バルセロナの豆腐店主が悲鳴!日本のプラスチック容器が税関で止められた驚きの理由写真はイメージです Photo:PIXTA

2020年、バルセロナで豆腐屋を営んでいた著者・清水建宇は、豆腐パックを積んだ貨物が税関で止められてしまう。理由は、EUの「食品用プラスチック」に対する規制の強化。輸入するのもごとに必要な検査をし、その結果を記した書類を提出しなければならないのだ。しかし、税関が求めている書類のひな型をみて、頭を抱えることとなる――。※本稿は、清水建宇『バルセロナで豆腐屋になった――定年後の「一身二生」奮闘記』(岩波書店)の一部を抜粋・編集したものです。

輸入の規制強化が直撃!
豆腐パックが足止めに

 私は毎年8月に3週間の夏休みをとって帰国し、豆腐パックや弁当容器などをコンテナに積んでバルセロナへ輸出していた。弁当の容器と蓋がそれぞれ4800個、豆腐パックが2万個。大きな段ボール箱で20箱になる。

 東京港を出発した貨物船は、10月初旬にはバルセロナ港に到着し、税関の手続きを終える。しかし、2020年は税関の手続きが終了したという連絡が、なかなか来なかった。

 手続きを担当するのは、日本郵船の関連企業である「ユーセン・ロジスティクス・イベリカ」である。10月半ば、スペイン人スタッフから「税関の衛生部門が欧州連合(EU)の食品用プラスチックの規制を理由に通関を止めている」というメールが届いた。

 豆腐屋を開業した際に機械や資材の税関業務を引き受け、その後も担当してくれたユーセン・ロジスティクス社の平沢真斉木さんに相談した。平沢さんはもう海運担当ではなかったが、衛生部門の担当者から事情を聞いて、詳しい経緯を教えてくれた。

 平沢さんによると、EUの規制にしたがって、輸入する食品用プラスチックごとに必要な検査をし、その結果を記入した書類を提出しなければならない。EUは2011年秋にそうした規制を決めていたが、2020年9月の改訂で検査項目を大幅に増やすとともに、規制の運用を強化していた。私の貨物は1ヵ月の差で検査項目の拡大と運用強化に引っかかってしまったわけだが、不運を嘆いても仕方がない。

新しい規制内容に
思わずうなった

 11月、平沢さんから、EUの新しい食品用プラスチックの規制内容と、税関が求めている書類のひな形が送られてきた。書類のひな形は、わざわざWORD文書に変換して書き込めるようにしてくれていた。

 この書類を見て、思わずうなってしまった。まず、溶出量が規制値を超えていないかどうかを検査する24種の金属が列記されている。

(1)カドミウム、(2)鉛、(3)アルミニウム、(4)アンモニウム、(5)アンチモン、(6)ヒ素、(7)バリウム、(8)カルシウム、(9)クロム、(10)コバルト、(11)銅、(12)ユウロピウム、(13)ガドリニウム、(14)鉄、(15)リチウム、(16)マグネシウム、(17)水銀、(18)ニッケル、(19)カリウム、(20)ナトリウム、(21)テルビウム、(22)ランタン、(23)マンガン、(24)亜鉛