特別企画「日本映画専門チャンネルpresents 伊丹十三4K映画祭」の「
「伊丹十三4K映画祭」では、
山崎が初めて伊丹映画に関わったのは「
当時から伊丹はVFXや特撮に興味があったのかという問いに、山崎は「新しいもの好きで、最新の技術を取り入れているイメージ。僕らに対しても『何ができるの?』と興味を示してくれたし、その技術をどう映画に生かすかということに貪欲でした」と答える。伊丹を「心の師匠」と呼ぶ山崎は、現場での伊丹の立ち居振る舞いを今も参考にしているそうで「僕たち若手の意見もすごく聞いてくれたので、僕も若い子の意見を聞くようにしています。あと、伊丹さんってセットの装飾とかいろんなことに手を出すんですよ。もともとデザイナーというのもありますが、監督がこういうことをやってもいいんだ!と。アメリカの映画だともっと仕事が分かれていて監督ができること・できないことがありますが、『伊丹さんもやっていたし』と、自分が映画を作るときの免罪符にしています」とほほえんだ。
続いて「大病人」の話題へ。同作はもともと「大病院」というタイトルで、病院の不正を暴く若い医者の物語だったと山崎が明かすと、会場からは驚きの声が上がる。山崎が担当した向井の臨死体験のシーンに関しては、「三途の川から押し返されるところなんかはこっちから提案したんですけど、ほっぺからとうもろこしが出ているシーンなどは伊丹さんの発案です。伊丹さんの頭の中の断片的なイメージがあふれ出た感じだと思うんですけど、すごく明確なんですよ。訳がわからないまま、言われた通り絵コンテを描くと『そうそう、こんな感じ』と言われ、僕らはそれをどうやって撮影するのかワンカットごとに考えていきました。伊丹さん流の『8 1/2』をやりたかったのかな」と振り返った。
演じる三國に対しては、伊丹が毎回動きをやって見せ、編集方法なども説明していたという。山崎は「伊丹さんが自分で台の上に乗って『ここでこう暴れていただいて、カメラが回ることで、(三國が)ぐるぐる回っているように見えますから』と。あとは、三國さんの精巧な人形を作ってラジコンの上に乗せて動かし、死後の世界に飛んで行くようなシーンも撮りました」と裏話を披露した。
「大病人」の公開時28歳だった山崎は、現在、当時の伊丹と同じ60歳。「伊丹監督が今ふらっと現れたら何を話したいか?」という質問に対して、山崎は「怖いけど、自分の作品を観てもらいたいですね。伊丹さんの好みとは違うかもしれないけれど、勝手ながら受け取った伊丹イズムを紛れ込ませているので。……なんて言われるのかな?」と口にする。また「僕がエンタメにこだわりたいのは、伊丹さんがアートムービーではなくエンタメを作っていたから。とても超えられないなと思うのは、題材とエンタメの結び付け方ですよね。普通、税務署で働く人を主人公にエンタメ作品を作れと言われても無理ですし、『
「伊丹十三4K映画祭」はTOHO シネマズ日比谷と大阪・TOHO シネマズ梅田で5月1日まで開催。5月17日には、日本映画専門チャンネルで10作品の一挙放送も行われる。
はまや @hamayan_hamaya
【イベントレポート】山崎貴にとって伊丹十三は“心の師匠”、「大病人」で三國連太郎の人形を作った裏話も https://t.co/NF5JIzFFbp