて測定を行った。
仮焼フェライト微粉砕品の体積分布基準の50%粒径(D50)、体積分布基準の90%粒径(D90)の測定では、湿式用の試料循環器「Sample Delivery Control(SDC)」(日機装社製)を装着して行った。仮焼フェライト(フェライトスラリー)を測定濃度になるように試料循環器に滴下した。流速 70%、超音波出力 40W、超音波時間 60秒とした。
測定条件は下記の通りである。
SetZero時間 :10秒
測定時間 :30秒
測定回数 :10回
溶媒屈性率 :1.33
粒子屈折率 :2.42
粒子形状 :非球形
測定上限 :1408μm
測定下限 :0.243μm
測定環境 :約23℃/50%RH
磁性キャリア粒子及び多孔質磁性コア粒子の体積分布基準50%粒径(D50)の測定には、乾式測定用の試料供給機「ワンショットドライ型サンプルコンディショナーTurbotrac」(日機装社製)を装着して行った。Turbotracの供給条件として、真空源として集塵機を用い、風量約33リットル/sec、圧力約17kPaとした。制御は、ソフトウエア上で自動的に行う。粒径は体積基準の累積値である50%粒径(D50)、90%粒径(D90)を求める。制御及び解析は付属ソフト(バージョン10.3.3−202D)を用いて行う。
測定条件は下記の通りである。
SetZero時間 :10秒
測定時間 :10秒
測定回数 :1回
粒子屈折率 :1.81
粒子形状 :非球形
測定上限 :1408μm
測定下限 :0.243μm
測定環境 :約23℃/50%RH
<粘度の測定方法>
粘度は、HAAKE社製VP−500を用いて、60秒後の粘度を測定した。
測定装置・条件は下記の通り。
粘度計 :回転式粘度計 ビスコテスターVT550(HAKKE社製)
センサーシステム :NVカップ/NVローター
回転数 :8.3s-1(500rpm)
循環恒温槽 :オープンバスサーキュレーターDC5−K20(HAKKE社製)
設定温度 :25℃
<トナーの平均円形度>
トナーの平均円形度は、フロー式粒子像分析装置「FPIA−3000」(シスメックス社製)によって、校正作業時の測定及び解析条件で測定する。
フロー式粒子像分析装置「FPIA−3000」(シスメックス社製)の測定原理は、流れている粒子を静止画像として撮像し、画像解析を行うというものである。試料チャンバーへ加えられた試料は、試料吸引シリンジによって、フラットシースフローセルに送り込まれる。フラットシースフローに送り込まれた試料は、シース液に挟まれて扁平な流れを形成する。フラットシースフローセル内を通過する試料に対しては、1/60秒間隔でストロボ光が照射されており、流れている粒子を静止画像として撮影することが可能である。また、扁平な流れであるため、焦点の合った状態で撮像される。粒子像はCCDカメラで撮像され、撮像された画像は512×512の画像処理解像度(一画素あたり0.37×0.37μm)で画像処理され、各粒子像の輪郭抽出を行い、粒子像の投影面積Sや周囲長L等が計測される。
次に、上記面積Sと周囲長Lを用いて円相当径と円形度を求める。円相当径とは、粒子像の投影面積と同じ面積を持つ円の直径のことであり、円形度Cは、円相当径から求めた円の周囲長を粒子投影像の周囲長で割った値として定義され、次式で算出される。
円形度C=2×(π×S)1/2/L
粒子像が円形の時に円形度は1になり、粒子像外周の凹凸の程度が大きくなればなるほど円形度は小さい値になる。各粒子の円形度を算出後、円形度0.200乃至1.000の範囲を800分割し、得られた円形度の相加平均値を算出し、その値を平均円形度とする。
具体的な測定方法は、以下の通りである。まず、ガラス製の容器中に予め不純固形物などを除去したイオン交換水約20mlを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で約3質量倍に希釈した希釈液を約0.2ml加える。更に測定試料を約0.02g加え、超音波分散器を用いて2分間分散処理を行い、測定用の分散液とする。その際、分散液の温度が10℃以上40℃以下となる様に適宜冷却する。超音波分散器としては、発振周波数50kHz、電気的出力150Wの卓上型の超音波洗浄器分散器(例えば「VS−150」(ヴェルヴォクリーア社製))を用い、水槽内には所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に前記コンタミノンNを約2ml添加する。
測定には、標準対物レンズ(10倍)を搭載した前記フロー式粒子像分析装置を用い、シース液にはパーティクルシース「PSE−900A」(シスメックス社製)を使用した。前記手順に従い調整した分散液を前記フロー式粒子像分析装置に導入し、HPF測定モードで、トータルカウントモードにて3000個のトナー粒子を計測する。そして、粒子解析時の2値化閾値を85%とし、解析粒子径を円相当径1.985μm以上、39.69μm未満に限定し、トナー粒子の平均円形度を求める。
測定にあたっては、測定開始前に標準ラテックス粒子(例えば、Duke Scientific社製の「RESEARCH AND TEST PARTICLES Latex Microsphere Suspensions 5200A」をイオン交換水で希釈)を用いて自動焦点調整を行う。その後、測定開始から2時間毎に焦点調整を実施することが好ましい。
なお、本願実施例では、シスメックス社による校正作業が行われた、シスメックス社が発行する校正証明書の発行を受けたフロー式粒子像分析装置を使用した。解析粒子径を円相当径1.985μm以上、39.69μm未満に限定した以外は、校正証明を受けた時の測定及び解析条件で測定を行った。
<トナーの重量平均粒径(D4)の測定>
トナーの重量平均粒径(D4)は、以下のようにして算出する。測定装置としては、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)を用いる。測定条件の設定及び測定データの解析は、付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いる。尚、測定は実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで行う。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
尚、測定、解析を行う前に、以下のように専用ソフトの設定を行った。
専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更」画面において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。「閾値/ノイズレベルの測定ボタン」を押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、「測定後のアパーチャーチューブのフラッシュ」にチェックを入れる。
専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定」画面において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μmから60μmまでに設定する。
具体的な測定法は以下の通りである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250ml丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mlを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行う。そして、専用ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100ml平底ビーカーに前記電解水溶液約30mlを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で約3質量倍に希釈した希釈液を約0.3ml加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispension System Tetora150」(日科機バイオス社製)を準備する。超音波分散器の水槽内に約3.3lのイオン交換水を入れ、この水槽中にコンタミノンNを約2ml添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。尚、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナーを分散した前記(5)の電解質水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行う。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行い、重量平均粒径(D4)を算出する。尚、専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、「分析/体積統計値(算術平均)」画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)である。
<樹脂またはトナーのピーク分子量(Mp)、数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)の測定方法>
ピーク分子量(Mp)、数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、以下のようにして測定する。
まず、室温で24時間かけて、試料をテトラヒドロフラン(THF)に溶解する。試料としては、樹脂、または、トナーを用いる。そして、得られた溶液を、ポア径が0.2μmの耐溶剤性メンブランフィルター「マエショリディスク」(東ソー社製)で濾過してサンプル溶液を得る。尚、サンプル溶液は、THFに可溶な成分の濃度が約0.8質量%となるように調整する。このサンプル溶液を用いて、以下の条件で測定する。
装置 :HLC8120 GPC(検出器:RI)(東ソー社製)
カラム :Shodex KF−801、802、803、804、805、80 6、807の7連(昭和電工社製)
溶離液 :テトラヒドロフラン(THF)
流速 :1.0ml/min
オーブン温度 :40.0℃
試料注入量 :0.10ml
試料の分子量の算出にあたっては、標準ポリスチレン樹脂(例えば、商品名「TSKスタンダード ポリスチレン F−850、F−450、F−288、F−128、F−80、F−40、F−20、F−10、F−4、F−2、F−1、A−5000、A−2500、A−1000、A−500」、東ソ−社製)を用いて作成した分子量校正曲線を使用する。
以下、本発明の具体的実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<多孔質磁性コア粒子の製造例1>
工程1(秤量・混合工程):
Fe23 59.7質量%
MnCO3 34.4質量%
Mg(OH)2 4.8質量%
SrCO3 1.1質量%
上記フェライト原材料を秤量した。その後、ジルコニア〔直径(φ)10mm〕のボールを用いた乾式ボールミルで2時間粉砕・混合した。
工程2(仮焼成工程):
粉砕・混合した後、バーナー式焼成炉を用い大気中で温度950℃で2時間焼成し、仮焼フェライトを作製した。
フェライトの組成を、下記に示す。
(MnO)a(MgO)b(SrO)c(Fe23d
上記式において、a=0.39、b=0.11、c=0.01、d=0.49であった。
工程3(粉砕工程):
クラッシャーで0.5mm程度に粉砕した後に、ジルコニア(φ10mm)のボールを用い、仮焼フェライト100質量部に対し、水を30質量部加え、湿式ボールミルで2時間粉砕し、フェライトスラリー1−1を得た。フェライトスラリー1−1を半分に分けた。そのフェライトスラリー1−1の半分をさらにジルコニアのビーズ(φ1.0mm)を用いた湿式ビーズミルで3時間粉砕し、フェライトスラリー1−2を得た。
フェライトスラリー1−1と1−2をジルコニアのビーズ(φ1.0mm)を用いた湿式ビーズミルで10分間混合し、フェライトスラリー1(仮焼フェライト微粉砕品1)を得た。
得られた仮焼フェライト微粉砕品は、体積基準の50%粒径(D50)は1.3μm、体積基準の90%粒径(D90)は2.3μmであった。
工程4(造粒工程):
フェライトスラリーに、バインダーとして仮焼フェライト100質量部に対してポリビニルアルコール2.0質量部を添加し、スプレードライヤー(製造元:大川原化工機)で、約36μmの球状粒子に造粒した。
工程5(本焼成工程):
焼成雰囲気をコントロールするために、電気炉にて窒素雰囲気下(酸素濃度0.01体積%以下)で、温度1050℃で4時間焼成した。
工程6(選別工程):
凝集した粒子を解砕した後に、目開き250μmの篩で篩分して粗大粒子を除去し、多孔質磁性コア粒子1を得た。
<多孔質磁性コア粒子の製造例2>
多孔質磁性コア粒子製造例1において、工程3の湿式ビーズミルの粉砕時間を3時間から2時間に変更した。得られた仮焼フェライト微粉砕品は、D50=1.4μm、D90=3.0μmであった。また、工程5の焼成温度を温度1050℃から1100℃に変更した。上記以外は、多孔質磁性コア粒子製造例1と同様にして、多孔質磁性コア粒子2を得た。
<多孔質磁性コア粒子の製造例3>
多孔質磁性コア粒子製造例1において、工程3の湿式ビーズミルの粉砕時間を3時間から1.5時間に変更した。得られた仮焼フェライト微粉砕品は、D50=1.7μm、D90=5.0μmであった。また、工程5の焼成温度を温度1050℃から1150℃に変更した。上記以外は、多孔質磁性コア粒子製造例1と同様にして、多孔質磁性コア粒子3を得た。
<多孔質磁性コア粒子の製造例4>
多孔質磁性コア粒子製造例1において、工程3のクラッシャーでの粉砕粒度を0.5mm程度から0.3mm程度に変更し、湿式ボールミルのボールをジルコニア(φ10mm)からステンレス(φ10mm)に、粉砕時間を2時間から1時間に変更した。湿式ビーズミルの粉砕時間を3時間から1時間に変更した。得られた仮焼フェライト微粉砕品は、D50=2.1μm、D90=6.3μmであった。また、工程5の焼成温度を温度1050℃から1100℃に変更した。上記以外は、多孔質磁性コア粒子製造例1と同様にして、多孔質磁性コア粒子4を得た。
<多孔質磁性コア粒子の製造例5>
多孔質磁性コア粒子製造例1において、工程3の湿式ボールミルのボールをジルコニア(φ10mm)からステンレス(φ10mm)に、湿式ビーズミルの粉砕時間を3時間から2時間に変更した。得られた仮焼フェライト微粉砕品は、D50=1.2μm、D90=4.4μmであった。また、工程5の焼成温度を温度1050℃から1200℃に、焼成雰囲気を窒素雰囲気下(酸素濃度0.01体積%以下)から窒素雰囲気下(酸素濃度0.1体積%)に変更した。上記以外は、多孔質磁性コア粒子製造例1と同様にして、多孔質磁性コア粒子5を得た。
<多孔質磁性コア粒子の製造例6>
多孔質磁性コア粒子製造例1において、工程3の湿式ビーズミルのビーズをジルコニア(φ1.0mm)からアルミナ(φ1.0mm)に変更した。得られた仮焼フェライト微粉砕品は、D50=2.4μm、D90=4.2μmであった。また、工程4で、フェライトスラリーに、バインダーとしてポリビニルアルコール2質量部と共に、孔調整剤として、炭酸ナトリウムを2質量部添加した。さらに、工程5の焼成時間を4時間から2時間に変更した。上記以外は、多孔質磁性コア粒子製造例1と同様にして、多孔質磁性コア粒子6を得た。
<多孔質磁性コア粒子の製造例7>
多孔質磁性コア粒子製造例1において、工程1でのフェライト原材料の比率を下記の如く変更した。
Fe23 62.8質量%
MnCO3 31.2質量%
Mg(OH)2 6.0質量%
フェライトの組成を、下記に示す。
(MnO)a(MgO)b(Fe23c
上記式において、a=0.45、b=0.15、c=0.40であった。
工程3のクラッシャーでの粉砕粒度を0.5mm程度から0.3mm程度に変更し、湿式ボールミルのボールをジルコニア(φ10mm)からステンレス(φ10mm)に、湿式ビーズミルのビーズをジルコニア(φ1.0mm)からステンレス(φ1.0mm)に、粉砕時間を3時間から2時間に変更した。得られた仮焼フェライト微粉砕品は、D50=0.8μm、D90=4.3μmであった。工程4のポリビニルアルコールの添加量を2質量部から1質量部に変更した。工程5の焼成温度を1050℃から1200℃に、焼成雰囲気を窒素雰囲気下(酸素濃度0.01体積%以下)から窒素雰囲気下(酸素濃度1.0体積%)に、焼成時間を4時間から8時間に変更した。上記以外は、多孔質磁性コア粒子製造例1と同様にして、多孔質磁性コア粒子7を得た。
<多孔質磁性コア粒子の製造例8>
多孔質磁性コア粒子製造例1において、工程1でのフェライト原材料の比率を下記の如く変更した。
Fe23 62.4質量%
MnCO3 30.5質量%
Mg(OH)2 6.4質量%
SrCO3 0.7質量%
フェライトの組成を、下記に示す。
(MnO)a(MgO)b(SrO)c(Fe23d
上記式において、a=0.34、b=0.14、c=0.01、d=0.51であった。工程3のクラッシャーでの粉砕粒度を0.5mm程度から1.0mm程度に変更し、湿式ボールミルのボールをジルコニア(φ10mm)からアルミナ(φ10mm)に、粉砕時間を2時間から1時間に変更した。湿式ビーズミルのビーズをジルコニア(φ1.0mm)からアルミナ(φ1.0mm)に変更した。得られた仮焼フェライト微粉砕品は、D50=4.8μm、D90=6.8μmであった。工程4のポリビニルアルコールの添加量を2質量部から5質量部に変更した。工程5の焼成温度を温度1050℃から1000℃に、焼成雰囲気を窒素雰囲気下(酸素濃度0.01体積%以下)から窒素雰囲気下(酸素濃度0.5体積%)に変更した。上記以外は、多孔質磁性コア粒子製造例1と同様にして、多孔質磁性コア粒子8を得た。
(フェライトスラリーの製造例9−1)
工程1:
Fe23 59.7質量%
MnCO3 34.4質量%
Mg(OH)2 4.8質量%
SrCO3 1.1質量%
上記フェライト原材料を秤量した。その後、フェライト原材料 100質量部に対し、水を30質量部加えてジルコニア(φ10mm)のボールを用いた湿式ボールミルで2時間湿式混合した。
工程2:
乾燥・粉砕した後、大気雰囲気下で温度900℃で2時間焼成し、仮焼フェライトを作製した。
フェライトの組成を、下記に示す。
(MnO)a(MgO)b(SrO)c(Fe23d
上記式において、a=0.39、b=0.11、c=0.01、d=0.49であった。
工程3:
クラッシャーで0.5mm程度に粉砕した後に、ジルコニアのボール(φ10mm)を用い、仮焼フェライト100質量部に対し水を30質量部加え、湿式ボールミルで2時間粉砕した。その後、ジルコニアのビーズ(φ1.0mm)を用い、湿式ビーズミルで3時間粉砕した。そのスラリーを、アルミナ(φ1.0mm)のビーズを用いた湿式ビーズミルで6時間粉砕し、フェライトスラリー(仮焼フェライト微粉砕品)9−1を得た。得られた仮焼フェライト微粉砕品は、D50=1.4μm、D90=1.8μmであった。
(フェライトスラリーの製造例9−2)
フェライトスラリーの製造例9−1において、工程3の湿式ボールミルのボールをジルコニア(φ10mm)からステンレス(φ10mm)に、粉砕時間を2時間から1時間に変更した。また、ジルコニア(φ1.0mm)のビーズを用いた湿式ビーズミルの粉砕時間を3時間から1時間に変更した。上記以外は、フェライトスラリー製造例9−1と同様にして、フェライトスラリー(仮焼フェライト微粉砕品)9−2を得た。得られた仮焼フェライト微粉砕品は、D50=2.8μm、D90=3.8μmであった。
<多孔質磁性コア粒子の製造例9>
工程4:
フェライトスラリー9−1を仮焼フェライトとして50質量部とフェライトスラリー9−2を仮焼フェライトとして50質量部、水を仮焼フェライト100質量部に対し50質量部加え、アルミナ(φ10mm)のボールを用い、湿式ボールミルで10分間混合した。バインダーとして仮焼フェライト100質量部に対しポリビニルアルコール2.0質量部を添加し、スプレードライヤー(製造元:大川原化工機)で約40μmの球状粒子に造粒した。
工程5:
焼成雰囲気をコントロールするために、電気炉にて窒素雰囲気下(酸素濃度0.01体積%以下)で、温度1100℃で4時間焼成した。
工程6:
凝集した粒子を解砕した後に、目開き250μmの篩で篩分して粗大粒子を除去し、多孔質磁性コア粒子9を得た。
<多孔質磁性コア粒子の製造例10>
多孔質磁性コア粒子製造例8において、工程3のクラッシャーでの粉砕粒度を1.0mm程度から0.3mm程度に変更し、湿式ボールミルのボールをアルミナ(φ10mm)からステンレス(φ10mm)に、粉砕時間を1時間から3時間に変更した。湿式ビーズミルのビーズをアルミナ(φ1.0mm)からステンレス(φ1.0mm)、粉砕時間を3時間から2時間に変更した。得られた仮焼フェライト微粉砕品は、D50=0.4μm、D90=2.3μmであった。工程4のポリビニルアルコールの添加量を5.0質量部から1.0質量部に変更した。工程5の焼成温度を温度1000℃から1250℃に変更した。上記以外は、多孔質磁性コア粒子製造例8と同様にして、多孔質磁性コア粒子10を得た。
<多孔質磁性コア粒子の製造例11>
多孔質磁性コア粒子製造例8において、工程3の湿式ビーズミルの粉砕時間を3時間から2時間に変更した。得られた仮焼フェライト微粉砕品は、D50=5.6μm、D90=7.8μmであった。工程4のポリビニルアルコールの添加量を5.0質量部から10.0質量部に変更した。工程5の焼成時間を4時間から2時間に、焼成雰囲気を窒素雰囲気下(酸素濃度0.5体積%)から窒素雰囲気下(酸素濃度1.0体積%)に変更した。上記以外は、多孔質磁性コア粒子製造例8と同様にして、多孔質磁性コア粒子11を得た。
<多孔質磁性コア粒子の製造例12>
多孔質磁性コア粒子製造例8において、工程3のクラッシャーでの粉砕粒度を1.0mm程度から0.3mm程度に変更し、湿式ボールミルのボールをアルミナ(φ10mm)からステンレス(φ10mm)に、湿式ビーズミルのビーズをアルミナ(φ1.0mm)からステンレス(φ1.0mm)、粉砕時間を3時間から4時間に変更した。
湿式ビーズミルでの粉砕時、フェライトスラリーを半分に分けずに、全量、湿式ビーズミルで粉砕した。
得られた仮焼フェライト微粉砕品は、D50=1.5μm、D90=1.9μmであった。工程4のポリビニルアルコールの添加量を5.0質量部から2.0質量部に変更した。工程5の焼成温度を温度1000℃から1100℃に、焼成雰囲気を窒素雰囲気下(酸素濃度0.5体積%)から窒素雰囲気下(酸素濃度1.0体積%)に変更した。上記以外は、多孔質磁性コア粒子製造例8と同様にして、多孔質磁性コア粒子12を得た。
<多孔質磁性コア粒子の製造例13>
多孔質磁性コア粒子製造例10において、工程4のポリビニルアルコールの添加量を5.0質量部から1.5質量部に変更した。工程5の焼成温度を温度1000℃から1220℃に変更した。上記以外は、多孔質磁性コア粒子製造例10と同様にして、多孔質磁性コア粒子13を得た。
<多孔質磁性コア粒子の製造例14>
多孔質磁性コア粒子製造例11において、工程4のポリビニルアルコールの添加量を5.0質量部から9.0質量部に変更した。工程5の焼成温度を温度1000℃から1220℃に変更した。上記以外は、多孔質磁性コア粒子製造例11と同様にして、多孔質磁性コア粒子14を得た。
<磁性コア粒子の製造例1>
工程1:
Fe23 71.0質量%
CuO 12.5質量%
ZuO 16.5質量%
上記フェライト原材料を秤量した。その後、ジルコニア(φ10mm)のボールを用いた乾式ボールミルで2時間粉砕・混合した。
工程2:
粉砕・混合した後、大気中で950℃で2時間焼成し、仮焼フェライトを作製した。
フェライトの組成を、下記に示す。
(CuO)a(ZnO)b(Fe23c
上記式において、a=0.20、b=0.25、c=0.55であった。
工程3:
クラッシャーで0.5mm程度に粉砕した後に、ステンレスのボール(φ10mm)を用い、仮焼フェライト100質量部に対し水を30質量部加え、湿式ボールミルで6時間粉砕した。得られた仮焼フェライト微粉砕品は、D50=0.5μm、D90=2.8μmであった。
工程4:
フェライトスラリーに、バインダーとして仮焼フェライト100質量部に対しポリビニルアルコール2.0質量部を添加し、スプレードライヤー(製造元:大川原化工機)で球状粒子に造粒した。
工程5:
大気中で温度1300℃で4時間焼成した。
工程6:
凝集した粒子を解砕した後に、目開き250μmの篩で篩分して粗大粒子を除去し、磁性コア粒子1を得た。
各種磁性コア粒子の物性を、表1に示す。
Figure 0005393330
〔磁性キャリアの製造例1〕
樹脂液の調製
樹脂液1
ストレートシリコーン(SR2411 東レ・ダウコーニング) 20.0質量部
(20質量%トルエン溶液における粘度 3.0×10-42/sec)
γ−アミノプロピルトリエトキシシラン 0.5質量部
トルエン 79.5質量部
上記材料をボールミル(ソーダガラスボール φ10mm)を用いて1時間混合し、樹脂液1を得た。
樹脂液2
ポリメチルメタクリレート重合体(Mw=66,000) 5.0質量部
(20質量%トルエン溶液における粘度 8.4×10-52/sec)
ボントロンP51(オリエント化学工業株式会社) 2.0質量部
トルエン 93.0質量部
上記材料をビーズミル(ジルコニアビーズ φ1.0mm)を用いて3時間分散混合し、樹脂液2を得た。
樹脂液3
ストレートシリコーン(SR2410 東レ・ダウコーニング) 20.0質量部
(20質量%トルエン溶液における粘度 1.2×10-42/sec)
γ−アミノプロピルトリエトキシシラン 0.3質量部
トルエン 79.7質量部
上記材料をボールミル(ソーダガラスボール φ10mm)を用いて1時間混合し、樹脂液3を得た。
樹脂液4
ストレートシリコーン(SR2410 東レ・ダウコーニング) 20.0質量部
(20質量%トルエン溶液における粘度 1.2×10-42/sec)
γ−アミノプロピルトリエトキシシラン 0.3質量部
グアナミン樹脂溶媒 (マイコート106 日本サイテック社製) 3.0質量部
トルエン 76.7質量部
上記材料をボールミル(ソーダガラスボール φ10mm)を用いて1時間混合し、樹脂液4を得た。
<磁性キャリア1の製造例>
工程例1(樹脂充填工程例1):
多孔質磁性コア粒子1の100.0質量部を万能攪拌混合機(ダルトン社製)に入れ、減圧下、温度80℃に加熱しながら撹拌した。続いて、樹脂液1.0を多孔質磁性コア粒子1に対し樹脂成分として15質量部になるように添加し2時間加熱を続け、溶剤を除去した。得られた試料をジュリアミキサー(徳寿工作所社製)に移し、窒素雰囲気下に温度200℃で2時間熱処理して、開口70μmのメッシュで分級して、充填コア1を得た。
工程例2(樹脂コート工程例1):
充填コア1の100.0質量部をナウタミキサ(ホソカワミクロン社製)に投入し、さらに、樹脂液3を樹脂成分として1.0質量部になるようにナウタミキサに投入した。減圧下で温度70℃に加熱し、1.7s-1(100rpm)で混合し、4時間かけて溶媒除去及び塗布操作を行った。その後、得られた試料をジュリアミキサー(徳寿工作所社製)に移し、窒素雰囲気下、温度200℃で2時間熱処理した後、開口70μmのメッシュで分級して磁性キャリア1を得た。
<磁性キャリア6の製造例>
工程例3(樹脂充填工程例2):
多孔質磁性コア粒子2の100.0質量部を万能攪拌混合機(ダルトン社製)に入れ、減圧下、温度80℃に加熱しながら撹拌した。続いて、樹脂液1を多孔質磁性コア粒子2に対し樹脂成分として18.0質量部になるように添加し2時間加熱を続け、溶剤を除去した。得られた試料をジュリアミキサー(徳寿工作所社製)に移し、窒素雰囲気下に温度110℃で2時間熱処理して、開口70μmのメッシュで分級して、磁性キャリア6を得た。
<磁性キャリア8の製造例>
工程例4(樹脂充填工程例3):
多孔質磁性コア5の100.0質量部をナウタミキサ(ホソカワミクロン社製)に投入し、さらに、樹脂液を樹脂成分として3.0質量部になるようにナウタミキサに投入した。減圧下で温度70℃に加熱し、1.7s-1(100rpm)で混合し、4時間かけて溶媒除去及び塗布操作を行った。その後、得られた試料をジュリアミキサー(徳寿工作所社製)に移し、窒素雰囲気下、温度200℃で2時間熱処理した後、開口70μmのメッシュで分級して磁性キャリア8を得た。
<磁性キャリア2乃至5、7、9乃至17の製造例>
コア粒子、充填樹脂の種類、量、工程、コート樹脂の種類、量、工程を表2のように変更する以外は、磁性キャリア1の製造例と同様にして、磁性キャリア2乃至5、7、9乃至17を得た。
Figure 0005393330
〔トナー製造例1〕
冷却管、攪拌機、及び、窒素導入管のついた反応槽中に、以下の材料を秤量した。
テレフタル酸 299質量部
無水トリメリット酸 19質量部
ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン
747質量部
チタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート) 1質量部
その後、温度200℃に加熱し、窒素を導入しながら生成する水を除去しながら10時間反応させ、その後、10mmHgに減圧し1時間反応させ、樹脂1を合成した。GPCで求めた樹脂1の分子量は、重量平均分子量(Mw)6000、数平均分子量(Mn)2400であり、ピーク分子量(Mp)2800であった。
冷却管、攪拌機、及び、窒素導入管のついた反応槽中に、以下の材料を秤量した。
テレフタル酸 332質量部
ポリオキシエチレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン
996質量部
チタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート) 1質量部
その後、220℃に加熱し、窒素を導入しながら生成する水を除去しながら10時間反応させた。
さらに、無水トリメリット酸96質量部を加え、温度180℃に加熱し、2時間反応させ樹脂2を合成した。GPCで求めた樹脂2の分子量は、重量平均分子量(Mw)84000、数平均分子量(Mn)6200、ピーク分子量(Mp)12000、ガラス転移点(Tg)62℃であった。
樹脂1 50.0質量部
樹脂2 50.0質量部
精製ノルマルパラフィン(DSC最大吸熱ピーク温度:70℃) 5.0質量部
C.I.ピグメントブルー15:3 5.0質量部
上記材料をヘンシェルミキサー(FM−75型、三井三池化工機(株)製)でよく混合した後、温度130℃に設定した二軸混練機(PCM−30型、池貝鉄工(株)製)にて混練した。得られた混練物を冷却し、ハンマーミルにて1mm以下に粗粉砕し、粗砕物を得た。得られた粗砕物を、高圧気体を用いた衝突式気流粉砕機を用いて微粉砕した。
次に、得られた微粉砕物を、得られた微粉砕物を図1に示す表面改質装置により表面改質を行った。表面改質時の条件は、原料供給速度は2.0kg/hr、熱風の吐出温度は220℃で表面改質を行った。次に、コアンダ効果を利用した風力分級機(エルボジェットラボEJ−L3、日鉄鉱業社製)で分級しで微粉及び粗粉を同時に分級除去、トナー粒子を得た。
得られたトナー粒子100.0質量部に、無機微粒子として、個数平均粒径が40nmでありi−ブチルトリメトキシシランで処理された疎水化度50%の酸化チタン微粉体1.0質量部、個数平均粒径が110nmでありヘキサメチルジシラザンで処理された疎水化度85%のアモルファスシリカ微粉体を0.5質量部の外添混合し、トナー1を得た。
〔トナー製造例2〕
トナー製造例1において、精製ノルマルパラフィン(DSC最大吸熱ピーク温度:70℃)5.0質量部の代わりにライスワックス(DSC最大吸熱ピーク温度:79℃)2.0質量部を用いた。得られた微粉砕物を、表面改質を行わずに、風力分級機(エルボジェットラボEJ−L3、日鉄鉱業社製)で分級しで微粉及び粗粉を同時に分級除去した。
上記以外は、トナー製造例1と同様にしてトナー2を得た。
〔トナー製造例3〕
スチレン 78.4質量部
アクリル酸−n−ブチル 20.8質量部
メタクリル酸 2.0質量部
上記材料を反応容器に添加し、該混合液を温度110℃まで昇温した。窒素雰囲気下にラジカル重合開始剤であるtert−ブチルハイドロパーオキサイド1質量部をキシレン10質量部に溶解したものを該混合液に約30分かけて滴下した。さらにその温度で該混合液を10時間保温してラジカル重合反応を終了させた。さらに該混合液を加熱しながら減圧し、脱溶剤することにより樹脂3を得た。GPCで求めた樹脂3の分子量は、重量平均分子量(Mw)35000、数平均分子量(Mn)8000であり、ピーク分子量(Mp)12000、ガラス転移点(Tg)58℃であった。
樹脂3 100.0質量部
精製ノルマルパラフィン(DSC最大吸熱ピーク温度:70℃) 5.0質量部
C.I.ピグメントブルー15:3 5.0質量部
上記材料をヘンシェルミキサー(FM−75型、三井三池化工機(株)製)でよく混合した後、温度130℃に設定した二軸混練機(PCM−30型、池貝鉄工(株)製)にて混練した。得られた混練物を冷却し、ハンマーミルにて1mm以下に粗粉砕し、粗砕物を得た。得られた粗砕物を、高圧気体を用いた衝突式気流粉砕機を用いて微粉砕した。
次に、得られた微粉砕物をファカルティ(ホソカワミクロン社製)を用い、微粒子を除去しながら表面改質処理を行い、トナー粒子を得た。
得られたトナー粒子100.0質量部に、無機微粒子として、個数平均粒径が40nmでありi−ブチルトリメトキシシランで処理された疎水化度50%の酸化チタン微粉体1.0質量部、個数平均粒径が110nmでありヘキサメチルジシラザンで処理された疎水化度85%のアモルファスシリカ微粉体を0.5質量部の外添混合し、トナー3を得た。
〔トナーの製造例4〕
イオン交換水710質量部に、0.1M−Na3PO4水溶液450質量部を投入し、温度65℃に加温した後、TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて、200s-1(12000rpm)にて撹拌した。これに1.0M−CaCl2水溶液68質量部を徐々に添加し、Ca3(PO42を含む水系媒体を得た。
スチレン 80.0質量部
n−ブチルアクリレート 20.0質量部
C.I.ピグメントブルー15:3(着色剤) 6.0質量部
3,5−ジ−t−ブチルサリチル酸アルミニウム化合物 1.0質量部
ポリエステル(ビスフェノールA、テレフタル酸、無水トリメリット酸より重合、Mp=8000) 7.0質量部
ベヘン酸ベヘニル(DSC最大吸熱ピーク温度:72℃) 14.0質量部
上記材料を温度60℃に加温し、TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて、167s-1(10000rpm)にて均一に溶解、分散した。これに、重合開始剤2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)7.0質量部を溶解し、モノマー組成物を調製した。
水系媒体中に上記モノマー組成物を投入し、温度60℃,N2雰囲気下において、TK式ホモミキサーにて167s-1(10000rpm)で10分間撹拌し、モノマー組成物を造粒した。その後、パドル撹拌翼で撹拌しつつ、温度80℃に昇温し、10時間反応させた。重合反応終了後、減圧下で残存モノマーを留去し、冷却後、塩酸を加えてCa3(PO42等を溶解した後、ろ過、水洗、乾燥をして、トナー粒子を得た。
得られたトナー粒子100.0質量部に、無機微粒子として、個数平均粒径が40nmでありi−ブチルトリメトキシシランで処理された疎水化度50%の酸化チタン微粉体1.0質量部、個数平均粒径が110nmでありヘキサメチルジシラザンで処理された疎水化度85%のアモルファスシリカ微粉体を0.5質量部の外添混合し、トナー4を得た。
GPCで求めたトナー4の分子量は、重量平均分子量(Mw)210000、数平均分子量(Mn)7000であり、ピーク分子量(Mp)31000。
〔トナーの製造例5〕
分散液A:
スチレン 350.0質量部
n−ブチルアクリレート 100.0質量部
アクリル酸 25.0質量部
t−ドデシルメルカプタン 10.0質量部
上記材料を混合及び溶解し、モノマー混合物Aを調製した。
パラフィンワックス分散液 100.0質量部
(DSC最大吸熱ピーク温度:72℃、固形分濃度30%、分散粒径0.14μm)
アニオン性界面活性剤 1.2質量部
(第一工業製薬(株)製:ネオゲンSC)
非イオン性界面活性剤 0.5質量部
(三洋化成(株)製:ノニポール400)
イオン交換水 1530.0質量部
上記材料をフラスコ中で分散し、窒素置換を行いつつ加熱を開始した。液温が温度65℃となったところで、これに6.5質量部の過硫酸カリウムを350質量部のイオン交換水で溶解した溶液を投入した。液温を温度70℃に保ちつつ、前記モノマー混合物Aを投入攪拌し、液温を80℃にあげて5時間そのまま乳化重合を継続した後に液温を温度40℃とした後にフィルターで濾過して分散液Aを得た。
分散液B:
スチレン 350.0質量部
n−ブチルアクリレート 100.0質量部
アクリル酸 30.0質量部
上記材料を混合及び溶解し、モノマー混合物Bを調製した。
フィッシャートロプシュワックス分散液 100.0質量部
(DSC吸熱ピーク温度:105℃、固形分濃度30%、分散粒径0.15μm)
アニオン性界面活性剤 1.5質量部
(第一工業製薬(株)製:ネオゲンSC)
非イオン性界面活性剤 0.5質量部
(三洋化成(株)製:ノニポール400)
イオン交換水 1530.0質量部
上記材料をフラスコ中で分散し、窒素置換を行いつつ加熱を開始した。液温が温度65℃となったところで、これに5.9質量部の過硫酸カリウムを300.0質量部のイオン交換水で溶解した溶液を投入した。液温を温度65℃に保ちつつ、前記モノマー混合物Bを投入攪拌し、液温を温度75℃にあげて8時間、乳化重合を継続した後に、液温を温度40℃とした後にフィルターで濾過して分散液Bを得た。
分散液C:
C.I.ピグメンブルー15:3 12.0質量部
アニオン性界面活性剤 2.0質量部
(第一工業製薬(株)製:ネオゲンSC)
イオン交換水 78.0質量部
上記材料混合し、サンドグラインダーミルを用いて分散し着色剤分散液Cを得た。
前記分散液A300.0質量部、分散液B150.0質量部及び分散液C25.0質量部を、撹拌装置、冷却管及び温度計を装着した1リットルのセパラブルフラスコに投入し撹拌した。この混合液に凝集剤として、10重量%塩化ナトリウム水溶液180.0質量部を滴下し、加熱用オイルバス中でフラスコ内を撹拌しながら温度54℃まで加熱し1時間保持した。
その後の融着工程において、ここにアニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製:ネオゲンSC)3.0質量部を追加した後、ステンレス製フラスコを密閉し、磁力シールを用いて撹拌を継続しながら温度100℃まで加熱し、3時間保持した。そして、冷却後、反応生成物をろ過し、イオン交換水で十分に洗浄した後、乾燥させることにより、トナー粒子を得た。
得られたトナー粒子100.0質量部に、無機微粒子として、個数平均粒径が40nmでありi−ブチルトリメトキシシランで処理された疎水化度50%の酸化チタン微粉体1.0質量部、個数平均粒径が110nmでありヘキサメチルジシラザンで処理された疎水化度85%のアモルファスシリカ微粉体を0.5質量部の外添混合し、トナー5を得た。
GPCで求めたトナー5の分子量は、重量平均分子量(Mw)870000、数平均分子量(Mn)8000であり、ピーク分子量(Mp)19000。
トナー1乃至5の物性を表3に示す。
Figure 0005393330
〔実施例1乃至14及び比較例1乃至7〕
次に、このように作製した磁性キャリアとトナーを表4の組み合わせで二成分系現像剤を作製した。
磁性キャリア90.0質量%及びトナー10.0質量%の配合割合で、V型混合機で5分間混合して二成分系現像剤を調製した。
Figure 0005393330
画像形成装置として、キヤノン製カラー複写機iRC3380改造機を用いた。現像剤担持体の回転方向をドラムの現像領域に対して、順方向になるように改造した。シアン位置の現像器に上記現像剤を入れ、評価を行った。現像条件としては、感光体に対する現像剤担持体周速を1.5倍となるように改造した。そして、現像剤担持体には、周波数1.9kHz、ピーク間電圧(Vpp1.0kV)の交流電圧と直流電圧VDCを印加した。直流電圧VDCはFFH画像(ベタ部)のトナーの紙上への載り量が0.5mg/cm2となるように調整した。
その後、各環境で初期及び画像比率1%で50000枚プリント後の評価を行った。
FFH画像とは、256階調を16進数で表示した値であり、00Hを1階調目(白地部)、FFHを256階調目(ベタ部)とする。
印刷環境 温度23℃/湿度50%RH(以下「N/N」)
温度23℃/湿度5%RH(以下「N/L」)
温度30℃/湿度80%RH(以下「H/H」
紙 カラーレーザーコピアペーパー(A4、81.4g/m2
(キヤノンマーケティングジャパン株式会社より販売)
<放置後カブリ>
各環境で、画像比率5%のFFH画像を10枚印字した。
画像形成装置本体を各環境に1週間放置した後に00H画像を1枚プリントした。
紙の平均反射率Dr(%)をリフレクトメータ(東京電色株式会社製の「REFLECTOMETER MODEL TC−6DS」)によって測定した。
00H画像の反射率Ds(%)を測定した。
下記式を用いてカブリ率(%)を算出した。得られたカブリを下記の評価基準に従って評価した。
カブリ率(%)=Dr(%)−Ds(%)
A:0.5%以下 (優秀)
B:0.6%以上1.0%以下(良い)
C:1.1%以上2.0%以下(本発明において許容レベル)
D:2.1%以上 (本発明において許容できない)
<ガサツキ>
各環境で、画像比率5%のFFH画像を10枚プリントした。
その後、1画素を1ドットで形成するドット画像(FFH画像)を作成した。紙上の1ドットあたりの面積が、20000μm2以上25000μm2以下となるように、レーザービームのスポット径を調整した。デジタルマイクロスコープVHX−500(レンズワイドレンジズームレンズVH−Z100・キーエンス社製)を用い、ドット1000個の面積を測定した。ドット面積の個数平均(S)とドット面積の標準偏差(σ)を算出し、ガサツキを下記式により算出した。
ガサツキ指数(I)=σ/S×100
A:Iが4.0以下 (優秀)
B:Iが4.1以上6.0以下 (良好)
C:Iが6.1以上8.0以下 (本発明において許容レベル)
D:Iが8.1以上 (本発明において許容できない)
<現像性>
直流電圧VDCを300Vに固定し、Vppを0.7kVから0.1kV刻みで2.0kVまで変えた交流電圧と直流電圧VDCを印加した。トナー載り量が0.50mg/cmとなるときのVppを求めた。
(A)Vpp1.3kV以下 (非常に良好)
(B)Vpp1.4kV以上1.5kV以下(良好)
(C)Vpp1.6kV以上1.8kV以下(本発明において許容レベル)
(D)Vpp1.9kV以上 (本発明において許容できない)
<白抜け>
各環境で、画像比率5%のFFH画像を10枚印字した。
転写紙の搬送方向に対して、ハーフトーン横帯(30H 幅10mm)とベタ黒横帯(FFH 幅10mm)を交互に並べたチャートを出力する(即ち、感光体の長手方向全域に幅10mmのハーフトーン画像を形成し、次いで、長手方向全域に幅10mmのベタ画像を形成し、それを繰り返して得られる画像)。その画像をスキャナ(600dpi)で読み取り、搬送方向における輝度分布(256階調)を測定する。得られた輝度分布において、ハーフトーン(30H)画像領域における、ハーフトーン(30H)の輝度よりも高い輝度の総和を白抜けとし、以下の基準に基づき評価した。
<評価基準>
A:50以下 (優秀)
B:51以上150以下 (良好)
C:151以上300以下(本発明において許容レベル)
D:301以上 (本発明において許容できない)
<キャリア付着>
その後、00H画像を印刷し、感光ドラム上の部分を透明な粘着テープを密着させてサンプリングし、1cm×1cm中の感光ドラム上に付着していた磁性キャリア粒子の個数をカウントし、1cm2当りの付着キャリア粒子の個数を算出した。
A:3個以下 (優秀)
B:4個以上10個以下 (良い)
C:11個以上20個以下(本発明において許容レベル)
D:21個以上 (本発明において許容できない)
Figure 0005393330
Figure 0005393330
Figure 0005393330
1 トナー粒子
2 オートフィーダー
3 供給ノズル
4 表面改質装置内部
5 熱風導入口
6 冷風導入口
7 表面改質されたトナー粒子
8 サイクロン
9 ブロワー
51:樹脂容器
52:下部電極
53:支持台座
54:上部電極
55:試料
56:エレクトロンメーター
57:処理コンピュータ
A:抵抗測定セル
d:サンプル高さ
d1(ブランク):試料を入れる前のサンプル高さ
d2(試料):試料を入れたときの高さ

Claims (6)

  1. 多孔質磁性コア粒子と樹脂とを少なくとも有する磁性キャリア粒子を有する磁性キャリアであって、
    該多孔質磁性コア粒子は、水銀圧入法で測定される細孔径及び微分細孔容積に関し、以下のi)及びii)
    i)細孔径0.10μm以上3.00μm以下の範囲の微分細孔容積が最大となる細孔径が0.80μm以上1.50μm以下であ
    ii)細孔径0.80μm以上1.50μm以下の範囲の微分細孔容積の最大値をP1とし、細孔径2.00μm以上3.00μm以下の範囲の微分細孔容積の最大値をP2とした場合に、P1が0.05ml/g以上0.50ml/g以下であり、P2/P1が0.05以上0.30以下である、
    を満たすことを特徴とする磁性キャリア。
  2. 該多孔質磁性コア粒子は、ブレークダウンする寸前の電界強度が、400V/cm以上2000V/cm以下であることを特徴とする請求項1に記載の磁性キャリア。
  3. 該樹脂が、少なくともシリコーン樹脂を含む樹脂であることを特徴とする請求項1または2に記載の磁性キャリア。
  4. 該磁性キャリアは、表面がさらに樹脂で被覆されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の磁性キャリア。
  5. 磁性キャリアとトナーを有する二成分系現像剤において、
    該磁性キャリアは請求項1乃至4のいずれかに記載の磁性キャリアであることを特徴とする二成分系現像剤。
  6. 該トナーは、画像処理解像度512×512画素(1画素あたり0.37μm×0.37μm)のフロー式粒子像測定装置によって計測された円形度を、0.200以上1.000以下の円形度範囲に800分割し解析され、円相当径1.985μm以上39.69μm未満の該トナーの平均円形度が0.940以上1.000以下であることを特徴とする請求項5に記載の二成分系現像剤。
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