
「もしもし」と電話に出ると、機械の自動音声が流れてきた。「NTTファイナンスから未納料金のお知らせです」「住んでいる住居の建築年数を教えてください」「内閣支持率調査にご協力ください」「店舗様の営業時間を自動で確認しております」……コンピューターを使った自動発信電話「ロボコール」がどんどん増えている。あなたは、どれが詐欺でどれが正しい目的の電話なのか、聞き分けることができるだろうか?(ITライター 大和哲)
機械による自動発信「ロボコール」、米国で月間約45億件の実態
「ロボコール(Robocall)」という言葉をご存じだろうか?もともとは、コンピューターを使った自動発信電話を指す言葉だった。しかし、現在では「迷惑電話」というニュアンスが強く、一般的に広まりつつある。
YouMailによれば、2024年9月時点で米国では月間約45億件のロボコールが確認されたという。米国の人口は約3億3650万人なので、単純計算で一人あたり月に13件以上の自動発信(迷惑)電話を受けていることになる。
そして、この自動発信式迷惑電話「ロボコール」は、近年、世界中に広まりつつある。日本も例外ではない。最近、自動音声で不審なアンケートなどがかかってきたことがある人は多いのではないだろうか。
悪用される自動発信システム
ロボコールは、電話発信を機械化することで、効率的に録音メッセージを流す手段として生まれた。当初は企業のマーケティングや世論調査などの正当な用途が想定されていたが、現実は大きく異なる結果となった。
現在、多くのロボコールは詐欺やスパムの手段として悪用されている。
米国では、2024年1月のニューハンプシャー州大統領選予備選挙を前に、バイデン大統領の声を模倣したAI生成のロボコールが有権者に発信された。この発信は「本選挙まで投票を控えるように」と促す内容で、選挙干渉ではないかと見られ、司法当局が捜査を行っている。