JP2019101441A - トナー - Google Patents
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Abstract
Description
例えば、パーソナル・ユーザーを対象としたコンピューター機器の低価格化に伴い、フルカラーによる映像コミュニケーションが幅広く浸透してきている。その出力手段の一つであるプリンターや複写機のような画像形成装置においても、微細な部分に至るまで、忠実に再現することが要求されてきている。
それに伴い、色の鮮やかさについての要求も高まってきており、色再現範囲の拡張が求められている。
さらに昨今では、印刷分野への進出も著しく、電子写真方式の出力画像においても、印刷速度の向上と同時に、印刷の品質と同等以上の高精彩、高精細、粒状性等の画像品質が要求されるようになってきている。
同時に、プリントスピードの向上や、ランニングコストの低減、使用環境に依らない画像品質の安定性なども求められ、これら多岐にわたる要求特性を満足するトナーが要望されている。
フルカラー画像の場合、色材の3原色である、イエロートナー、マゼンタトナー、シアントナーの3色の有彩色トナー、そして、それにブラックトナーを加えた4色のトナーで色再現を行うものである。
特にマゼンタトナーにおいては、イエロートナーを加えて人間の視覚感度が高い赤色を再現するために重要であるばかりか、例えば、複雑な色調を持つ人物像の肌色を再現する際には優れた現像性も要求される。また、シアントナーを加えてビジネスカラーとして使用頻度の高い青色の2次色再現を達成しなければならない。
これらの要求を満たすためには、トナー中の着色剤が持つ着色力を高めることが必要となる。そのためには、着色剤として顔料を用いる場合は、顔料を十分に微細化し、トナー中へ均一に分散させることが必要となる。また、発色性の高い染料を用いることも達成手段の一つである。
従来マゼンタトナーには、色再現性と着色力の観点から、キナクリドン系着色剤、ナフトール系着色剤を単独又は混合して用いることが知られている。
本発明は、上記の課題を解決したトナーを提供することにある。具体的には、色再現性、及び着色力に優れたトナーを提供することにある。
本発明は、結着樹脂、下記式(1)で表される化合物、及び少なくとも下記式(2)で表される化合物と下記式(3)で表される化合物とが固溶化した化合物を含有するトナー粒子を有することを特徴とするトナー。
ル基を示し、R4、R5はそれぞれ独立して、アリール基、アシル基又はアルキル基を表す、或いは、R4とR5とが結合しており、R4とR5とが結合している窒素原子とR4とR5とが含まれる環式有機官能基が形成される。]
本発明のトナーは、結着樹脂、及び式(1)で表される化合物(以下化合物(1)ともいう)に加え、少なくとも式(2)で表される化合物(以下化合物(2)ともいう)と式(3)で表される化合物(以下化合物(3)ともいう)とが固溶化した化合物を含有するトナー粒子を有することを特徴とする。
このような構成による作用効果について、本発明者らは以下のように考える。
本発明のトナーは、これらの相互作用により、トナー中における化合物(1)の分散性が向上し、トナーの着色力が著しく向上したと本発明者らは推定している。この理由について、本発明者らは以下のように考える。
化合物(2)は、ナフトール系顔料であり、両末端に同じフェニル基置換のアミノ構造を持つため、分散性が比較的優れた顔料である。さらに、自身が良好な分散性を有することに加えて、併用する顔料の分散性を向上させる顔料誘導体としても作用しやすい。特に、化合物(2)の両末端に存在するフェニル基と化合物(1)が有するピリドン化合物部位が相互作用するため、化合物(1)と化合物(2)とを併用した場合に、分散媒体中の顔料の分散性を顕著に向上させることができる。
また、化合物(2)は、両末端に同じフェニル基置換のアミノ構造を持つため、従来用いられてきたナフトール系顔料と比較して、ポリエステル樹脂が有するエステル結合部との親和性が高い。そのため、結着樹脂としてポリエステル樹脂を用いた場合、化合物(2)の再凝集がより良好に抑制され、顔料全体の分散性を向上することができる。
また、本発明においては、化合物(2)と化合物(3)とが固溶化された化合物を用いることによって、色再現性や着色力に関して優れたトナーを得ている。固溶化させることで上記化合物同士が互いに結晶成長を抑制し合うようになり、固溶化された化合物が、トナー粒子中により微分散する。
その結果、化合物(1)の分散状態も改善され、それぞれの化合物が有する発色性が最大限引き出され、トナーの色再現性や着色力が大きく向上したと本発明者らは考えている。
式(1)中、R1、R2及びR6におけるアルキル基としては、特に限定されるものではないが、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、オクチル基、ドデシル基、ノナデシル
基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基、2−エチルプロピル、2−エチルヘキシル基、シクロヘキセニルエチル基等の飽和若しくは不飽和の直鎖状、分岐状、又は環状の炭素数1〜20(好ましくは1〜15)の1〜3級のアルキル基が挙げられる。特に、2−エチルヘキシル基等の分岐状のアルキル基を用いる場合、樹脂に対しての分散性が良くなり、トナーの色再現性を高めるため好ましい。
R1及びR2におけるアリール基としては、特に限定されるものではないが、例えば無置換フェニル基、置換フェニル基が挙げられる。無置換フェニル基、置換フェニル基を用いる場合、少なくとも化合物(2)と化合物(3)とが固溶化した化合物との相互作用が強くなり、トナーの色再現性を高めるため、好ましい。
置換基としては、炭素数1〜6(好ましくは1〜4)のアルキル基、炭素数1〜6(好ましくは1〜4)のアルコキシ基が挙げられる。
R6は、特に、メチル基、n−ブチル基、2−メチルブチル基、2,3,3−トリメチルブチル基等の、炭素数1〜10(好ましくは1〜7)の1級〜3級のアルキル基の場合、少なくとも化合物(2)と化合物(3)が固溶化した化合物との相互作用が強くなり、トナーの色再現性を高めるため、好ましい。
式(1)中、R3におけるアルキル基としては、特に限定されるものではないが、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基等の、炭素数1〜6(好ましくは1〜4)の1級〜3級のアルキル基が挙げられる。特に、3級のアルキル基であるt−ブチル基の場合、少なくとも化合物(2)と化合物(3)とが固溶化した化合物との相互作用が強くなり、トナーの色再現性を高めるため、好ましい。
式(1)中、R3におけるアリール基としては、特に限定されるものではないが、例えば、下記式(4)で示される構造が好ましい。
式(4)中、R7、R8におけるアルキル基としては、特に限定されるものではないが、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基等の炭素数1〜4個のアルキル基が挙げられる。特に、メチル基の場合、樹脂との相溶性が良くなり、耐光性が優れるため好ましい。
式(4)中、R7、R8におけるアルコキシ基としては、特に限定されるものではないが、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、i−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、または、tert−ブトキシ基が挙げられる。
式(4)中、R9におけるアルコキシ基は、特に限定されるものではないが、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、i−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、または、tert−ブトキシ基が挙げられる。炭素数1〜6(より好ましくは1〜4)のアルコキシ基が好ましい
式(1)中、R4及びR5におけるアリール基としては、特に限定されるものではないが、例えば、炭素数6〜10の置換又は無置換のアリール基が挙げられる。置換基としては、(例えば炭素数1〜4の)アルキル基及びアルコキシ基等が挙げられる。なお、置換基を有する場合、上記炭素数は、該置換基の炭素数を含む数を表す。また、置換基は1つでも複数でもよい。具体的には、フェニル基、4−メチルフェニル基、4−メトキシフェニル基等が挙げられる。
式(1)中、R4とR5とが結合して形成される、R4とR5とが結合している窒素原子とR4とR5とが含まれる環式有機官能基としては、特に限定されるものではないが、ピペリジニル基、ピペラジニル基、モルフォリニル基等が挙げられる。
また、R1及びR2が、それぞれ独立して炭素数1〜15のアルキル基であり、R3が炭素数1〜6のアルキル基又は前記式(4)で示される基であり、R6が炭素数1〜10のアルキル基であり、R4及びR5が、それぞれ独立して炭素数1〜6のアルキル基、炭素数2〜10のアルキルカルボニル基又は炭素数7〜11のアリールカルボニル基であることが好ましい。
式(1)で表される色素化合物は、国際公開第92/19684号に記載されている公知の方法を参考にして合成することが可能である。
式(1)で表される構造を有する色素化合物の製造方法について、以下に一態様を示すが、製造方法がこれに限定されるわけではない。
式(1)で表される色素化合物は、アルデヒド化合物(A)とピリドン化合物(B)を縮合させることで製造することができる。
また、アルデヒド化合物(A)は国際公開第92/19684号に記載されている公知の方法を参考にして合成することが可能である。
アルデヒド化合物(A)の好ましい例として、アルデヒド化合物(1)〜(5)を以下に示すが、下記の化合物に限定されるものではない。
ピリドン化合物(B)はヒドラジン化合物、酢酸メチル化合物、酢酸エチル化合物の3成分をカップリングさせる環化工程によって合成することができる。
この環化工程は無溶媒で行うことも可能であるが、溶媒の存在下で行うことが好ましい。溶媒としては反応に関与しないものであれば特に制限はなく、水、メタノール、エタノール、酢酸、トルエンが挙げられる。また、2種以上の溶媒を混合して用いることもでき、混合使用の際の混合比は任意に定めることができる。上記反応溶媒の使用量は、酢酸メチル化合物100質量部に対し、0.1〜1000質量部の範囲で用いることが好ましく、より好ましくは1.0〜150質量部である。
この中で、好ましくはトリエチルアミンまたはピペリジンであり、より好ましくはトリエチルアミンである。上記塩基の使用量は、酢酸メチル化合物100質量部に対し0.01〜100質量部であることが好ましく、より好ましくは0.1〜20質量部、さらに好ましくは0.5〜5質量部の範囲である。反応終了後、蒸留、再結晶、シリカゲルクロマトグラフィーなどの精製を行なうことによって所望のピリドン化合物を得ることができる。
一般式(1)で表される色素化合物は、アルデヒド化合物(A)とピリドン化合物(B)を縮合させる縮合工程によって合成することができる。
本縮合工程は無溶媒で行うことも可能であるが、溶媒の存在下で行うことが好ましい。溶媒としては反応に関与しないものであれば特に制限はなく、クロロホルム、ジクロロメタン、N,N−ジメチルホルムアミド、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アセトニトリル、酢酸エチル、メタノール、エタノール、イソプロパノールが挙げられる。また、2種以上の溶媒を混合して用いることもでき、混合使用の際の混合比は任意に定めることができる。上記反応溶媒の使用量は、アルデヒド化合物100質量部に対し、0.1〜1000質量部の範囲で用いられることが好ましく、より好ましくは1.0〜150質量部である。
本縮合工程の反応温度は、−80℃〜250℃の範囲で行われることが好ましく、より好ましくは−20℃〜150℃である。この縮合化工程の反応は通常24時間以内に完結する。
また本縮合工程では、酸又は塩基を使用すると反応を速やかに進行させることができるため好ましい。
モニウム、酢酸アンモニウム等の無機塩等が挙げられる。この中で好ましくは、p−トルエンスルホン酸、ギ酸アンモニウム、酢酸アンモニウムである。上記酸の使用量としては、アルデヒド化合物100質量部に対し、0.01〜20質量部であることが好ましく、より好ましくは、0.1〜5質量部の範囲である。
用いることができる塩基としては、具体的には、ピリジン、2−メチルピリジン、ジエチルアミン、ジイソプロピルアミン、トリエチルアミン、フェニルエチルアミン、イソプロピルエチルアミン、メチルアニリン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン、酢酸カリウムのような有機塩基;n−ブチルリチウム、tert−ブチルマグネシウムクロリドのような有機金属;水素化ホウ素ナトリウム、金属ナトリウム、水素化カリウム、酸化カルシウムのような無機塩基;カリウムtert−ブトキシド、ナトリウムtert−ブトキシド、及び、ナトリウムエトキシドのような金属アルコキシドが挙げられる。
この中で、好ましくはトリエチルアミン、または、ピペリジンであり、より好ましくはトリエチルアミンである。上記塩基の使用量は、アルデヒド化合物100質量部に対し、0.1〜20質量部であることが好ましく、より好ましくは0.2〜5質量部の範囲である。
式(1)で表される色素化合物は、使用する用途の目的に応じて、色調等を調整するために、単独、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。さらに、公知の顔料や染料を2種以上組み合わせて用いることもできる。
式(1)の化合物の好ましい例として、化合物(1)−A〜(1)−Fを以下に示すが、下記の化合物に限定されるものではない。
ナフトール系化合物としては、C.I.ピグメントレッド31、147,150、184、238,269などが挙げられる。
キナクリドン系化合物としては、C.I.ピグメントレッド122、192、282、C.I.ピグメントバイオレット19などが挙げられる。
ナフトール系化合物及びキナクリドン系化合物のレーキ化合物としては、C.I.ピグメントレッド48:2,48:3,48:4、57:1などが挙げられる。ナフトール系化合物及びキナクリドン系化合物から選択される化合物が好ましく、ナフトール系顔料及びキナクリドン系顔料から選択される化合物がより好ましい。
本発明では、化合物(1)との相互作用をより一層強め、トナー粒子中においての分散性を高めるために、下記式で表す化合物(2)、及び化合物(3)の固溶体を併用する。該固溶体を併用することで、トナーの色再現性、着色力をより高めることができる。
他の化合物としては、ナフトール系化合物が好ましく、下記式(I)で示される化合物が挙げられる。すなわち、化合物(2)と化合物(3)とが固溶化した化合物は、化合物(2)と化合物(3)と下記式(I)で示される化合物とが固溶化した化合物であってもよい。
化合物の固溶化には公知の方法を用いることができる。例えば、
(1)2種以上の化合物の粗結晶を混合してアシッドペースト処理し、微細結晶を得たのち、これを高誘電率有機溶媒中で結晶成長処理する方法や、
(2)2種以上の化合物の粗結晶を混合し、食塩とともにボールミリングする方法
などが挙げられる。
(3)2種以上の化合物の芳香族アミンをジアゾニウム塩化した後、水酸化ナトリウム水溶液中などでカップリング反応させる方法などが挙げられる。
化合物(2)の含有量は、結着樹脂100質量部に対して、好ましくは0.2質量部以上10.0質量部以下であり、より好ましくは0.5質量部以上2.0質量部以下である。
化合物(3)の含有量は、結着樹脂100質量部に対して、好ましくは0.2質量部以上10.0質量部以下であり、より好ましくは0.5質量部以上2.0質量部以下である。添加量を上記範囲とすることで、トナーの色再現性や着色力をより一層良好なものとすることができる。
また、化合物(1)の含有量(質量部)をAとし、少なくとも化合物(2)と化合物(3)とが固溶化した化合物の含有量(質量部)をBとしたときに下記式を満たすことが好ましい。
0.005≦A/B≦10.000
上記式を満たすことで、化合物(1)のトナー中の分散性がより向上し、着色力、色再現性の高いトナーを得ることができる。A/Bは、0.05以上5.00以下であることがより好ましく、0.10以上5.00以下であることがさらに好ましい。
特に、アビエチン酸、テトラヒドロアビエチン酸、ネオアビエチン酸、デヒドロアビエチン酸、ジヒドロアビエチン酸、ピマール酸、イソピマール酸、レボピマール酸及びパラストリン酸、及びこれらのアルカリ金属塩やエステル化合物が結着樹脂との相溶性の観点から好ましく、顔料の分散性を改善し、トナーの発色性が向上する。
着色剤に対するロジン化合物の処理量は、着色剤(着色剤組成物)中のロジン化合物の量が、通常1〜40質量%、好ましくは5〜30質量%、より好ましくは10〜20質量%となる程度である。この処理量とすることによって、上記のような特性を一層良好なものとすることができる。
本発明のトナーにおける、着色剤の含有量は、結着樹脂100質量部に対して3.0質量部以上20.0質量部以下が好ましく、5.0質量部以上15.0質量部以下であることがより好ましい。着色剤の含有量が3.0質量部以上であると、所望の濃度の出力画像を出すために、紙上のトナーの載り量が適切となる。また、20.0質量部以下であると、顔料が凝集しにくくなり、色が濁りにくく、色再現性の範囲が広がりやすい。
本発明のトナーに使用される結着樹脂としては、特に限定されず、下記の重合体又は樹脂を用いることが可能である。
例えば、ポリスチレン、ポリ−p−クロルスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の単重合体;スチレン−p−クロルスチレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体などのスチレン系共重合体;ポリ塩化ビニル、フェノール樹脂、天然樹脂変性フェノール樹脂、天然樹脂変性マレイン酸樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレ
ン樹脂、ポリビニルブチラール、テルペン樹脂、クマロン−インデン樹脂、石油系樹脂などが使用できる。
これらの中でも、ポリエステル樹脂、スチレン系共重合体が好ましい。
ポリエステル樹脂としては、「ポリエステルユニット」を樹脂鎖中に有している樹脂である。該ポリエステルユニットを構成する成分としては、具体的には、2価以上のアルコール成分と、2価以上のカルボン酸、2価以上のカルボン酸無水物及び2価以上のカルボン酸エステル等の酸モノマー成分とが挙げられる。
これらの中で好ましく用いられるアルコールモノマー成分としては、芳香族ジオールであり、ポリエステル樹脂を構成するアルコールモノマー成分において、芳香族ジオールは、80モル%以上100モル%以下の割合で含有することが好ましい。
これらの中で好ましく用いられる酸モノマー成分としては、テレフタル酸、コハク酸、アジピン酸、フマル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸やその無水物等の多価カルボン酸である。
酸価が20mgKOH/g以下であると、顔料の分散性が良好になり、定着性や現像性が向上する。
なお、該酸価は、樹脂に用いるモノマーの種類や配合量を調整することにより、上記範
囲とすることができる。具体的には、樹脂製造時のアルコールモノマー成分比/酸モノマー成分比、分子量を調整することにより制御できる。また、エステル縮重合後、末端アルコールを多価酸モノマー(例えば、トリメリット酸)で反応させることにより制御できる。
トナー粒子は、必要に応じてビニル系樹脂成分と炭化水素化合物が反応した構造を有する樹脂組成物を含有してもよい。該樹脂組成物を含有することで、トナー中の顔料及びワックスをより均一に微分散させることが可能となる。
上記ビニル系樹脂成分と炭化水素化合物が反応した構造を有する樹脂組成物としては、ビニル系樹脂成分にポリオレフィンがグラフトした構造を有するグラフト重合体及び/又はポリオレフィンにビニル系モノマーがグラフト重合した構造を有するグラフト重合体が特に好ましい。
上記グラフト重合体に関して、ポリオレフィンは二重結合を一つ有する不飽和炭化水素系モノマーの重合体又は共重合体であれば特に限定されず、様々なポリオレフィンを用いることができる。特にポリエチレン系、ポリプロピレン系が好ましく用いられる。
スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレンのようなスチレン及びその誘導体などのスチレン系モノマー。
メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルのようなアミノ基含有α−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;アクリロニトリル、メタアクリロニトリル、アクリルアミドのようなアクリル酸又はメタクリル酸誘導体などの窒素原子を含むビニル系モノマー。
アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸−n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸−2−クロルエチル、アクリル酸フェニルのようなアクリル酸エステル類などのアクリル酸エステルからなるエステル単位。
メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸−n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸−n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルのようなα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類などのメタクリル酸エステルからなるエステル単位。
ビニル系樹脂成分の構成単位として、スチレン系単位、さらにはアクリロニトリル、又はメタアクリロニトリルを含むことが好ましい。
上記樹脂組成物中の炭化水素化合物とビニル系樹脂成分の質量比(炭化水素化合物/ビニル系樹脂成分)は1/99〜75/25であることが好ましい。炭化水素化合物とビニル系樹脂成分を上記範囲で用いることが、トナー粒子中へ顔料を分散させるために好ましい。
また、該樹脂組成物の重量平均分子量(Mw)は、6000以上8000以下であることが好ましく、数平均分子量(Mn)は1500以上5000以下であることが好ましい。
上記樹脂組成物を上記範囲で用いることが、トナー粒子中へ顔料を分散させるために好ましい。
トナーにはワックスを含有させてもよい。ワックスは、炭化水素系ワックスが好ましい。
炭化水素系ワックスとしては、特に限定されないが、以下のものが挙げられる。低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、アルキレン共重合体、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスのような炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックスのような炭化水素系ワックスの酸化物又はそれらのブロック共重合物;カルナバワックスのような脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;脱酸カルナバワックスのような脂肪酸エステル類を一部又は全部を脱酸化したもの。
さらに、ワックスとしては、以下のものが挙げられる。パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸のような飽和直鎖脂肪酸類;ブラシジン酸、エレオステアリン酸、パリナリン酸のような不飽和脂肪酸類;ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールのような飽和アルコール類;ソルビトールのような多価アルコール類;パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、モンタン酸のような脂肪酸類と、ステアリルアルコール、アラルキルアルコ
ール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールのようなアルコール類とのエステル類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドのような脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドのような飽和脂肪酸ビスアミド類;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’ジオレイルセバシン酸アミドのような不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’ジステアリルイソフタル酸アミドのような芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムのような脂肪族金属塩(一般に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸のようなビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;ベヘニン酸モノグリセリドのような脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂の水素添加によって得られるヒドロキシ基を有するメチルエステル化合物。
該ワックスの含有量は、結着樹脂100質量部に対して、0.5質量部以上20.0質量部以下が好ましく、3.0質量部以上12.0質量部以下がより好ましい。
また、トナーの保存性と高温オフセット性の両立の観点から、示差走査熱量分析装置(DSC)で測定される昇温時の吸熱曲線において、温度30℃以上200℃以下の範囲に存在する最大吸熱ピークのピーク温度が50℃以上110℃以下であることが好ましい。さらに、70℃以上100℃以下であることがより好ましい。
トナーには、必要に応じて荷電制御剤を含有させることもできる。トナーに含有される荷電制御剤としては、公知のものが利用できるが、特に、無色でトナーの帯電スピードが速く且つ一定の帯電量を安定して保持できる芳香族カルボン酸の金属化合物が好ましい。
ネガ系荷電制御剤としては、サリチル酸金属化合物、ナフトエ酸金属化合物、ジカルボン酸金属化合物、スルホン酸又はカルボン酸を側鎖に持つ高分子型化合物、スルホン酸塩又はスルホン酸エステル化物を側鎖に持つ高分子型化合物、カルボン酸塩又はカルボン酸エステル化物を側鎖に持つ高分子型化合物、ホウ素化合物、尿素化合物、ケイ素化合物、カリックスアレーンが挙げられる。荷電制御剤はトナー粒子に対して内添してもよいし外添してもよい。
荷電制御剤の添加量は、結着樹脂100質量部に対して、0.2質量部以上10質量部以下が好ましい。
本発明では、必要に応じて流動性向上や摩擦帯電量調整のために、トナー粒子にさらに外添剤が添加されていてもよい。
当該外添剤としては、シリカ、酸化チタン、酸化アルミニウム、チタン酸ストロンチウムのような無機微粒子が好ましい。該無機微粒子は、シラン化合物、シリコーンオイル又はそれらの混合物のような疎水化剤で疎水化処理されていることが好ましい。
用いられる外添剤としては、比表面積が10m2/g以上50m2/g以下の無機微粒子が、外添剤の埋め込み抑制の観点で好ましい。
また、該外添剤は、トナー粒子100質量部に対して、0.1質量部以上5.0質量部以下使用されることが好ましい。
トナー粒子と外添剤との混合は、ヘンシェルミキサーのような公知の混合機を用いることができるが、混合できればよく、特に装置は限定されるものではない。
混合して二成分系現像剤として用いることが好ましい。
磁性キャリアとしては、例えば、表面を酸化した鉄粉、あるいは、未酸化の鉄粉や、鉄、リチウム、カルシウム、マグネシウム、ニッケル、銅、亜鉛、コバルト、マンガン、希土類のような金属粒子、それらの合金粒子、酸化物粒子、フェライト等の磁性体や、磁性体と、この磁性体を分散した状態で保持するバインダー樹脂とを含有する磁性体分散樹脂キャリア(いわゆる樹脂キャリア)等、一般に公知のものを使用できる。
本発明のトナーの製造方法は、特に限定されることなく、公知の製造方法を用いることができる。ここでは、粉砕法を用いたトナーの製造方法を例に挙げて説明する。
原料混合工程では、トナー粒子を構成する材料として、例えば、結着樹脂、着色剤及びワックス、並びに必要に応じて樹脂組成物、荷電制御剤等の他の成分を、所定量秤量して配合し、混合する。混合装置の一例としては、ダブルコン・ミキサー、V型ミキサー、ドラム型ミキサー、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー、ナウターミキサー、メカノハイブリッド(日本コークス工業株式会社製)などが挙げられる。
次に、混合した材料を溶融混練して、結着樹脂中に着色剤及びワックス等を分散させる。溶融混練工程では、加圧ニーダー、バンバリィミキサーのようなバッチ式練り機や、連続式の練り機を用いることができ、連続生産できる優位性から、1軸又は2軸押出機が主流となっている。例えば、KTK型2軸押出機(神戸製鋼所社製)、TEM型2軸押出機(東芝機械社製)、PCM混練機(池貝鉄工製)、2軸押出機(ケイ・シー・ケイ社製)、コ・ニーダー(ブス社製)、ニーデックス(日本コークス工業株式会社製)などが挙げられる。さらに、溶融混練することによって得られる樹脂組成物は、2本ロール等で圧延され、冷却工程で水などによって冷却してもよい。
その後、必要に応じて慣性分級方式のエルボージェット(日鉄鉱業社製)、遠心力分級方式のターボプレックス(ホソカワミクロン社製)、TSPセパレータ(ホソカワミクロン社製)、ファカルティ(ホソカワミクロン社製)のような分級機や篩分機を用いて分級し、トナー粒子を得る。
このような混合装置の一例としては、ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製);スーパーミキサー(カワタ社製);リボコーン(大川原製作所社製);ナウターミキサー、タービュライザー、サイクロミックス(ホソカワミクロン社製);スパイラルピンミキサー(太平洋機工社製);レーディゲミキサー(マツボー社製)、ノビルタ(ホソカワミクロン株式会社製)等が挙げられる。特に、均一に混合しシリカ凝集体をほぐすためには、ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)が好ましく用いられる。
混合の装置条件としては、処理量、撹拌軸回転数、撹拌時間、撹拌羽根形状、槽内温度などが挙げられるが、所望のトナー性能を達成するために、熱処理トナー粒子の諸物性や添加剤の種類などを鑑みて適宜選定するものであり、とくに限定されるものではない。
さらには、例えば添加剤の粗大凝集物が、得られたトナー中に遊離して存在する場合などには、必要に応じて篩分機などを用いてもよい。
ピーク分子量(Mp)、数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、以下のようにして測定する。
まず、室温で24時間かけて、試料(樹脂)をテトラヒドロフラン(THF)に溶解する。そして、得られた溶液を、ポア径が0.2μmの耐溶剤性メンブランフィルター「マエショリディスク」(東ソー社製)で濾過してサンプル溶液を得る。なお、サンプル溶液は、THFに可溶な成分の濃度が約0.8質量%となるように調整する。このサンプル溶液を用いて、以下の条件で測定する。
装置 :HLC8120 GPC(検出器:RI)(東ソー社製)
カラム :Shodex KF−801、802、803、804、805、806、807の7連(昭和電工社製)
溶離液 :テトラヒドロフラン(THF)
流速 :1.0ml/min
オーブン温度 :40.0℃
試料注入量 :0.10ml
試料の分子量の算出にあたっては、標準ポリスチレン樹脂(例えば、商品名「TSKスタンダード ポリスチレン F−850、F−450、F−288、F−128、F−80、F−40、F−20、F−10、F−4、F−2、F−1、A−5000、A−2500、A−1000、A−500」、東ソー社製)を用いて作成した分子量校正曲線を使用する。
樹脂の軟化点の測定は、定荷重押し出し方式の細管式レオメータ「流動特性評価装置 フローテスターCFT−500D」(島津製作所社製)を用い、装置付属のマニュアルに従って行う。本装置では、測定試料の上部からピストンによって一定荷重を加えつつ、シリンダに充填した測定試料を昇温させて溶融し、シリンダ底部のダイから溶融された測定試料を押し出し、この際のピストン降下量と温度との関係を示す流動曲線を得ることができる。
本発明においては、「流動特性評価装置 フローテスターCFT−500D」に付属のマニュアルに記載の「1/2法における溶融温度」を軟化点とする。尚、1/2法における溶融温度とは、次のようにして算出されたものである。まず、流出が終了した時点におけるピストンの降下量Smaxと、流出が開始した時点におけるピストンの降下量Sminとの差の1/2を求める(これをXとする。X=(Smax−Smin)/2)。そして、流動曲線においてピストンの降下量がXとSminの和となるときの温度が、1/2法における溶融温度である。
測定試料は、約1.0gの樹脂を、25℃の環境下で、錠剤成型圧縮機(例えば、NT−100H、エヌピーエーシステム社製)を用いて約10MPaで、約60秒間圧縮成型し、直径約8mmの円柱状としたものを用いる。
CFT−500Dの測定条件は、以下の通りである。
試験モード:昇温法
開始温度:40℃
到達温度:200℃
測定間隔:1.0℃
昇温速度:4.0℃/min
ピストン断面積:1.000cm2
試験荷重(ピストン荷重):10.0kgf(0.9807MPa)
予熱時間:300秒
ダイの穴の直径:1.0mm
ダイの長さ:1.0mm
酸価は試料1gに含まれる酸を中和するために必要な水酸化カリウムのmg数である。結着樹脂の酸価はJIS K 0070−1992に準じて測定されるが、具体的には、以下の手順に従って測定する。
(1)試薬の準備
フェノールフタレイン1.0gをエチルアルコール(95体積%)90mlに溶かし、イオン交換水を加えて100mlとし、フェノールフタレイン溶液を得る。
特級水酸化カリウム7gを5mlの水に溶かし、エチルアルコール(95体積%)を加えて1Lとする。炭酸ガス等に触れないように、耐アルカリ性の容器に入れて3日間放置後、ろ過して、水酸化カリウム溶液を得る。得られた水酸化カリウム溶液は、耐アルカリ性の容器に保管する。前記水酸化カリウム溶液のファクターは、0.1モル/l塩酸25mlを三角フラスコに取り、前記フェノールフタレイン溶液を数滴加え、前記水酸化カリウム溶液で滴定し、中和に要した前記水酸化カリウム溶液の量から求める。前記0.1モル/l塩酸は、JIS K 8001−1998に準じて作製されたものを用いる。
(2)操作
(A)本試験
試料2.0gを200mlの三角フラスコに精秤し、トルエン/エタノール(2:1)の混合溶液100mlを加え、5時間かけて溶解する。次いで、指示薬として前記フェノールフタレイン溶液を数滴加え、前記水酸化カリウム溶液を用いて滴定する。なお、滴定の終点は、指示薬の薄い紅色が約30秒間続いたときとする。
(B)空試験
試料を用いない(すなわちトルエン/エタノール(2:1)の混合溶液のみとする)以外は、上記操作と同様の滴定を行う。
(3)得られた結果を下記式に代入して、酸価を算出する。
A=[(C−B)×f×5.61]/S
ここで、A:酸価(mgKOH/g)、B:空試験の水酸化カリウム溶液の添加量(ml)、C:本試験の水酸化カリウム溶液の添加量(ml)、f:水酸化カリウム溶液のファクター、S:試料(g)である。
水酸基価とは,試料1gをアセチル化するとき、水酸基と結合した酢酸を中和するのに要する水酸化カリウムのmg数である。樹脂の水酸基価はJIS K 0070−1992に準じて測定されるが、具体的には、以下の手順に従って測定する。
(1)試薬の準備
特級無水酢酸25gをメスフラスコ100mlに入れ、ピリジンを加えて全量を100mlにし、十分に振りまぜてアセチル化試薬を得る。得られたアセチル化試薬は、湿気、炭酸ガス等に触れないように、褐色びんにて保存する。
フェノールフタレイン1.0gをエチルアルコール(95体積%)90mlに溶かし、イオン交換水を加えて100mlとし、フェノールフタレイン溶液を得る。
特級水酸化カリウム35gを20mlの水に溶かし、エチルアルコール(95体積%)を加えて1Lとする。炭酸ガス等に触れないように、耐アルカリ性の容器に入れて3日間放置後、ろ過して、水酸化カリウム溶液を得る。得られた水酸化カリウム溶液は、耐アルカリ性の容器に保管する。前記水酸化カリウム溶液のファクターは、0.5モル/l塩酸25mlを三角フラスコに取り、前記フェノールフタレイン溶液を数滴加え、前記水酸化カリウム溶液で滴定し、中和に要した前記水酸化カリウム溶液の量から求める。前記0.5モル/l塩酸は、JIS K 8001−1998に準じて作製されたものを用いる。(2)操作
(A)本試験
粉砕した樹脂の試料1.0gを200ml丸底フラスコに精秤し、これに前記のアセチル化試薬5.0mlをホールピペットを用いて正確に加える。この際、試料がアセチル化試薬に溶解しにくいときは、特級トルエンを少量加えて溶解する。
フラスコの口に小さな漏斗をのせ、約97℃のグリセリン浴中にフラスコ底部約1cmを浸して加熱する。このときフラスコの首の温度が浴の熱を受けて上昇するのを防ぐため、丸い穴をあけた厚紙をフラスコの首の付根にかぶせることが好ましい。
1時間後、グリセリン浴からフラスコを取り出して放冷する。放冷後、漏斗から水1mlを加えて振り動かして無水酢酸を加水分解する。さらに完全に加水分解するため、再びフラスコをグリセリン浴中で10分間加熱する。放冷後、エチルアルコール5mlで漏斗及びフラスコの壁を洗う。
指示薬として前記フェノールフタレイン溶液を数滴加え、前記水酸化カリウム溶液で滴定する。なお、滴定の終点は、指示薬の薄い紅色が約30秒間続いたときとする。
(B)空試験
樹脂の試料を用いない以外は、上記操作と同様の滴定を行う。
(3)得られた結果を下記式に代入して、水酸基価を算出する。
A=[{(B−C)×28.05×f}/S]+D
ここで、A:水酸基価(mgKOH/g)、B:空試験の水酸化カリウム溶液の添加量(ml)、C:本試験の水酸化カリウム溶液の添加量(ml)、f:水酸化カリウム溶液のファクター、S:試料(g)、D:樹脂の酸価(mgKOH/g)である。
ワックスの最大吸熱ピークのピーク温度は、示差走査熱量分析装置「Q1000」(TA Instruments社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定する。装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。
具体的には、ワックス約10mgを精秤し、これをアルミニウム製のパンの中に入れ、リファレンスとして空のアルミニウム製のパンを用い、測定温度範囲30〜200℃の間で、昇温速度10℃/minで測定を行う。なお、測定においては、一度200℃まで昇温させ、続いて30℃まで降温し、その後に再度昇温を行う。この2度目の昇温過程での温度30〜200℃の範囲におけるDSC曲線の最大の吸熱ピークを示す温度を、ワックスの最大吸熱ピークのピーク温度とする。
トナー中の化合物(1)の含有量の測定には、例えば、X線回折装置として、測定装置「RINT−TTRII」(株式会社リガク社製)と、装置付属の制御ソフト及び解析ソフトを用いることができる。
測定条件は以下の通りである。
X線:Cu/50kV/300mA
ゴニオメータ:ロータ水平ゴニオメータ(TTR−2)
アタッチメント:標準試料ホルダー
発散スリット:解放
発散縦制限スリット:10.00mm
散乱スリット:開放
受光スリット:開放
カウンタ:シンチレーションカウンタ
走査モード:連続
スキャンスピード:4.0000°/min.
サンプリング幅:0.0200°
走査軸:2θ/θ
走査範囲:10.0000〜40.0000°
試料板に対象のトナーをセットして測定を開始する。CuKα特性X線において、回折角(2θ±0.20deg)3deg〜35degの範囲で測定を行い、得られたスペクトルから2θが4.0deg〜5.0degにおけるスペクトルの積分強度を、予め化合物(1)の量を振って作成した検量線と比較し、トナー中の化合物(1)の含有量を求める。
トナー中の着色剤の含有量の測定には、例えば、X線回折装置として、測定装置「RINT−TTRII」(株式会社リガク社製)と、装置付属の制御ソフト及び解析ソフトを用いることができる。
測定条件は以下の通りである。
X線:Cu/50kV/300mA
ゴニオメータ:ロータ水平ゴニオメータ(TTR−2)
アタッチメント:標準試料ホルダー
発散スリット:解放
発散縦制限スリット:10.00mm
散乱スリット:開放
受光スリット:開放
カウンタ:シンチレーションカウンタ
走査モード:連続
スキャンスピード:4.0000°/min.
サンプリング幅:0.0200°
走査軸:2θ/θ
走査範囲:10.0000〜40.0000°
試料板に対象のトナーをセットして測定を開始する。CuKα特性X線において、回折角(2θ±0.20deg)3.00deg〜35.00degの範囲で測定を行い、得られたスペクトルの全積分強度から、着色剤由来以外のスペクトルの積分強度を引くことで、トナー中の着色剤の含有量を求める。
(トナー中の、化合物(2)と化合物(3)が固溶化した化合物の含有量の測定)
上記測定において得られるCuKα特性X線において、回折角(2θ±0.20deg)が5.80degのピーク強度から算出できる。
化合物(2)と、化合物(3)が固溶化していない場合、例えば化合物(2)、及び化合物(3)の単体又は化合物(2)と化合物(3)の混合物が含有されている場合は、上記範囲にピークが現れない。
トナーからの、ポリエステル樹脂の酸価を測定する方法は、下記方法を用いることができる。以下の方法でトナーからポリエステル樹脂の分離を行い、酸価の測定を行う。
トナーをテトラヒドロフラン(THF)に溶解し、得られた可溶分から溶媒を減圧留去して、トナーのテトラヒドロフラン(THF)可溶成分を得る。
得られたトナーのテトラヒドロフラン(THF)可溶成分をクロロホルムに溶解し、濃度25mg/mlの試料溶液を調製する。
得られた試料溶液3.5mlを、下記装置に注入し、下記条件で、分子量2000以上を樹脂成分として分取する。
分取GPC装置:日本分析工業(株)製 分取HPLC LC−980型
分取用カラム:JAIGEL 3H、JAIGEL 5H(日本分析工業(株)社製)
溶離液:クロロホルム
流速:3.5ml/min
樹脂由来の高分子量成分を分取した後、溶媒を減圧留去し、さらに90℃雰囲気中、減圧下で24時間乾燥する。該樹脂成分が2.0g程度得られるまで上記操作を繰り返す。
得られた試料を用いて、前記手順に従って酸価を測定する。
3−ヒドロキシ−4−メトキシベンズアニリド50部を水1000部に均一分散させた後、氷を加えて0〜5℃とし、更に高速で撹拌しながら35%−HCl水溶液60部をゆっくりと滴下しながら加えて、その後20分間、強撹拌を継続した。その後、30%−亜硝酸ナトリウム水溶液50部を加えて60分間撹拌後、スルファミン酸2部を加えて亜硝酸を消去した。さらに酢酸ナトリウム50部と90%−酢酸75部を添加し、ジアゾニウム塩溶液とした。
これとは別に、N−フェニル−2−ナフタレンカルボアミド50部を水1000部と水酸化ナトリウム25部と共に80℃以下で溶解させ、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムを3部添加してカップラー溶液とした。
該カップラー溶液を10℃以下に保ちながら、強撹拌下で上記ジアゾニウム塩溶液を一括投入した。投入後、カップリング反応が終了するまで穏やかに撹拌を続けた後、これを120℃に加熱、濾過し、化合物(2)を得た。
以下に記載する方法で色素化合物を(1)−A〜(1)−F製造した。
〈製造例1:化合物(1)―Aの製造〉
ピリドン化合物(1)10mmolのトルエン20mL懸濁液に、p−トルエンスルホン酸100mgを加え、70℃に昇温し、アルデヒド化合物(1)10mmolのトルエン20mL溶液を滴下した。更に、共沸脱水を行いながら、160℃で6時間加熱還流させた。反応終了後、室温に冷却し、イソプロパノールで希釈した。減圧下濃縮後、残さをカラムクロマトグラフィーによる精製(展開溶媒:酢酸エチル/ヘプタン)して化合物(1)―Aを得た。
アルデヒド化合物(1)10mmol及びピリドン化合物(3)10mmolのメタノール50mL溶液を室温で3日間撹拌した。反応終了後、イソプロパノールで希釈し、ろ過して化合物(1)−Bを得た。
アルデヒド化合物(2)10mmol及びピリドン化合物(2)10mmolのエタノール50mL溶液を室温で3日間撹拌した。反応終了後、イソプロパノールで希釈し、ろ過して5.1g(収率87%)の化合物(1)−Cを得た。
アルデヒド化合物(5)、ピリドン化合物(4)を使用すること以外は、化合物(1)−Bの製造例と同様の方法を行うことで、化合物(1)−Dを得た。
製造例2において、アルデヒド化合物(2)をアルデヒド化合物(3)、ピリドン化合物(3)をピリドン化合物(2)に変更した以外は、製造例2と同様の方法を行うことで、対応する化合物(1)−Eを得た。
製造例2において、アルデヒド化合物(2)をアルデヒド化合物(4)、ピリドン化合物(3)をピリドン化合物(2)に変更した以外は、製造例2と同様の方法を行うことで、対応する化合物(1)−Fを得た。
3−ヒドロキシ−4−メトキシベンズアニリド50部を水1000部に均一分散させた後、氷を加えて0〜5℃とし、更に高速で撹拌しながら35%−HCl水溶液60部をゆっくりと滴下しながら加えて、その後20分間、強撹拌を継続した。その後、30%−亜硝酸ナトリウム水溶液50部を加えて60分間撹拌後、スルファミン酸2部を加えて亜硝酸を消去した。更に酢酸ナトリウム50部と90%−酢酸75部を添加し、ジアゾニウム塩溶液とした。
これとは別に、3−ヒドロキシ−4−[2−メトキシ−5−(フェニルカルバモイル)フェニルアゾ]−2−ナフタレンカルボアミド50部を水1000部と水酸化ナトリウム25部と共に80℃以下で溶解させ、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムを3部添加してカップラー溶液とした。
該カップラー溶液を10℃以下に保ちながら、強撹拌下で上記ジアゾニウム塩溶液を一括投入した。投入後、カップリング反応が終了するまで穏やかに撹拌を続けた後、これを120℃に加熱、濾過し、化合物(3)を得た。
3−アミノ−4−メトキシベンズアニライド48部を水1000部に分散させ、5℃以下の温度条件下で35%−塩酸60部を加えて20分間撹拌した。その後、30%−亜硝酸ナトリウム水溶液50部を加えて60分間撹拌後、スルファミン酸2部を加えて過剰の亜硝酸を消去分解した。さらに酢酸ナトリウム50部と90%−酢酸75部を添加し、ジアゾニウム塩水溶液を調製した。
これとは別に、5℃以下の温度条件下で、化合物(2)50部と、化合物(3)25部を、水酸化ナトリウム25部と共に水1000部に溶解させた後、塩化カルシウム水溶液と、顔料組成物の粒径調整剤としてアニオン性界面活性剤であるアルキルベンゼンスルホン酸を適量添加し、カップラー水溶液を調製した。
次いで、前記カップラー水溶液に前記ジアゾニウム塩水溶液を撹拌しながら一括投入し、5℃以下の温度を維持しながらpH5の条件下でカップリング反応を行った。
さらに、0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液200部にアビエチン酸10部を溶解したものを加え、十分に撹拌してレーキ化反応を完了させ、90℃以上の温度条件下で加熱熟成処理を行い、粗顔料組成物を得た。
前記粗顔料組成物を濾別した後、得られた顔料組成物ケーキを水酸化ナトリウム水溶液中に再分散させ、アルカリ洗浄を行った。アルカリ洗浄後、再度、粗顔料組成物を濾別回収し、これを十分に水洗浄した。この操作を数回繰り返した後、高温下で乾燥し、微粉砕を行うことにより、アビエチン酸カルシウムで処理された化合物(2)と化合物(3)が固溶化した化合物を得た。
ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン76.9部(0.167モル)、テレフタル酸(TPA)25部(0.145モル)、アジピン酸8.0部(0.054モル)及びチタンテトラブトキシド0.5部をガラス製4リットルの4つ口フラスコに入れ、温度計、撹拌棒、コンデンサー及び窒素導入管を取りつけマントルヒーター内においた。次にフラスコ内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、200℃の温度で撹拌しつつ、4時間反応させた。(第1反応工程)その後、無水トリメリット酸(TMA)1.2部(0.006モル)を添加し、180℃で1時間反応させ(第2反応工程)、結着樹脂1を得た。
この結着樹脂1の酸価は5mgKOH/gであり、水酸基価は65mgKOH/gであった。また、GPCによる分子量は、重量平均分子量(Mw)8,000、数平均分子量(Mn)3,500、ピーク分子量(Mp)5,700、軟化点は90℃であった。
ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン71.3部(0.155モル)、テレフタル酸24.1部(0.145モル)、及びチタンテトラブトキシド0.6部をガラス製4リットルの4つ口フラスコに入れ、温度計、撹拌棒、コンデンサー及び窒素導入管を取りつけマントルヒーター内においた。次にフラスコ内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、200℃の温度で撹拌しつつ、2時間反応させた。(第1反応工程)その後、無水トリメリット酸5.8部(0.030モル%)を添加し、180℃で10時間反応させ(第2反応工程)、結着樹脂2を得た。
この結着樹脂2の酸価は15mgKOH/gであり、水酸基価は7mgKOH/gである。また、GPCによる分子量は、重量平均分子量(Mw)200,000、数平均分子量(Mn)5,000、ピーク分子量(Mp)10,000、軟化点は130℃であった。
ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン76.9部(0.167モル)、テレフタル酸20.0部(0.120モル)、アクリル酸4.3部(0.060モル)及びチタンテトラブトキシド0.5部をガラス製4リットルの4つ口フラスコに入れ、温度計、撹拌棒、コンデンサー及び窒素導入管を取りつけマントルヒーター内においた。次にフラスコ内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、200℃の温度で撹拌しつつ、4時間反応させた。(第1反応工程)その後、無水トリメリット酸1.0部(0.005モル)を添加し、180℃で1時間反応させ(第2反応工程)、結着樹脂3を得た。
この結着樹脂3の酸価は0mgKOH/gであり、水酸基価は82mgKOH/gであった。また、GPCによる分子量は、重量平均分子量(Mw)8,000、数平均分子量(Mn)3,500、ピーク分子量(Mp)5,700、軟化点は92℃であった。
得られる結着樹脂の酸価を調整するために、テレフタル酸、及び無水トリメリット酸の添加量を、表1に示すようにそれぞれ変更した以外は、結着樹脂3と同様にして、結着樹脂4〜6を得た。結着樹脂4〜6の酸価、及び水酸基価を表1に示す。
・低密度ポリエチレン(Mw1400、Mn850、DSCによる最大吸熱ピークが100℃) 18部
・スチレン 66部
・n−ブチルアクリレート 13.5部
・アクリロニトリル 2.5部
をオートクレーブに仕込み、系内をN2置換後、昇温撹拌しながら180℃に保持した。系内に、2質量%のt−ブチルハイドロパーオキシドのキシレン溶液50部を5時間連続的に滴下し、冷却後溶媒を分離除去し、上記低密度ポリエチレンにビニル樹脂成分が反応した樹脂組成物1を得た。樹脂組成物1の分子量を測定したところ、重量平均分子量(Mw)7100、数平均分子量(Mn)3000であった。さらに、45体積%メタノール水溶液に分散した分散液における温度25℃で測定した600nmの波長における透過率は69%であった。
・低密度ポリエチレン 20.0部
(Mw1300、Mn800、DSCによる最大吸熱ピークが95℃)
・o−メチルスチレン 65.0部
・n−ブチルアクリレート 11.0部
・メタアクリロニトリル 4.0部
をオートクレーブに仕込み、系内をN2置換後、昇温撹拌しながら170℃に保持した。系内に、2質量%のt−ブチルハイドロパーオキシドのキシレン溶液50部を5時間連続的に滴下し、冷却後溶媒を分離除去し、上記低密度ポリエチレンにビニル樹脂成分が反応した樹脂組成物2を得た。樹脂組成物2の分子量を測定したところ、重量平均分子量(Mw)6900、数平均分子量(Mn)2900であった。さらに、45体積%メタノール水溶液に分散した分散液における温度25℃で測定した600nmの波長における透過率は63%であった。
・スチレン 70部
・アクリル酸n−ブチル 25部
・マレイン酸モノブチル 5部
・ジ−t−ブチルパーオキサイド 1部
上記各成分を、4つ口フラスコ内でキシレン200部を撹拌しながら容器内を十分に窒素で置換し120℃に昇温させた後、3.0時間かけて滴下した。更にキシレン還流後下で重合を完了し、減圧下で溶媒を蒸留除去し、スチレンアクリル系樹脂を得た。
・結着樹脂1 70.0部
・結着樹脂2 30.0部
・フィッシャートロプシュワックス(最大吸熱ピークのピーク温度78℃)5.0部
・色素化合物(1)−A 1.0部
・化合物(2)と化合物(3)が固溶化した化合物 3.0部
・3,5−ジ−t−ブチルサリチル酸アルミニウム化合物 0.5部
・樹脂組成物1 5.0部
上記処方で示した原材料をヘンシェルミキサー(FM−75型、三井鉱山(株)製)を用いて、回転数20s−1、回転時間5minで混合した後、温度125℃に設定した二軸混練機(PCM−30型、株式会社池貝製)にて混練した。得られた混練物を冷却し、ハンマーミルにて1mm以下に粗粉砕し、粗砕物を得た。得られた粗砕物を、機械式粉砕機(T−250、ターボ工業(株)製)にて微粉砕した。さらに回転型分級機(200TSP、ホソカワミクロン社製)を用い、分級を行い、トナー粒子を得た。回転型分級機(200TSP、ホソカワミクロン社製)の運転条件は、分級ローター回転数を50.0s−1で分級を行った。得られたトナー粒子は、重量平均粒径(D4)が6.2μmであっ
た。
得られた処理トナー粒子100部に、ヘキサメチルジシラザン20質量%で表面処理した一次粒子の個数平均粒径が10nmの疎水性シリカ微粒子0.8部と、イソブチルトリメトキシシラン16質量%で表面処理した一次粒子の個数平均粒径が30nmの酸化チタン微粒子0.2部を添加し、ヘンシェルミキサー(FM−75型、三井鉱山(株)製)で回転数30s−1、回転時間10min混合して、トナー1を得た。
表2に示す通りに、結着樹脂、ワックス、樹脂組成物、化合物(1)の種類と、それぞれの添加部数を変更する以外は、トナー1の製造例と同様にして、トナー2〜14、16〜18を得た。
速撹拌装置クレアミックス(エムテクニック社製)を具備した2リットル用4つ口フラスコ中に、イオン交換水470部とNa3PO43.3部を投入し、高速撹拌装置の回転数を10,000rpmに設定し、65℃に加温せしめた。ここにCaCl2水溶液を添加し、微小な難水溶性分散剤Ca3(PO4)2を含む水系分散媒体を調製した。一方、分散質として、
・スチレン 66.0部
・n−ブチルアクリレート 34.0部
・ジビニルベンゼン 0.2部
・パラフィンワックス(最大吸熱ピークのピーク温度100℃) 5.0部
・色素化合物(1)−A 33.0部
・化合物(2)と化合物(3)が固溶化した化合物 3.0部
・3,5−ジ−t−ブチルサリチル酸アルミニウム化合物 0.5部
からなる混合物を、アトライター(三井金属社製)を用い3時間分散させた後、65℃にて2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)3部を添加し、1分間撹拌し、重合性単量体組成物を調製した。
重合性単量体組成物調製後、高速撹拌装置の回転数を15,000rpmに高めた前記水系分散媒体中に該重合性単量体組成物を投入し、内温60℃のN2雰囲気下で、3分間撹拌し、該重合性単量体組成物を造粒した。その後、撹拌装置を、パドル撹拌羽根を具備したものに換え、200rpmで撹拌しながら同温度に保持し、重合性ビニル系単量体の重合転化率が90%に達したところで第1反応工程を終了した。
更に反応温度を80℃に昇温し、重合転化率がほぼ100%になったところで第2反応工程を終了し、重合工程を完了した。重合終了後、冷却した後に希塩酸を添加して難水溶性分散剤を溶解せしめた。更に加圧ろ過器にて水洗浄を数回繰り返した後、乾燥処理を行い、重合体粒子を得た。この重合体粒子は、重量平均粒径が7.2μmであった。
得られた重合体粒子100部に、ヘキサメチルジシラザン20質量%で表面処理した一次粒子の個数平均粒径が10nmの疎水性シリカ微粒子0.8部と、イソブチルトリメトキシシラン16質量%で表面処理した一次粒子の個数平均粒径が30nmの酸化チタン微粒子0.2部を添加し、ヘンシェルミキサー(FM−75型、三井鉱山(株)製)で回転数30s−1、回転時間10min混合して、トナー15を得た。
・結着樹脂1 70.0部
・結着樹脂2 30.0部
・フィッシャートロプシュワックス(最大吸熱ピークのピーク温度78℃)5.0部
・C.I.Pigment Blue 15:3 7.0部
・3,5−ジ−t−ブチルサリチル酸アルミニウム化合物 0.5部
上記処方で示した原材料をヘンシェルミキサー(FM−75型、三井鉱山(株)製)を
用いて、回転数20s−1、回転時間5minで混合した後、温度125℃に設定した二軸混練機(PCM−30型、株式会社池貝製)にて混練した。得られた混練物を冷却し、ハンマーミルにて1mm以下に粗粉砕し、粗砕物を得た。得られた粗砕物を、機械式粉砕機(T−250、ターボ工業(株)製)にて微粉砕した。さらに回転型分級機(200TSP、ホソカワミクロン社製)を用い、分級を行い、トナー粒子を得た。回転型分級機(200TSP、ホソカワミクロン社製)の運転条件は、分級ローター回転数を50.0s−1で分級を行った。得られたトナー粒子は、重量平均粒径(D4)が6.2μmであった。
得られた処理トナー粒子100部に、ヘキサメチルジシラザン20質量%で表面処理した一次粒子の個数平均粒径が10nmの疎水性シリカ微粒子0.8部と、イソブチルトリメトキシシラン16質量%で表面処理した一次粒子の個数平均粒径が30nmの酸化チタン微粒子0.2部を添加し、ヘンシェルミキサー(FM−75型、三井鉱山(株)製)で回転数30s−1、回転時間10min混合して、シアントナーを得た。
Fe2O3;100部に水を添加し、ボールミルで15min粉砕し、平均粒径は55μmの磁性コアを作製した。
次に、ストレートシリコーン樹脂(信越化学社製:KR271)1部、γ―アミノプロピルトリエトキシシラン0.5部、トルエン98.5部の混合液を、上記磁性コア 100部に添加し、さらに溶液減圧ニーダーで撹拌混合しながら70℃、5時間減圧乾燥を行ない、溶剤を除去した。その後、140℃で2時間焼き付け処理して、篩振とう機(300MM−2型、筒井理化学機械:75μm開口)で篩い、磁性キャリア1を得た。
トナー1と磁性キャリア1で、トナー濃度が9質量%になるようにV型混合機(V−1
0型:株式会社徳寿製作所)で0.5s−1、回転時間5minで混合し、二成分現像剤1を得た。
また、組み合わせるトナーと磁性キャリアを表3のように変更して、二成分現像剤2〜18及び二成分現像剤Cを得た。そして実施例1〜15、及び比較例1〜3の二成分現像剤として以下に示す評価を行った。評価結果を表4に示す。
画像形成装置として、キヤノン製フルカラー複写機imageRUNNER ADVANCE C5255の改造機を用い、マゼンタステーションの現像器に二成分系現像剤1を投入して、評価を行った。
評価環境は、常温常湿環境下(23℃、50%RH)とし、評価紙は、コピー用普通紙GFC−081(A4、坪量81.4g/m2 キヤノンマーケティングジャパン株式会社より販売)を用いた。
まず該評価環境において、紙上のトナー乗り量を変化させて、画像濃度と、紙上のトナー載り量との関係を調べた。
次いで、FFH画像(ベタ部)の画像濃度が1.40になるように調整し、画像濃度が1.40になる際の、トナー載り量を求めた。
FFHとは、256階調を16進数で表示した値であり、00Hを1階調目(白地部)、FFHを256階調目(ベタ部)とする。
画像濃度は、X−Riteカラー反射濃度計(500シリーズ:X−Rite社製)を使用して測定した。
得られたトナー載り量(mg/cm2)から、トナーの着色力を評価した。評価結果を表4に示す。
画像形成装置として、キヤノン製フルカラー複写機imageRUNNER ADVANCE C5255改造機を用いて、マゼンタステーションの現像器に二成分現像剤1を投入し、シアンステーションの現像器に二成分現像剤Cを投入して、評価を行った。評価環境は、常温常湿環境下(23℃、50%RH)とし、評価紙は、コピー用普通紙GFC−081(A4、坪量81.4g/m2)キヤノンマーケティングジャパン株式会社より販売)を用いた。
二成分現像剤1と、二成分現像剤Cを用いて、2次色である青色の画像形成を行った。このとき、00H(ベタ白)からFFH画像(ベタ部)までを、16階調で区切り画像を形成した。2次色の画像形成において、二成分現像剤1のFFH画像(ベタ部)の載り量を、単色における画像濃度が1.40となる載り量とした。また、二成分現像剤Cについては、FFH画像(ベタ部)の載り量を0.40mg/cm2となるように調整した。0.40mg/cm2という載り量は、二成分現像剤Cの単色における画像濃度が1.40となる載り量である。得られた16階調の2次色(青色)画像について、SpectroScan Transmission(GretagMacbeth社製)(測定条件:D50 視野角2°)を用いて各階調の画像のL*、a*、b*を測定し、下記の式から各階調のC*を求めた。
C*={(a*)2+(b*)2}0.5各階調のC*を比較し、最も大きいC*(C*max)を求め、青色再現性の評価の指標とした。C*maxが大きいほど、青色再現性に優れている。評価結果を表4に示す。
画像形成装置として、キヤノン製フルカラー複写機imageRUNNER ADVANCE C5255の改造機を用い、マゼンタステーションの現像器に二成分系現像剤1を投入し、評価を行った。
評価環境は、常温常湿環境下(23℃、50%RH)とし、評価紙は、コピー用普通紙GFC−081(A4、坪量81.4g/m2 キヤノンマーケティングジャパン株式会社より販売)を用いた。
各環境における、耐久前後での白地部のカブリを測定した。
画出し前の評価紙の平均反射率Dr(%)をリフレクトメータ(東京電色株式会社製の「REFLECTOMETER MODEL TC−6DS」)によって測定した。
初期(1枚目)、耐久後(50000枚目)の、00H画像部(白地部)の反射率Ds(%)を測定した。得られたDr及びDs(初期及び耐久後)より、下記式を用いてカブリ(%)を算出した。
カブリ(%) = Dr(%)−Ds(%)
評価結果を表4に示す。
Claims (6)
- 前記結着樹脂は、ポリエステル樹脂を含む請求項1に記載のトナー。
- 前記化合物(1)の含有量(質量部)をAとし、前記少なくとも化合物(2)と化合物(3)とが固溶化した化合物の含有量(質量部)をBとしたときに下記式を満たす請求項1又は2に記載のトナー。
0.005≦A/B≦10.000 - 前記トナー粒子が、ビニル系樹脂成分にポリオレフィンがグラフトした構造を有するグラフト重合体及び/又はポリオレフィンにビニル系モノマーがグラフト重合した構造を有するグラフト重合体を含む請求項1〜4のいずれか一項に記載のトナー。
- 前記トナー粒子が、炭化水素系ワックスを含有する請求項1〜5のいずれか一項に記載のトナー。
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